| 値下げは即効性があるがブランド価値を大きく損ない、回復させるのが難しい |
アストンマーティンが北米において2021年モデルのDBX、そしてヴァンテージ(クーペ/ロードスター)の価格を大幅値下げ、との報道。
DBXについては192,986ドルから179,986ドルへ、ヴァンテージ・ロードスターについては164,086ドルから150,086へと値下げを行っており、これはかなり大きなディスカウントだと言えそう。
この理由については「世界各地で同じ価格」となるよう調整した結果だとされていますが、ほかの自動車メーカー同様に、北米での販売価格は他に比べて割安感が強いためにこの発言には矛盾があり、純粋に「売りたいから値下げを行った」というのが実情なのかもしれません。※日本でのDBXの価格は22,995,000円なのでかなり高い
アストンマーティンはDBX頼み
なお、このDBXは中国そして北米をメインマーケットとして捉えており、現在の「苦しい」アストンマーティンの状況を救ってくれるのはDBXをおいてほかになさそう。
こういった状況において「もしDBXが売れなければ」その開発にかかる投資を回収できないということになり、さらに苦しい状況に陥るのは間違いなく、価格を下げて利益を削ってでも売らねばならない、ということなのかもしれません。
DBXの当初の価格設定を見るに、ライバルに比較して特段お買い得だという印象はなく、アストンマーティンとしてはここで割安感を演出したいということもありそうで、「お買い得」感さえあれば売れるというのは日本におけるキャンペーンでも立証済みです。
ちなみにDBXはすでに発売済みであり、生産も開始されたところだと報じられているものの、「受注が好調」という声はあまり聞かれず、しかしこの値下げによって販売に弾みがつくことが望まれます。
とにかくアストンマーティンは苦しい状況に置かれていて、「SUVを持たない」マクラーレンに比べると、まだDBXに期待をかけられるだけ「マシ」だとも考えられ、なんとかこの状況を乗り越えて欲しいものですね。
アストンマーティンは体制を一新し再建中
アストンマーティンはカナダの富豪、ローレンス・ストロール氏からの資金を受け入れて事実上経営者が後退しており、それに伴って前CEOであるアンディ・パーマー氏は更迭されることに。
新CEOはメルセデスAMG出身のトビアス・メアース氏ですが、「よくこんな状況でアストンマーティンのCEOを引き受けたな」と思うことがあり、というのもこれで再建できなければ同氏の評判も地に落ちることになって、そこから同氏をCEOとして雇ってくれる会社はなく、自身の将来も閉ざされてしまうため。
となるとアストンマーティンCEOを引き受けずにメルセデスAMGにとどまっていたほうがよかったんじゃないかとも考えますが、メルセデスAMGとアストンマーティンは提携関係にあるため、本人の医師とは無関係に「メルセデスAMGからアストンマーティンに送り込まれた」のかもしれません(雇われCEOは辛い・・・)。