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【動画】ポルシェ924はVWの依頼によってポルシェが設計し、しかしVWがボツにしたものをポルシェが引き取って発売クルマだった!驚愕の事実がいま明かされる

2021/07/19

ポルシェ924はVWの依頼によってポルシェが設計し、しかしVWがボツにしたものをポルシェが引き取って発売クルマだった

| たしかに914の後継にしてはまったくレイアウトが変わっている |

そしてフォルクスワーゲンの依頼だけあって使用するパーツはフォルクスワーゲン製ばかりだった

さて、ポルシェは1970年(もしくは1971年)にデザインオフィスとして設立されており、つまりは自動車メーカーではなくデザイン(設計)事務所としてのスタートを切っていますが、当時は様々な分野において他社から依頼された製品の設計を行うことを生業としています。

そしてポルシェは当初よりフォルクスワーゲンとの関係性が深く、ハガーティによると、1970年代はじめにフォルクスワーゲンがポルシェへと「安価でエキサイティングなクルマ」の設計を発注したことがある、とのこと。

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これこそがポルシェ924のスタート

そしてこのスポーツカーにはコスト的な制約があり、よってポルシェは既存のパーツを流用することを第一に考え、そのためフォルクスワーゲンのカーゴバンに搭載されていたモーター、アウディ100のエンジンとギアボックス、さらにはビートルやゴルフ、マイクロバスなどに使用されていたパーツを使用して「フロントエンジン・後輪駆動」レイアウトを持つスポーツカーの設計を完了させます。

ただし、いざ生産を行うという段階になると当時発生した金融危機、そして経営陣の刷新によって状況が一変することになり、EA425というコードネームで呼ばれていたこのプロジェクトが引き上げられることに。

なお、このちょっと前には、EA266と呼ばれていた「ミドシップマウントのコンパクトカー」プロジェクトがVWの社長に就任したばかりのルドルフ・ライディングの判断によって「中止」されていますが、その理由は「横置きFFがコンパクトカーの未来だと同氏が判断したため」。

そう考えると、当時の新社長であったルドルフ・ライディングが「後輪駆動のスポーツカー」に対してお金を出し渋ったことも理解できますが、ここでポルシェが取った行動が「EA425プロジェクトを買い上げる」というもの。

そしてこの「EA425」は「ポルシェ924」として発売されることになった、と報じられています。

てっきり924はポルシェとフォルクスワーゲンとの共同開発だと考えていたが

なお、ぼくはこれまでポルシェ924について、914と同じくフォルクスワーゲンとの共同開発だと考えていたのですが、実はそうではなく、「フォルクスワーゲンとして発売されるはずだった、しかしボツになったクルマを、ポルシェがサルベージして自社ブランドにて発売した」ということになります。※ポルシェの公式サイトには「フォルクスワーゲンに代わりポルシェが開発し完成させた」とあるので、ハガーティの説明は正しいと考えて良さそう

ただ、フォルクスワーゲンのパーツを使用していたといえどポルシェの設計だけあり、この924は素晴らしいパフォーマンスを発揮することになりますが、反面アメリカ市場では乗り心地に関するクレームを受けることも多く、ポルシェはこの924を抜本的に改良して生きながらえさせると決めることに。

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そして924改良の段階において、フォルクスワーゲンが10万台ぶんのエンジン生産とポルシェへの供給を”契約通り”終了させることになったのを機に、ポルシェは「自社製エンジン」の新設計を開始したわけですね。

しかしこのエンジンが完成した当初、新型エンジンが積まれたのは924ではなく「944」。

しかし944は「ポルシェ濃度」が高かったために車両価格も高くなってしまい、よってポルシェは(おそらく販売を維持するため)924に944のエンジンやホイールなどを移植した、しかし944よりはずっと安価な「924S」を発売した、とのこと。

ちなみにポルシェ944は「924の後継」という扱いではあるものの、実際には924と944とは併売されており、924の販売期間は1975年〜1988年、944の販売期間は1983年〜1991年。

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なお、このエンジン(M44)を駆動させるためのバランスシャフトに関しては三菱から技術を購入したとされ、つまり924はフォルクスワーゲンとしてスタートし、しかしポルシェとして生を受け、その進化の過程で三菱の血が入ったわけですね。

ポルシェ自身、924は914の後継だとしていますが、しかしレイアウトがミドシップからフロントエンジンへと変わったのにはこういった理由があったということになり(エントリーモデルという概念では、924は914の後継で間違いない)、これはぼくにとってかなり「意外な事実」でもあって、今更ながらちょっと驚いています。

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参照:Hagerty

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