| かつてここまで自動車の販売現場が混乱したことはないだろう |
まだまだあと1-2年は混乱が続きそう
さて、調査会社であるJDパワーが毎年実施、そして公開している「販売満足度指数」。
コロナ禍に突入したのち、自動車販売の現場は正常とは言えず、「新車がない」「新車価格が高くなっている」といった問題があり、よって最新の調査において、この満足度は昨年の789から(1,000点満点で)786へと低下しています。
さらに米国では(この調査は米国で行われている)かねてより報じられている通り需給の関係にて新車価格が変動しやすく、新車が少なくなれば「希望小売価格以上で販売」するという(日本では信じられない)行為が行われており、これも当然ながら満足度を下げてしまう理由となっているようですね。
-
JDパワーによる「自動車ブランド満足度調査」トップは高級車部門でレクサスがトップ、大衆車ではミニが首位。コンシューマーレポートでは高評価のヒョンデ、ジェネシスは下位に沈む
| なぜかコンシューマーレポートは韓国車を高く評価する傾向がある | 韓国車が特定の調査に向けて対策をしているのか、それとも特定の調査会社が韓国車を贔屓しているのか さて、調査会社であるJDパワーが恒 ...
続きを見る
自動車ディーラーはこの状況の対応に追われている
そしてこういった傾向について、JDパワーはまず「そもそも新車がない、納車までの期間が長い」ことが満足度を下げている最初の原因だと述べており、そしてこれを解消するために「特別注文を受けたり、よりパーソナルな要求を呑むことで」顧客満足度をなんとか維持することができたディーラーがある一方、逆にこの状況を利用してガンガン値上げを行い、利益を追求したことで顧客満足度に悪影響を与えたディーラーもある、とコメントしてます。
ただ、「値上げが通る(値上げしても消費者が買い求める)」ブランドとそうでないブランドもあり、さらに「ディーラーによる値上げを許容しているブランド」もあれば禁止しているブランドもあるので、今回の調査結果については相当に多くの異常値が現れていると考えていいのかもしれません。
たとえば、人気車を持つブランドのディーラーは強気の値上げにて満足度を落としているかもしれませんが、同じ人気ブランドであっても、Aというブランドは値上げを容認して評価を落とし、しかしBというブランドは値上げを行わないよう徹底することで満足度を維持している可能性も。
さらには、不人気ブランドであっても、(今は中古車も高く売れるので)顧客の買い替え時に下取りを高くすることで満足度が高くなっているかもしれませんし、不人気ブランドゆえ在庫が大量にあり、即納車があることで支持率を上げているかもしれません。
このほか、ちょっと興味深い傾向としては、EV購入者の満足度がガソリン車に比較して低いこと。
たとえば普及価格帯EV購入者の満足度はガソリン車を購入した場合に比較して56ポイント満足度が低く、プレミアムEVだと33ポイント低い数値が出ていて、これについてJDパワーは「ディーラーがEVの販売に慣れておらず、説明などが不十分」という理由をあげています。
2022年米国販売満足度指数はこんな結果になっている
そしてこちらが37回目となる米国販売満足度指数(SSI)調査結果の総合得点(1,000点満点)。
この調査は、新車購入者と購入拒否者の販売経験に対する満足度を測定することを目的としていて、購入者の満足度は、納車までのプロセス(ウエイトが26%)、ディーラー担当者(24%)、契約締結(19%)、事務処理完了(18%)、ディーラー施設(10%)、ディーラーウェブサイト(4%)の6項目(重要度順)に基づき算出され、購入拒否者の満足度は営業担当者(40%)、価格(23%)、施設(14%)、在庫の種類(11%)、交渉(11%)の5つの要素にて構成されています。
ちなみに今年の1位はアルファロメオが獲得していますが、アルファロメオはいつも下位に沈む「満足度が低い」レベルのブランドであり、これはアルファロメオ自身も認識していることなので、今回の結果は「珍事」と言えるかもしれませんね。
-
アルファロメオはなぜ売れなくなったのか?「品質と信頼性が低く、ディーラーの対応がよろしくない」うえに「スポーツカー大好きおじさん」しか買わないから
| アルファロメオは自動車メーカーとしてやるべき「品質の向上」「サービスの向上」「客層の拡大」を怠ってきた | これは今までのCEOが批判されても仕方がない さて、現在ブランドシフトを行っている最中の ...
続きを見る
2022年米国販売満足度指数ランキング(プレミアムブランド編)
- アルファロメオ・・・833
- ポルシェ・・・831
- レクサス・・・819
- キャデラック・・・812
- インフィニティ・・・811
- ジャガー・・・811
- リンカーン・・・810
- メルセデス・ベンツ・・・810
- BMW・・・808
- ランドローバー・・・805
- アキュラ・・・794
- アウディ・・・792
- ボルボ・・・788
- ジェネシス・・・745
2022年米国販売満足度指数ランキング(普及ブランド編)
- ビュイック・・・825
- ダッジ・・・816
- スバル・・・804
- シボレー・・・803
- GMC・・・802
- ジープ・・・797
- ラム・・・795
- フォード・・・791
- マツダ・・・790
- 日産・・・785
- クライスラー・・・783
- フォルクスワーゲン・・・778
- ホンダ・・・773
- トヨタ・・・762
- ヒョンデ・・・758
- キア・・・754
あわせて読みたい、各種調査関連投稿
-
米調査にて「ホンダがもっとも顧客満足度の高いブランド」に!2位はBMW、3位はレクサスに4位はスバル、三菱はブービーの26位
| ホンダは品質評価が低くとも総合的な満足度が高いようだ | テスラも同じように品質評価が低くとも満足度は高く、またその逆のブランドも さて、アメリカでの顧客満足度指数の調査によると、「ホンダ車がもっ ...
続きを見る
-
米品質調査最新版ではランキング上位を日本車が占める!一方で韓国勢は軒並み低評価。新たに「オススメ」には22車種、「オススメ取り消し」はカローラなど11車種
| どう考えてもこれまで韓国車は高く評価されすぎていた | 今回のランキングはけっこう肌感覚に近い さて、米コンシューマーレポートが毎年恒例の信頼性調査を公開。コンシューマー・リポート社は、毎年、会員 ...
続きを見る
-
「日本車の品質がいい」のは過去のこと?最新満足度ランキング(米)では日本のメーカーが下位に。唯一上げたのはマツダのみ(4位)
| とにかくこういったランキングでは韓国勢が強い | 世の中には様々な調査会社、格付機関がありますが、北米で大きな力を持つと言われるのがコンシューマーレポート(Consumer Report=CR)。 ...
続きを見る
参照:JD Power