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トヨタの株主総会にて株主が「テスラに勝てるのか」と質問→トヨタ「愛がテスラに勝てるかどうかはわからないが、愛するエンジニアが作るクルマは人の心を動かす」

トヨタ

| 株主としては期待外れの回答であったかもしれないが、愛が重要であることも間違いない |

テスラも同じように「愛」を持っているが、トヨタとテスラでは「愛」の方向性が異なり、それは優劣で語ることができるものではない

さて、トヨタはつい先日、2時間にわたる株主総会を開催し、そこで「トヨタはテスラに勝てるのか?」という株主からの質問が出たもよう。

正確に言うならば、トヨタがバッテリー工場への投資を拡大し、2025年に米国でEVの生産を開始するという発表を受け、「テスラにキャッチアップできるのか」と問いかけたようですね。

トヨタはこの質問に正面から答える

そしてトヨタはこの質問を想定していたのか、最初に登壇した宮崎洋一副社長は、トヨタの「多様な選択肢を通じた脱炭素化のマルチパスウェイ・アプローチ」によって電動化を進めること、そして研究主幹のギル・プラット博士も「多様な状況に対応するための最適な戦略は、多様な解決策を用意すること」という科学的見地からの回答を行っています。

なお、この「マルチパスウェイ・アプローチ」につき、ハイブリッド車、PHEV、BEV、FCEV、水素自動車、代替燃料を組み合わせてカーボンニュートラルを実現するというトヨタの戦略であり、必ずしも「ピュアエレクトリックカー=BEVのむが脱酸素のための唯一の方法ではない」というもの。

これについては、トヨタが様々な説明会、イベント、さらにはディーラーに対して送信した文書等でも言及しており、「ブレない」姿勢だと捉えてよいかと思います。

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トヨタ・プリウス
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一方、株主はじめ環境活動家の多くは「BEVへの対応が急務」「いかなる事情があろうとも内燃機関を搭載し、石化燃料を使用するのは良くない」と認識しており(つまりBEVのみが解決策だと捉えている)、ここがたびたびトヨタが(理解されずに)非難される部分なのかもしれません。

よってまず、トヨタはマルチパスウェイ・アプローチを周知させ、その理解を得る必要があり、ここがトヨタにとってのひとつの障壁だと言えるのでは、とも考えています。

トヨタ
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さらにはEVに対する「取り組み」をアピール

ただ、このマルチパスウェイ・アプローチを採用するといえど、佐藤恒治新社長のもとでは「BEV」にこれまで以上のウエイトが置かれていることも明らかで、「BEVファクトリー」の新設によって新世代EVを2026年に投入することについても言及済み。

そして冒頭の質問に対し、最も入念な回答をしたのがBEVファクトリーのプレジデント(トヨタでは事業部の長をプレジデントと呼ぶ)である加藤武郎氏(下の動画は2023年5月にこの部署が新設された際に公開されたもの)。

同氏は今回、「私はBEVが大好きです。BEVを通じて、クルマ、モノづくり、仕事の未来を変えたい。まずはクルマ。これまでのハイブリッド車と同じ航続距離を目指します。これは大きな仕事です。私たちがつくり、お届けするBEVの商品から、トヨタらしさを感じていただきたい。次にモノづくり。クルマの構造を変え、生産ラインの長さを半分にし、体を酷使する仕事を減らしたり、なくしたりすることで、日本のモノづくりを守り、高齢化が進む中で幸せな職場をつくりたいのです」。

加えて加藤武郎氏は「最後に、働き方です。今の時代はスピードが重要だと思います。私たちのチームには、開発だけでなく、会社のすべての機能が集まっています。私たちのチームはの悩みを共有し、日々議論しています。同時に、新たなパートナーと協力することで、全員が新しく豊かなアイデアを出せるようになる。すべてが新しいことなので、とてもワクワクしています!私たちのワクワク感や仕事の楽しさは、きっとみんなに伝わるはずだと信じています。私はBEVが大好きです。2回言いました。この気持ちを伝えたくて、皆さんの応援を力に頑張ります」とも。

トヨタ

そして最後にこの一連の(いずれもテスラに対して言及されていない)回答を締めくくったのは豊田章男会長で、ここでのコメントは「愛がテスラに勝てるかどうかはわからない。ただ、愛するエンジニアが作るクルマは人の心を動かす。私たちが作るBEVに期待してほしい」。

なお、トヨタは現在、多くの報道で見られるように、電動化についてはVWグループを含むライバル自動車メーカーに遅れをとっており、BEV展開プログラムの遅さに対する強い批判に直面しています。

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そして常々、テスラが「しばしば参照点として引き合いに出される」ことを自身も認めており、今回の株主総会での質問も予め予期していたことなのかもしれません。

参考までにですが、トヨタとテスラはかつて提携関係にあり、テスラの最初の工場もトヨタから買い取ったもの。

テスラ

しかし後に「テスラからは学ぶものがない」としてトヨタはテスラからの資本を引き上げますが、これは「枯渇性資源に依存すべきではない」というイーロン・マスクCEOの考え方、そしてマルチパスウェイ・アプローチが示すように、「枯渇性資源を活用しつつ電動化を進める」というトヨタとの考え方の相違であったのかもしれません。

ちなみに、今回トヨタから出てきた「スピード」「働き方」についてもテスラとの根本的な相違があるかもしれず、前者について、「テスラのクルマは、週に20もの改良を実施しているため、他の自動車メーカーのような、モデルイヤーやモデルチェンジという概念が無意味であること」において表すことができ、後者についてはイーロン・マスクCEOが「本当に革新的なEVを作ろうとするならば、週に40時間の労働ではとうてい足りない」と述べていることからもその差を見て取ることが可能です。

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