| ここまで清冽な印象のブガッティは見たことがない |
シンプルだが、どこからどう見てもブガッティらしいカラーコンビネーション
さて、ブガッティは「ブガッティ創業110周年記念」モデルとして10台のみ限定、価格約10億円のハイパーカー、チェントディエチを発売していますが、今回その10台目の生産を終えたと公式に発表。
2019年8月に発表され、そこからテストを重ね、2022年3月にテストを終了、そして2022年6月に最初のチェントディエチが納車されたその5ヶ月後に”最後のチェントディエチ”が工場からロールオフしたということになりますね。
なお、ブガッティは異なるバリエーションを並行して製造するのではなく、「ディーヴォを作る時はディーヴォだけ」「チェントディエチを作る時はチェントディエチだけ」といった具合に、順番に各モデルを組み立てており、この後はW16ミストラルの生産、そしてサーキット走行専用ハイパーカー「ボリード」へと続きます。
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ブガッティCEOはこう語る
今回のチェントディエチの生産終了に関し、ブガッティ・オトモビルズCEO、クリストフ・ピオション氏によれば「チェントディエチは、希少性、革新性、伝統、クラフトマンシップ、そして比類ない性能という、ブガッティ・ブランドを構成するすべての要素をひとつの特別なパッケージに集約しています。10台限定で生産されたこのモデルは、お客様から大変なご好評をいただき、正式に発表される前に完売してしまいました。このたび、チェントディエチのような重要かつ希少な製品を作るために必要な集中的な開発、テスト、オーダーメイドの制作過程を経て、最後の一台が新しいオーナーのもとに届けられたことを嬉しく思っています」。
このチェントディエチは、いうまでもなく前時代のアウトモビリ・ブガッティから発売された「EB110」へのオマージュですが(こちらはブガッティ創業者、エットーレ・ブガッティの生誕110周年記念)、このEB110は「4WD、ミドシップ、クワッドターボ」という現代のブガッティの持つ”方程式”を最初に採用したクルマ。
よってチェントディエチのオーナーの多くはEB110を所有していると言われますが、このEB110について、クリストフ・ピオション氏はこう語っています。
「EB110は、ヴェイロンとシロンの基本原則を確立したモデルです。数十年の時を隔てていますが、これらのクルマは時代を超越した魅力を持ち、性能と能力に対する期待を一変させるようなキャラクターを持つことで一致しています。私たちは今、2018年のディーヴォから始まったコーチビルド時代のこの章を閉じますが、EB110とチェントディエチの伝説は永遠にブガッティの歴史の一部であり続けるでしょう。」
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ブガッティのデザインチームとエンジニアリングチームは、EB110のシルエットを再構築し、全く新しいルーフラインとプロファイルを作り出し、フロントを低く下げ、EB110の”控えめな”馬蹄型グリルに触発された新しいフロントのビジュアル・アイデンティティを生み出していますが、実際にチェントディエチの”馬蹄形=ホースシュー”グリルはほかモデルに比較してかなり小さく、ここはEB110を意識したことがもっともわかりやすい部分かもしれません(EB110では、この馬蹄形グリルをめぐってイザコザが起き、デザイナーのマルチェロ・ガンディーニがプロジェクトから降りている)。
チェントディエチは、EB110にインスパイアされたフラットな面とディテール、やはりEB110を意識したスラブ型ヘッドライトを持っていて、しかしこのヘッドライトはチェントディエチのためだけに開発された最先端のスリムラインLEDヘッドライトだと紹介されており、単に「過去へのオマージュ」だけではないことも理解できますね。
「最後のブガッティ・チェントディエチ」はこんなインテリアを持っている
今回公開された「最後のチェントディエチ」は、クオーツホワイトのボディカラーにブラックカーボンのボディ下部とブラックマットのグリを持ち、ライトブルー・スポーツのブレーキキャリパー、ブラックカーボンのリアウィング(ロゴはライトブルー・スポーツ)という仕様ですが、このチェントディエチのインテリアにも、ライトブルー・スポーツのレザー仕上が採用され、シート、ルーフライナー、ドアパネル、センターコンソール、フロアマットには、4角形がステッチにて再現されています(この四角形はEB110のインテリアに採用されていたモチーフでもある)。
なお、これまでには10台のうち3台のチェントディエチがブガッティによって公開されていて、しかし残りの7台はオーナーが公開に同意しなかったということなのかもしれません。
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チェントディエチはブガッティを象徴する8.0リッターW16エンジンを搭載し、その最高出力は”最強”の1,600馬力、0-100km/h加速は2.4秒、最高速度は380km/hというスペックを誇ります。
最高速が抑えられている反面、加速性能が向上しており、つまりブガッティはチェントディエチを「加速、ハンドリング重視」の設定にシフトさせたと考えてよく、実際にブガッティによれば「チェントディエチでは、ハンドリング性能に磨きをかけ、独自のドライビングエクスペリエンスを実現するために多大な努力を払ってきた」。
このチェントディエチによって全10台すべてが完成したということになりますが、モルスハイムのブガッティ・アトリエでは、残り500台のうち100台弱の受注残となったシロンの組み立てに集中的に取り組み、次に99台のW16ミストラル、40台のサーキット専用のボリードが生産され、そしてついに一つの時代の終焉を迎えることになるわけですね。
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参照:BUGATTI