| 本来、993世代には「スピードスター」が存在しない |
どうやらポルシェ一族は濃淡の差はあれど「グリーン」がお気に入り |
さて、ときどきポルシェミュージムから、ポルシェのレアなモデルを紹介してくれるユーチューバー「ナインイレブン・ガイ」。
今回は本来は存在しないはずの、しかし1台だけ製造された993世代の911スピードスターについて解説を行っています。
この993型911スピードスターは、ポルシェ創業者であるフェルディナント・ポルシェ博士の孫、フェルディナント・(ブッツィー)アレクサンダー・ポルシェ60歳の誕生日に贈られたものだとされており、同氏が993世代の911の設計に深く関与し、そして貢献したことを讃えてのことなのだそう。
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参考までにですが、過去にポルシェ一族の誕生日に贈られたクルマとしては、フェリー・ポルシェ60歳の記念として製造された8気筒エンジン搭載の「914S」という車も存在します。
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フェルディナント・(ブッツィー)アレクサンダー・ポルシェはこんな人
フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェは上述の通りポルシェ創業者の孫で、F.A.ポルシェ、もしくは「ブッツィー・ポルシェ(Butzi Porsche)」という愛称にて呼ばれることも。
1957年にポルシェのデザイン部門へと参加した後、初代911そして歴代911のデザインに携わったほか、レーシングカーの904や906、910のデザインを担当したことでも知られます。
ただしその後、ポルシェ一族がポルシェ社の中枢を占めるべきではないという決議が社内でなされ、ほか多くのポルシェ一族と一ともにポルシェを退社することになり、そこで興したのが「ポルシェデザイン」。
つまり当時のポルシェデザインはポルシェとはまったくの別会社であり、カメラやHDD、サングラス、文具などのデザインを行っていたものの、その後ポルシェに買収・子会社されて「一体化」することになり、現在はポルシェの一部として機能しています(ブッツィー・ポルシェ自身は2005年に引退している)。
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なお、ポルシェ一族は「グリーン」がお気に入りなのか、フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェの弟、ウォルフガング・ポルシェは「アイリッシュグリーンの356」をお気に入りだとして挙げたことも。
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さらにはポルシェ創業者の息子、フェリー・ポルシェも「オークグリーンメタリック」の911に乗っていたことでも知られます。
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993型ポルシェ911スピードスターはこんなクルマ
このブッツィ・ポルシェ専用の911スピードスターのボディカラーはアヴェンチュリン・グリーン、そしてインテリアはダークブラウン。
ウインドスクリーンはスピードスターらしく、フレームが目立たず、ラウンドシェイプを持っています。
トランスミッションは4速ティプトロニック(AT)。
911の設計者らしくない選択ではありますが、その年齢を考えると当然とも言える選択かもしれませんね。
シートは911RSから、そしてダッシュボードにはウッドパネル。
なお、この911スピードスターのベースは993型の911カブリオレ。
これに964世代の911スピードスターのフロントウインドウそしてトノカバーを装着しており、搭載されるエンジンは3.6リッター空冷フラットシックス。
ただし高齢のためかフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェはこのクルマを運転する機会があまりなかったと見え、走行距離はわずか2,085キロにとどまるようですね。
この個体については、現在ポルシェ一族の所有となっており、公開されること自体が「稀」とのこと。
実はもう一台の「993スピードスター」が存在した
そして驚くべきは、もう一台の993型ポルシェ911スピードスターが存在すること。
こちらはポルシェコレクターとして高名なジェリー・サインフェルドが所有しており、もともとは911カブリオレとして購入したものを、のちにポルシェへと送り、ポルシェのパーソナリゼーション部門「ポルシェ・エクスクルーシブ」にてスピードスター化してもらったそうですが、ワイドボディを持つなど、一部ブッツィー・ポルシェに贈られたものとは差異があるようです。
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