| アストンマーティンは今、大きな過渡期に差しかかっている |
さて、アストンマーティンが2021年シーズンを走るF1マシン「AMR21」とともに、F1マシンと同じアストンマーティン・レーシング・グリーンにペイントされたヴァルキリーを公開。
加えて両者の機能的な類似性を強調する動画も公開されていますが、ここでヴァルキリーの詳細を見てみたいと思います。
アストンマーティン・ヴァルキリーはこんなクルマ
アストンマーティン・ヴァルキリーは6.5リッターV12エンジンをミドシップマウントするハイパーカーで、「F1に使用されるテクノロジー」を用いたことが一つの特徴。
ただしAMG Oneのように「F1由来の」パワートレーンを使用するのではなく、その構造やエアロダイナミクス方面においてF1を強く意識しています。
加えて、F1では禁じ手となったアクティブサスペンションを採用しているのも独自性が感じられる部分ですね。
つまりは「公道を走るF1のようなクルマを作りたかった」のではなく、究極の速さを追求するためにF1のテクノロジーを使用し、むしろF1を越えようとしたクルマだと捉えるのが正しいのかもしれません。
アストンマーティン・ヴァルキリーの細部はこうなっている
まずフロントは「ハイノーズ」。
フロア下に多くの空気を送り込むという考え方はF1同様です。
ヘッドライトの重量は「左右合わせても、DB11のヘッドライト1個分よりも軽い」と言われていますね。
ワイパーアームまでカーボン製。
ヴァルキリーは徹底して軽量化にこだわっており、エンブレムも「0.4グラムしかない」と発表されています。
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サスペンションはF1マシン同様のダブルウィッシュボーン。
十分なアーム長が取られている模様。
ホイールはセンターロック、そして大胆な肉抜きも。
後方確認はカメラにて。
こういったエアロパーツの形状は「F1からフィードバックを得たんだろうな」と思わせる部分です。
リアには大きなディフューザー(ブロウンディフューザーも採用されているものと思われる)。
なお、ヴァルキリーのダウンフォースは「1800kg」と発表されており、おそらくは自動車業界最強だと思われます。
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アストンマーティン・ヴァルキリーのコクピット、エンジンルームはこうなっている
そしてこちらがアストンマーティン・ヴァルキリーのコクピット。
成人の97%程度の体型をカバーするとされていますが、頭上には(ヘルメット着用を考慮して?)けっこうスペースがあるようですね。
後方確認はデジタルミラーにて。
まだまだ試作段階なのだと思われます。
こちらはエンジンルーム(フードを保持するシャフトまでもカーボン製)。
エンジンそのものはコスワース製で、「自然吸気エンジン史上最高出力」を誇ると言われています。
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こちらはF1マシン、「AMR21」
F1マシンのほうは「AMR21」と命名されており、これはレーシングポイント時代の「RP20」の発展型ということになります。
なお、ヴァルキリーはアストンマーティンがレッドブルと提携していた時代に(レッドブルとの提携によって)開発された車両であり、このAMR21と直接の関係はなく、それぞれが個別のプロジェクトということになりますね。
メインスポンサーはCognizantなので、チーム名は「Aston Martin Cognizant F1 Team」。
ドライバーはチームオーナーであるローレンス・ストロールの息子であるランス・ストロール、そして新たに獲得したセバスチャン・ヴェッテル。
ローレンス・ストロールの夢は2つあり、ひとつは「F1チームを所有すること」、もうひとつは「アストンマーティンの大株主になること」で、発表会見においては「今日は、その2つが同時にかなった記念すべき日だ」と述べています。
パワーユニットはメルセデスAMGがら供給を受けるAMG F1 M12 E PERFORMANCE。
アストンマーティンAMR21、ヴァルキリーを紹介する動画はこちら
参照:Aston Martin Cognizant F1 Team, Aston Martin, Top Gear, Mr JWW