| にわかには信じられないが、ベルリン・オリンピックのパレードで実際に走ったようだ |
BMWは1972年に初の電気自動車コンセプト「1602 Elektro-Antrieb(エレクトリックドライブの意味)」を発表していますが、その1602 Elektro-Antriebがもし今になって発売されたら?というレンダリングが公開に。
これはオフィチーナ・イタリアーナ・デザインに務めるDavid Obendorfer氏が個人的プロジェクトとして製作したものだそうで、なかなかに面白い作品に仕上がっています。
そもそも1970年代にエレクトリックコンセプトが作られていたとは
まずBMW 1602 Elektro-Antriebについて説明したいと思いますが、これは1972年のミュンヘンオリンピックにて発表されたクルマ。
ガソリンエンジン車である「1602」をベースに電気自動車へと改造され、出力は43HP、バッテリー容量は12.6kWh(航続可能距離は30km)。
2台のみが製造されてミュンヘン・オリンピックのパレードに使用されたと言われ、しかしBMWが当時このクルマを製造した理由は今となってはナゾ。
オイルショック(1973年)の1年前に製造されており、急激に発展を遂げたモータリゼーションによってもたらされた公害に配慮したものなのか、それともオイルショックの予兆を感じ「ガソリンに頼らないクルマを」と考えたのかは不明です。
参考までに、BMW同様に電気自動車に積極的な日産は、1947年に「たま電気自動車」を製作していて、これは戦後の石油不足から政府が電気自動車の製造を奨励した時期に発売されたもの(実際にタクシーなどに使用されたという)。
こちらの航続距離は96.3kmなので、意外と走るということになりますね(ただし最高速度は35.2km/h)。
こういった例を見るに、「意外と前から電気自動車が作られていたんだな」と驚かされます。
「BMW 02 Reminiscence」はこんなクルマ
そして本題の02 Reminiscence(レミニッセンス)について、これは上述の通り当時の1602 Elektro-Antriebを現代版として蘇らせたもの。※ちなみにBMW「02」シリーズには1602、1802、2002(前2桁は排気量を表す。16であれば1,600cc)が存在
このレンダリングを見ると、当時の1602の雰囲気をよく表しており、しかし各部が滑らかな造形となるなど「現代風な」一面も。
ドアミラーやドアハンドルも現実的で、このまま販売できそうな雰囲気でもありますね。
リア周りも「1602」のイメージを色濃く残しており、リアサイドウインドウ下端の折り返しデザイン「ホフマイスターキンク」も健在です。
ここでちょっと不思議なのは、なぜBMWが現代にて電気自動車を発売するにあたり、この1602 Elektro-Antriebを復活させなかったのか、ということ。
つまりは「i3」ではなく1602 Elektro-Antriebの現代版、つまり今回の02レミニッセンスのようなクルマを発売した方が良かったんじゃないかということですね。
そのほうがBMWの電気自動車の歴史を示せますし、2002のファンをも取り込めたり、「2002が電気自動車になって登場」といった話題性も作れたのにな、と考えたりします。
BMW 02レミニッセンスのインテリアはこうなっている
そしてこちらはBMW 02レミニッセンスのインテリア。
エアコン操作パネル、インフォテイメントシステム、ドリンクホルダーやドアインナーパネルなどは今すぐにでも実現できそう。
エクステリア同様に「かなり」現実的な仕様を持っていると言ってよく、やはりこのまま発売できるのでは、と思わせられます。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=165&v=O6htC-3Lxes&feature=emb_logo参照:David Obendorfer, 日産自動車