| ライバルのメルセデス・ベンツ、アウディは「コンパクトクラスからはほぼ撤退」の姿勢だが |
BMWは「鬼のいぬ間に」プレミアムコンパクト市場をモノにできるか
さて、現在自動車の製造コストは大きく上昇しており、ガソリンにせよEVにせよ「コンパクトカーが儲からなくなってきている」と言われます。
ガソリン車だと、触媒の原価向上に加えて規制に対応するための投資が重くのしかかるためで、EVであればもちろんバッテリー価格がその主要因。
いずれの場合でも高額なクルマ(大きなクルマ)であれば「触媒やバッテリーが車両価格に占める比率がコンパクトカーほど大きくはなく」、よって多少コストを車両価格に転嫁したとしても影響は大きくはなく(もしくは、どこか他の部分でそのコスト上昇ぶんを吸収できる)、しかしコンパクトカーだともともと利益が薄く、しかし値上げを行うと(コンパクトカーの客層は価格に敏感なので)すぐに売れなくなってしまう可能性も。※かといって値上げしなければどんどん利益が失われてゆく
ちなみにですが、SUVは付加価値が高く、同時に価格を高く設定しても消費者が納得しやすいので利益率を高く設定でき、現在各自動車メーカーがSUVに注力するのは「それが人気だから」ということのほか、単に「利益を出しやすいから」という側面が強いのだと思われます。
現在、プレミアムカーメーカーでは「コンパクトカー離れ」が進行中
こういった理由もあり、ちょっと前まではコンパクトクラスを連発し「若者を取り込むことでブランドの若返りを図る」としてきたメルセデス・ベンツは方針を転換して「コンパクトカーのラインアップを半数以下に絞り、基本的には「注力しない」と発表。
それどころか「高級化を図る」と宣言し、一気に高利益率製品に特化する意向を見せています。
-
メルセデス・ベンツは「超高級ブランド」へと移行する!超限定ブランド「ミトス」の設定、さらにGクラスのサブブランド化、エントリークラスの削減を発表
| メルセデス・ベンツは大きく方向性を転換し、エントリークラスに見切りをつけてさらなる「高み」へ | まさかここまで思い切った転換を行うとは考えてもみなかった さて、メルセデス・ベンツは収益性を高める ...
続きを見る
アウディにおいても、あれだけヒットしたQ2の後継モデルはないとして「コンパクトクラスから撤退する」意思を示していて、そういった流れの中、メルセデス・ベンツ、アウディと並んでジャーマンスリーの一角をなすBMWの動向に注目が集まっていたわけですね。
ただしBMWはコンパクトクラスに注力するようだ
そこで今回報じられたのがBMW「i1」「i2」の存在であり、つまりBMWは新しく電動コンパクトカーを発売するものと考えられます。
i1はすでにNB0なるコードネームにて開発が進められ2027年11月に生産が開始されるといい、その後にi2(NB8)は2028年7月に市場投入される見込みだと報じられ、これらは2025年から市販車に導入される「ノイエクラッセ」プラットフォームを使用することになるのだそう。※NEアーキテクチャを使用するiX1は2027年7月に生産スタート
これらの位置づけとしては、それぞれ1シリーズと2シリーズとの電動版だとされ、BMWはつまり「コンパクトクラスを捨てない」という決断を下したと考えてよく、メルセデス・ベンツ、アウディとは異なる戦略を採用するものと考えられます。※画像はiサーキュラーコンセプト
-
BMWが2040年のコンパクトEV、「i ヴィジョン サーキュラー コンセプト」を発表。今から20年後の自動車がどうなるのかはまったく想像できないな・・・
| 20年前も今の自動車に採用される技術やデザインを想像できなかった | ステアリングホイールがあるところを見ると、BMWは2040年でも完全自動運転はムッリだと考えているのかも さて、BMWがミュン ...
続きを見る
そうなるとBMWはプジョーやシトロエン、ルノーなど普及価格帯ブランドのEVと戦わねばならなくなるものの、プレミアムコンパクトというセグメントにおいては「競合がいない」状態となり、あるいはここで大きな利益を出せるのかもしれません(ただしこのセグメントは規模が大きくはなく、BMWが思うような利益を出せるのかどうかはわからない)。
ちなみにノイエクラッセと同時に投入されるのは第6世代のバッテリー技術を採用した46ミリ径を持つ円筒型バッテリーで、これは航続可能距離と充電時間を(現在の第5世代に比較して)30%改善でき、かつ製造時のCO2排出量が60%も削減されるという優れモノ。
もちろんBMWは「勝ち目がある」と判断してコンパクトクラスへの投資を続けるのだと思われますが、その結果については注視したいと思います。
合わせて読みたい、BMW関連投稿
-
とにかく速い!豪快!怪物のようなナゾのエレクトリックオフローダーとBMW各車とがバトルを繰り広げるBMWの公式動画「デューン・タクシー」が公開
| 久々に面白い動画を見たような気がする | BMWはもしかしたらエレクトリックオフローダーでダカールやエクストリームEへの参戦を考えているのかも さて、比較的よくショートムービーを作成し公開すること ...
続きを見る
-
BMWがさらにエコを加速!海洋ゴミから再生した素材を車体の内外装に使用するという、自動車業界では他に例を見ない技術を開発
| BMWは以前よりリサイクル、サステイナブル、環境に対して非常に高い意識を持つ企業でもある | こうやって自動車のコストがどんどん増加することになるが、それもまたやむを得ない さて、BMWは2025 ...
続きを見る
-
BMWが2025年から「50%安く、30%長距離を走行でき、30%早く充電できる」新型バッテリーを2025年から採用すると発表。やっぱりEVは買い時が難しいな・・・
| 高額な費用を支払い購入した電気自動車の性能がどんどん劣化してゆくのはちょっと悲しい | しかも「劣化」は絶対的な性能の劣化、そして新製品に対する相対的な劣化も さて、BMWが次世代バッテリー技術の ...
続きを見る
参照:Bimmer Post