| HongQi S9の限定台数は99台というが、実際にそこまで売れるかどうかはわからない |
さて、中国の最上級自動車ブランド「紅旗」。
日本に上陸するという高級車「H9」にばかり注目が集まるものの、じつは国家の威信をかけてハイパーカーを開発しており、今回そのプロトタイプが公開されることに。
このハイパーカーは「紅旗(HongQi)S9」と命名されていますが、当初の予定だと「1,000馬力のピュアエレクトリックカー」。
ただしその後ピュアエレクトリックは難しいということなのか、少し前から「ハイブリッド」へと方向性をスイッチさせています(これによって出力は1,400馬力へと引き上げられた)。
紅旗S9の生産はイタリアにて
なお、この紅旗S9の開発と生産はイタリアにて行われますが、その理由は単に「開発と生産を行うファクトリーがイタリアにあるから」。
ただしこのファクトリーは紅旗もしくはその親会社であるFAW(第一汽車)の持ち物ではなく、現地「シルクEV」との合弁企業です。
さらに細かくいうならば、この合弁会社「シルクFAW」があるのはイタリアのエミリア・ロマーニャ地方。
この場所はフェラーリ、ランボルギーニ、パガーニ、マセラティも拠点を構えるスーパーカーの聖地でもあり、様々な会社にてスーパーカーを作ってきた人材が豊富で、かつ製造のために不可欠なサプライヤーも多数存在すると言われます。
参考までに、イタリアは中国の掲げる新シルクロード計画、一帯一路に最初に署名した国だとされ、そのため中国から多額の投資を受けているとも。
よって、今回の計画についてもその一環だと推測しており、これは中国政府も絡んだプロジェクトだと言えそうです(第一汽車は中国の国営企業でもある)。
そのデザインは完全にリブート
今回、紅旗S9の開発拠点を中国からイタリアに移すに際しては数々の変更があり(というか、一回は白紙に戻され、イチからシルクFAWが設計し直した可能性が高い)、まず当初のデザインはこんな感じ(初出は2019年)。
最新、そして最終版と思われるデザインがこちら。
バブル状のキャノピー以外はすべてデザインし直しているといった感じですね(ただしそのシルエットは似ているかも)。
最新版のリアはこう。
もともとの案はこちら。
こちらは最新版のサイド。
もともと、極めて前後オーバーハングが短いクルマとしてデザインされたようですが、最新版では高速安定を考慮してか前後オーバーハングが延長されているようですね。
こちらは初期デザイン。
デザインはワルター・デ・シルヴァ
そしてこの紅旗S9をデザインしたのはなんとワルター・デ・シルヴァ。
フォルクスワーゲングループにてデザイナーを統括する立場を務め、VWシロッコ、ランボルギーニ・ミウラ/エゴイスタ、ポルシェ550Oneコンセプトなどが直近の作品として知られます。
なお、ワルター・デ・シルヴァ氏がこの紅旗S9について語った内容は下記の通り。
空力、プロポーション、そして美しさのバランスを最大限にとるために、形状や技術的な面を巧みにデザインしました。"Hongqi S9のボディ形状を、本質的でダイナミックなラインの美的言語で完成させるために、細部に至るまで偶然性はありませんでした。その結果、"Essence of Beauty "を定義する、時代を超越したアスレチックなスタイリングが完成したのです。
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紅旗S9の加速は比類ない
なお、この紅旗S9はおそるべき性能を持っていて、0-100km/h加速はなんと1.9秒。
この1.9秒というのはテスラ・ロードスター(新型)と同じであり、アスパーク・アウル(1.69秒)、リマックC_Twoに続く「世界最速」クラスです。
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さらには最高速度400km/hという無双ぶりですが、これを実現するのはV8エンジン+3モーターというハイブリッドシステム(総出力は1400馬力)。
詳細については語られていないものの、おそらくは「トランスミッションに一つ、フロントアクスルに2個」という、ポルシェ918スパイダー/フェラーリSF90スラダーレ/スパイダーと同様の構成だと思われます。
なお、今回開発がシルクFAWの手に渡り、これによってデザイン以外にも「ボディカラー」にも大きな変更が。
以前は水色のボディをまとっていたものの、今回は中国を連想させる「レッド」へとイメージチェンジがなされています。
加えて、車体中央を走る赤いラインもさらに明確になり、この新しいデザインのほうが紅旗らしいと言えるかもしれません(車体のあちこちに紅旗の文字がある)。
中国企画のハイパーカー、紅旗S9を紹介する動画はこちら
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参照:Silk-FAW