| トヨタ2000GTは今見てもまったく色あせない |
予想落札価格は表示されていないが、「億」を超えるのは間違いないだろう
さて、2月にパリにて開催されるオークションにてトヨタ2000GTが登場予定。
この個体は、ヨーロッパで最も長い歴史を持つトヨタディーラーのひとつであるドゥジェンヌーブ・コレクションから出品されるとのことですが、ナンバープレートは日本のものが取り付けられているようですね(リヤのプレートはフェイクのように見えるが、フロントのプレートは本物であるようだ)。
車台番号はMF10-10050 で、1967年7月26日にヤマハ工場を出荷された国内仕様の右ハンドル車であり、233台が製造された初期型モデルの中の1台です。
トヨタ2000GTは国産初のスーパーカーだった
トヨタ2000GTは1964年に「世界で通用するスポーツカー」「モータースポーツでも勝利を収めることができるスポーツカー」を目指して企画されたといいますが、よく知られるようにヤマハとの共同開発によって市販にこぎつけています。
基本的にはヤマハにて開発作業を行い(業務委託契約にてヤマハが開発を請け負った)、トヨタのメンバーがヤマハに出向く形でプロジェクトが進行したとされ、(市販モデルの)製造そのものもヤマハが担当することになっており、エンジンもヤマハとトヨタとの共同開発だとされています。
ちなみにエンジンヘッドカバーにはブラックのシュリンクペイントが施されていますが、これは「バイクだと当たり前、しかし4輪車だと非常に珍しい」仕上げだったといい、というのも自動車の場合はボンネットに隠れて見えないので美観に気を使う必要はなかったから。
しかし実際にこういった仕様となっているのは「ヤマハにとってこのフィニッシュが当然だった」から、そして何よりもヤマハのこだわりがそうさせたのかもしれません。
エンジンそのものは148馬力を派生する1,988ccツインカム直6、そしてミクニ・ソレックス製ツインチョークキャブレターが3基装備されています。
エンジンルーム内のプレートには「ヤマハ製」だと記されていますね(初めて見た)。
しかしトヨタによるプレートも装着されています。
ボンネットやトランクリッドにはヤマハがボート製造にて培ってきたFRP成形技術が反映されており、ルーフやフェンダー、ドアなどは板金職人による叩き出し。
つまりボディパネルは「ハンドメイド」であり、これが2000GTの修理コストが高かったり修理期間が長い理由なのでしょうね。
ちなみに「トヨタ」単体のエンブレムは外装のどこにもないようで、トランクリッド、フロントフェンダーに装着されるバッジは「TOYOTA 2000GT」。
なお、ホイールはマグネシウム(鋳造)製。
サスペンションはダブルウィッシュボーン式独立懸架装置、ブレーキシステムは4輪ディスク、そして5速マニュアル・トランスミッション、リミテッドスリップデフを備えるなど「当時としては、考えうる限りのハイスペック」。
なお、インテリアもヤマハが手掛けたものですが、楽器作りのノウハウが生かされ、特に木材の調達や加工においてはヤマハの強みが生かされています。
センターコンソールから栄えているレバーは「パーキングブレーキ」です。
ドアはなかなかに衝撃的な開き方をするようですね(現代の安全基準を満たそうとなると、この形状はもう再現できないものと思われる)。
もちろんこれは乗降性を考慮したがためだと思われます。
ヘッドライトはポップアップ式、そしてバンパーに内蔵されるのはフォグランプ。
ちなみにボディカラーは初期型だとこの「ペガサスホワイト」、そしてソーラーレッド、サンダーシルバーメタリックの3色のみしか選択できず、後期型だとベラトリックスイエロー、アトランティスグリーン、トワイライトターコイズメタリックが追加されていますが、ほとんどの個体がペガサスホワイトの外板色を持つもよう。
トランクはけっこう広々。
このトヨタ2000GTはレストア済み
なお、ナンバープレートから推測できるとおり、この2000GTは日本にて長らく保管され、そして2013年にヨーロッパに輸出されたそうですが、欧州へと出荷される前にレストアがなされていると紹介されており(記録はないようだ)、現在のオーナーで「3オーナー目」なのだそう。
欧州到着以後はトヨタディーラーのショールームへと展示され、リヨンで開催されたEpoqu'Autoやヴェトラズ・モントゥーでのAuto Rétroといったイベントにも登場したとされ、幅広く知られた個体であるようですね。
なお、今のところ予想落札価格(エスティメイト)は出されていないものの、「億」を超えるのは間違いないものと思われます。
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