| 当時はこのほかにもビニャーレなど、フェラーリをカスタムするコーチビルダーがいくつか存在していた |
そしてわざわざフェラーリをコーチビルダーに依頼しカスタムする顧客が少なからず存在したことも驚きである
さて、コーチビルダーである「マリオ・フェリーチェ・ボアノ」がカスタムしたフェラーリ250GTがオークションへと出品されることに。
当時マリオ・フェリーチェ・ボアノはピニンファリーナの下請けを行っていたそうですが、フェラーリ250GTのボディを少しだけ手直しし、より滑らかなシルエット、より低いベルトラインを与え、「フェラーリ250GTボアノ」として70〜80台ほど製作を行ったと伝えられています。
なお、この時代はこういったコーチビルダーが数多く活躍していたようで、ときどき同様の「コーチビルダーによるカスタムフェラーリ」が競売に登場したりするようですね。
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フェラーリ250GTボアノはこんなクルマ
このフェラーリ250GTボアノにはいくつかの特徴がありますが、最大のトピックはボディがスチールではなくアルミニウムにて作られていること。
ベースとなるのは1956年製のフェラーリ250GTで、こういった「ボディをそっくり入れ替える」という芸当が可能であったのは、当時のフェラーリがスペースフレームをベースに製作されていたからだと思われます(つまりモノコックではなく、フレームにガワを被せていたのでボディの取り換えが容易である)。
そしてこの軽量なアルミニウム製ボディ、さらに重心が低いロールーフスタイルを持つフェラーリ250GTボアノは当時ジェントルマンレーサーの間で人気を博したといい、今回出品されるのは、アメリカにて当時最も有名なフェラーリのインポーターにしてディーラーであったルイジ・チネッティに納車された個体。
納車後は1956年のナッソーグランプリなどいくつかのレースに出場したと紹介されていますが、正直これがレーシングカーであったとは信じられないほどの美しさ。
とくにこのブルーとクリームのレザーによって仕上げられたインテリアはエレガントそのもので、サーキットよりも明るい陽光に照らされて西海岸をクルーズするほうが似合いそうでもありますね。
この個体につき、驚くべきはフェラーリのクラシックカー部門「クラシケ」の認定書が付属していることで、つまりマリオ・フェリーチェ・ボアノはフェラーリ公認のコーチビルダーということになりそうです。
ぼくはこの「マリオ・フェリーチェ・ボアノ」を今回始めて知りましたが、このコーチビルダーの製作した車両は相当に人気があるようで(かつ希少であると考えられ)、予想落札価格は最高で2,138,000ドル(現在の為替レートにて約3億円)という高額エスティメイトが出されています。
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