
| EB110の存在がなければ、現代のブガッティは今のような姿ではなく、成功もなかったかもしれない |
ブガッティEb110とチェントディエチは見れば見るほどよく似ている
さて、ブガッティは「ブガッティ創業110周年記念」となる限定ハイパーカー「チェントディエチ」の納車を進めているところですが、このチェントディエチ(イタリア語で110という意味)は(現在のブガッティとは異なる前体制のブガッティによる)ブガッティ創業者であるエットーレ・ブガッティの生誕110周年を祝うべく発売されたスーパーカー。
現ブガッティはチェントディエチをデザインするにあたってEB110を参考にしており、それは発売前から広く知られていたということもあってか、このチェントディエチのオーナーの多くはEB110を所有していると言われ(EB110のオーナーがチェントディエチを注文している)、そしてチェントディエチを「自分のEB110と同じカラーでオーダーする」例が多いと報じられています。

今回はシルバーのブガッティEB110SSとチェントディエチ
そして今回公開されたのはシルバーのブガッティEB110SSとチェントディエチで、これは先日の「EBブルー」のコンビに続くもの。
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EB110SS(スーパースポーツは)は通常のEB110 GTよりも軽く、さらにパワフルに仕上げた上位モデルで、603馬力を発生する3.5リッターV12クワッドターボを搭載し、6速MTで4輪を駆動することで0−100km/h加速3.4秒、最高速度354km/h以上を記録したと言われます。


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ブガッティのデザイン・ディレクター、アキーム・アンシャイト氏は「EB110は、ブガッティの歴史の中でもひときわユニークな存在です。1980年代後半にブランドがロマーノ・アルティオーリの手によって生まれ変わったとき、EB110は時代を超えたスポーツカーのみが持ちうるプロポーションで登場しました。そのデザインは、当時バウハウスに影響を受けたカンポガリアーノの工場を担当した建築家ジャンパオロ・ベネディーニによって仕上げられ(それまではマルチェロ・ガンディーニがデザインしていたが、途中から不和によってチームを離脱)、EB110の印象的なグラフィックと洗練されたフォルムは、確かにその建築的なアプローチを反映しています。しかし、EB110スーパースポーツがそうであったように、現代に生きる私たちもまた、「形は性能に従う」のです。そこで私たちは、このクルマがなぜそのような姿をしているのかに注目し、それを現代版ブガッティとして再解釈したいと考えたのです」。

両社の類似性は非常に高く、それぞれのBピラーには、一目でそれとわかる5つの冷却孔が設けられており、EB110SSだと3.5リッターのクワッドターボV12エンジンに空気を送り込むために機能することに。
そしてその空気はガラスで覆われたエンジンルームを通り、リアに設けられた10個のスリットから排出されることになります。

チェントディエチでは、これらの要素が再解釈され、空気はブガッティCラインの頂点にある5つの冷却ポートから入り、EB110からインスピレーションを得たガラスカバーが取り付けられたW16エンジンの上を通り、EB110スーパースポーツの通気口を模した新しいライトサインを含むリアから排出されますが、そのリアには、EB110スーパースポーツのツインパイプを現代的にオマージュした、垂直に積み上げられたクワッドエキゾーストパイプが大型リアディフューザーに格納されています。

チェントディエチのパフォーマンスはさらに「上」に
ブガッティEB110SSのパフォーマンスは当時では異次元、そして現代でも第一線で活躍できるレベルではあるものの、新しいブガッティそしてチェントディエチではそのもっと上を目指していて、チェントディエチは最高出力1,600PSを誇る6リッターW16クワッドターボ”トール”を搭載し、0-100km/h加速2.4秒、200km/h加速6.1秒、300km/h加速13.1秒、最高速度380km/h(電子リミッター作動)を実現。
ブガッティデザインチームにてスペシャルプロジェクト責任者を務めるニルス・サヨンズ氏は「チェントディエチのような驚くべきスピードに安全に到達できるクルマを設計しようとする場合、さまざまなことを考慮しなければなりません。安全であること、空力的に優れていること、パワートレインのコンポーネントの冷却のために空気を効果的に導くこと、などが必要です。シロンのパワートレインとモノコックをベースにしましたが、チェントディエチの開発は非常に多岐にわたり、実質的にまったく新しいクルマをデザインすることになりました。望ましいレベルのパフォーマンスとスタイリングの完成度を実現するには、これしかないのです」とコメント。

EB110スーパースポーツへのオマージュとしてチェントディエチを考えた時、デザインチームは「止まっていても前に飛び出してくるような」象徴的なシルエットの再構築に注力する必要があったといい、そのためルーフラインとプロファイルを一新し、フロントはより低く、リアはより高く設定されています。
バイザーから着想を得た新しいグラスハウスは、ボディをシームレスに取り囲むように見え、新しいフロントのビジュアル・アイデンティティは、EB110の”控えめな”ブガッティ馬蹄形(ホースシュー)グリルにインスパイアされたもので、さらにいえば、ブガッティの赤いマカロンエンブレムがEB110と同じく、グリル内ではなくボディ表面に装着さていることも特筆すべき点。

プロポーションが決まると、デザインチームはEB110のバウハウス風のフラットな面とディテールの要素を現代的に変換することに取り組み、さらにEB110のスラブ型ヘッドライトを視覚的に再現するため、チェントディエチでは最先端のスリムなLEDヘッドライトを採用しています。
選出のアキーム・アンシャイト氏はさらに「EB110がなければ、我々の新しいブガッティブランドは今日の地位を確立していなかったと主張する人もいます。1990年代後半にフォルクスワーゲン・グループに買収された後、ブガッティの新しいビジョンがこのクルマによって形作られたのです。その驚異的な性能は、先日亡くなったニコラ・マテラッツィをはじめとする天才的な技術者のおかげですが、デザイナーの素晴らしいビジョンも認めざるを得ません。時代を超越したフォルムは、ブガッティの歴史に残る重要な作品へのオマージュとして、限りないインスピレーションを与えてくれたのです」とコメント。
たしかに、ヴェイロンからシロン、そしてチェントディエチにまで続く「ミドシップ、4WD、クワッドターボ」というパッケージングはEB110がブガッティの歴史上初めて採用したもので、それを踏襲する現代のブガッティがその延長線上にあるというのは疑いようのない事実だと考えてよいかと思います。
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参照:Bugatti