
| まさかこういったプロトタイプを入手していたフェラーリコレクターが存在したとは |
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ラ・フェラーリのオーナーであればこれを見逃すことはできないだろう
さて、RMサザビーズにてそうとうな「珍品」が出品されることに。
これはラ・フェラーリ開発時に使用されたプロトタイプで、458イタリアにV12エンジン、そしてハイブリッドシステムを詰め込み、フェラーリのエンジニアたちがブレーキ、ステアリング、サスペンション、ESP、ハイブリッドアシストによる6.3リッターV12ドライブトレインをテストしていた車両だと紹介されています。
なお、1970年代辺りまでだと、自動車メーカーが製造したプロトタイプやコンセプトカーが一般向けに販売されることが多かった(というか通例だった)そうですが、それ以降は様々な規制などの関係で自由に販売できなくなり、近年だと廃棄処分とされるのが常だと言われ、つい最近も日産のコンセプトカーたちが「粉砕を待つ」姿が報じられたばかり。

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いったいなぜこのプロトタイプは「生き残る」ことに?
そこでちょっと疑問なのが、なぜこのプロトタイプがフェラーリの社外にて生き残る道を見つけ、今回売りに出されることになったのか。
出品元のRMサザビーズによると「2016年に、公道での走行や登録ができない」ことを条件に、フェラーリが一般のコレクターに対し該当プロトタイプを販売したそうですが、今回そのコレクターがこのプロトタイプを売りに出したとのことで、フェラーリは「転売」までの規制を行わなかったようですね。

フェラーリファンには堪えられない逸品
このプロトタイプは2011年5月から2012年12月にかけ、ラフェラーリ開発の3つのフェーズのうち最初のフェーズのテストを行うために作られたものだといい、上述の通り458イタリアにV12エンジンとハイブリッドユニットを詰め込んだもの。
参考までに、もっとあとのフェーズにて使用されたラ・フェラーリのプロトタイプが先日「はじめて」公開され、話題を呼んだことも。

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もともとV8が積まれる458イタリアにV12エンジンだけではなくハイブリッドシステムを詰め込むには相当な苦労があったと思われ、実際にエンジンルームはこんな感じでカオス状態。

ただ、この車両があったからこそ、フェラーリ初のハイブリッドハイパーカーであるラ・フェラーリが誕生したわけですね。

フロントには見慣れない機器が詰め込まれ・・・。

リアフェンダーにはハイブリッドシステムへのアクセスパネルも。

こちらは充電用のソケットだと思われます。

こうやって見るとフェラーリ458イタリアとは大きな相違はないように見えるものの・・・。

偽装パネルをかぶせるともう何のクルマなのかわからない状態に。

リアは大きく改装され、ハイブリッドシステム用のオレンジ色の配線が確認可能。

それを隠すため、こんな感じでカモフラージュ用のパネルを装着してテストを行っていたようですね。

こうやって見るとかなり異様な雰囲気です。

2011年頃だと、今ほどもスパイフォトやスパイビデオの拡散が活発でなかった時代でもあり、よってこのプロトタイプが表立って報じられることはなかったように思いますが、当時これを見ていたら必ず記憶に残っていそう。

ちなみにリアエンドは「二重」となっていて、無理やりV12エンジンを押し込んだためにもともとのテールランプが機能しないのかも。
なお、搭載されるV12エンジンは、ラ・フェラーリに(最終的に)積まれることになったF140FEではなく、テスト用にFFから拝借したF140FBなのだそう。

マフラーから突き出るパイプの形状が興味深く、内側は「ラッパ状」。

ラ・フェラーリ・プロトタイプのインテリアはこうなっている
そしてこちらはラ・フェラーリ・プロトタイプのインテリア。
けっこうオシャレな458イタリアをベースに選んだようですね(ちょっとでも優雅にテストを行えるようにという配慮なのかもしれない)。

ステアリングホイール、ダッシュボードには注意書きが多数。

そしてシートのすぐ後ろにはV12エンジンと得体のしれない機器類が搭載され、けっこう恐ろしげな雰囲気です。

なお、現在この車両が(法的な問題を抜きに)物理的に走行可能なのかどうかはわかりませんが、もし走行できるのであれば、そのドライバー(落札者)はかなりユニークな体験を手に入れることができそうです。
ただ、ハイブリッドシステムについては、安全性を考慮して作動しないように設定されている可能性もありそうですね(フェラーリとしてもトラブルに対する責任を負いたくないと思われる)。
今回、RMサザビーズはこのラ・フェラーリ・プロトタイプの予想落札価格を公開していないものの、だいたいにおいてこういったプロトタイプは「たとえ走らなくとも、たとえ登録できなくとも」実車よりもはるかに高額になることが多く、今回の出品物もその例に漏れないと考えていいのかもしれません。

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参照:RM Sotheby’s