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| トヨタは「GT3」カテゴリーで勝つためにV8エンジンを選択 |
一方、ル・マンで優勝を飾ったTR 010 ハイブリッドは「V6」エンジンを積んでいる
自動車業界が「EV(電気自動車)シフト」や「エンジンのダウンサイジング(V8からV6、直4への移行)」に躍起になっている現代。多くのエンスージアストが大排気量マルチシリンダーエンジンが奏でる官能的なサウンドと圧倒的なパワーの終焉を憂いているという状況かと思います。
しかし、日本が世界に誇る巨人「トヨタ(TOYOTA)」はぼくらの想像以上に“ガソリン車の未来”に可能性を見出しており、「GT3」カテゴリー参戦を見据えて完全に新設計された「4.0リッターV型8気筒ツインターボ・ハイブリッドエンジン」の開発を進めていることは既報の通りではありますが、このエンジンは単にパワーを追い求めるだけではなく、トヨタらしい緻密なアプローチによって「ターボラグの完全な抹殺」と「抜群の信頼性」を両立させた、まさにゲームチェンジャーとなる新世代V8だとも評されているわけですね。
ここではその驚きのメカニズム、そしてトヨタが仕掛ける壮大な戦略の裏側に迫りたいと思います。

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GR GTに積まれるトヨタの新開発4.0L V8ツインターボは「V10の魂」を受け継ぐエンジニアリングの傑作、あるいは凡作か
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この記事の要点
- 時代に抗うV8の開発: 各メーカーが電動化やダウンサイジングを進めるなか、トヨタは次世代のフラッグシップ・ハイパフォーマンスカー向けに4.0L V型8気筒ツインターボエンジンを開発中
- 驚異の640馬力オーバー: トランスミッション一体型のシングルモーターハイブリッドと組み合わせ、システム合計出力は約641hp、最大トルクは約850Nmに達すると予想される
- 「ホットV」による超コンパクト設計: バンクの間にターボを配置するホットV(Hot-V)構造を採用。排気経路を最短にすることでレスポンスを劇的に向上させ、マスの集中化を実現
- ターボラグをゼロにする新特許: 左右のインテークマニホールドを物理的につなぐ「コミュニケーションパイプ」に関する特許を出願。一時的な圧力の不均一を瞬時に解消し、鋭いスロットルレスポンスを実現する。
- GT3レース直系のホモロゲーションモデル: このV8は、世界のモータースポーツシーンを席巻する次世代のGT3レーシングカー「GR GTコンセプト」の市販バージョンに搭載され、今後のハイパフォーマンスモデルの核となる

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レース直系、伝統の「RV8」ファミリーの血を引く超高回転型ショートストローク
トヨタが開発中の新型V8エンジンは、トヨタが長年モータースポーツで培ってきたレーシングエンジン「RV8」の構造をベースにしながらも、市販車用(ストリート)として完全にリエンジニアリングされたもの。
そのボア(シリンダー内径)は87.5mm、ストローク(行程)は83.1mmに設定され、総排気量は3,998cc(約4.0L)。
ピストンの移動距離よりも直径が大きい「オーバースクエア(ショートストローク)」構成となっていますが、これは、高回転域での圧倒的なパワーの伸びと、アクセルペダルに足を乗せた瞬間にタコメーターの針が跳ね上がるような、レーシングカーさながらの爆発的なレスポンスを狙った設計であることを意味しています。※ランボルギーニ・テメラリオ同様、低回転域ではエレクトリックモーターのアシストを得ることを前提として、ガソリンエンジンは高回転へと特化したのかもしれない
弱点を強みに変える「ホットV(Hot-V)」レイアウトの採用
この新型V8エンジンにおいて最も重要なのが、2つのターボチャージャーをV型シリンダーバンクの内側に配置する「ホットV(Hot-V)」レイアウトを採用した点で、従来のツインターボはエンジンブロックの外側に配置されることが多く、排気ガスがタービンに届くまでの経路が長くなり、それが「ターボラグ(加速の遅れ)」の原因となることも。

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「ホットV」ターボエンジンを発明したのはBMW。その後メルセデス・ベンツ、フェラーリ、トヨタも採用するに至った現代エンジン最強の秘密に迫る
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一方ホットVでは排気ポートからタービンまでの距離が最短になるため、排気エネルギーを一切無駄にすることなく一瞬でブースト圧を立ち上げることができるようになり、またエンジン全体が非常にコンパクトに収まるため、車両のより低い位置、かつ後方(フロントミッドシップ)に搭載することが可能となってクルマの運動性能(コーナリング時の限界値)を飛躍的に高めてることも可能となるわけですね。
物理法則をハックする、トヨタ独自のシンプルかつエレガントな特許技術
なお、トヨタが出願した特許出願書類によると、トヨタのエンジニアはホットVの特性をさらに研ぎ澄ますための奇妙なパーツを開発しており、それが「コミュニケーションパイプ(接続パイプ)」なるデバイス。
左右に独立したターボを持つV8エンジンでは、サーキットでの激しい加減速やシフトチェンジの際、左右のバンク間でほんのわずかな「吸気圧力のズレ(アンバランス)」が生じることがあり、これは街乗りでは誰も気づかないレベルではあるものの、コンマ一秒を争うレースや超一流のドライバーが駆るレーシングカーにおいては”スロットルフィールの違和感”に繋がります。

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トヨタが考案した解決策は、左右のインテークマニホールドの間に一本の細いパイプを渡し、物理的に気圧を同期させるというもので、複雑な電子制御モーターや可変バルブに頼るのではなく、「気圧は高い方から低い方へ流れる」という単純な物理法則を利用した、”いかにも日本的な”、壊れにくく確実な名アイデアと言えそうですね。
新型4.0L V8ツインターボ・ハイブリッド 予想主要諸元
- エンジン型式: 4.0リッターV型8気筒DOHCツインターボ(新設計)
- シリンダー構造: ホットV(Hot-V)レイアウト、ドライサンプ潤滑採用
- ボア×ストローク: 87.5 mm × 83.1 mm(オーバースクエア型)
- 排気量: 3,998 cc
- ハイブリッドシステム: トランスミッション一体型シングルモーター
- システム総合最高出力: 約641 hp(650 PS) ※ベース目標値
- システム総合最大トルク: 約850 Nm
- トランスミッション: 8速オートマチック(プラネタリーギア駆動)
- 駆動方式: 後輪駆動(RWD / フロントミッドシップレイアウト)
- 0-100km/h加速: 約2.9秒(想定値)
- 最高速度: 約320 km/h
GR GT:市場でのポジショニング:ポルシェ、フェラーリを標的にしたホモロゲーションモデル
このモンスターパワーユニットは「GR GT」として市販化が予定されているスポーツクーペに搭載される予定ではありますが、GR GTの価格帯としては2,000万円から3,000万円クラスだとウワサされ、ポルシェ「911ターボ」やフェラーリ「アマルフィ」、アストンマーティン「ヴァンテージ」といった、ピュアスポーツからラグジュアリースポーツカーがまでがライバルになるものと思われます。

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かつてのトヨタのV8(5.7Lの3UR-FEなど)がタンドラやランドクルーザーといったトラック・SUV向けの「重厚でタフな実用型」だったのに対し、今回の新型V8は「世界中のサーキットでラップタイムを叩き出すための純粋な兵器」という、ブランドの歴史を塗り替えるポジションを担っていることは非常に興味深い事実でもあり、そのサウンドはもちろん、パフォーマンスにも期待がかかるところです。
ダウンサイジングに苦しむ競合と、トヨタが勝負に出た「もうひとつの理由」
ここで現代のプレミアムカー市場における背景を少し深掘りしてみると・・・。
ライバルの「ダウンサイジングへの反発」という追い風
近年、多くのメーカーが過度な環境規制に対応するため、伝統のマルチシリンダー(主にはV8)を廃止し、4気筒や6気筒PHEVへと移行しているという状況。
しかし、その結果「車重が重くなった」「スポーツカーとしての官能的なエンジンサウンドが消えた」として目の肥えた富裕層やエンスージアストの間で大きな反発が起きていることも無視できず、事実、メルセデスAMGでは4気筒ハイブリッドスポーツの販売が苦戦していることを理由とし、再び大排気量エンジンへの回帰を模索する動きすら見られます(フェラーリのV6も苦戦している)。
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トヨタが仕掛ける「マルチパスウェイ戦略」の具現化
トヨタはかねてより「カーボンニュートラルへの道はEVだけではない」と主張し、水素エンジン、クリーン燃料、ハイブリッドなど複数の選択肢を遺す「マルチパスウェイ戦略」を唱えてきたのは御存知の通り。
今回、あえて莫大な投資を行ってまで新しいV8エンジンを開発したことは、「内燃機関にはまだまだ進化の余地があり、プレミアムな楽しさを守り続ける」という世界への強いメッセージでもあり(同様に、センチュリーにも内燃機関を搭載すると明言している)このエンジンは合成燃料(e-Fuel)やバイオ燃料の適応も視野に入れているとみられ、法律でガソリン車が禁止されない限り、今後10年以上はトヨタおよびレクサスのスポーツハイエンドの象徴として君臨し続けるポテンシャルを秘めています。
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結論
トヨタが開発を進める新しい4.0L V8ツインターボ・ハイブリッドエンジンはけして懐古主義や過去へのノスタルジーではなく、ホットV構造による超コンパクトなパッケージング、耐久レースのノウハウを詰め込んだ高回転型設計、そしてターボラグを物理的に解決する「コミュニケーションパイプ」など、最先端のエンジニアリングによって「エコ」と「パフォーマンス」とを融合させた新時代の芸術品ともいえるパワーユニット。
環境対策のために個性が奪われるクルマが増えるなか、「これこそが自分たちが欲しかった本物のスポーツカーだ」と世界中のファンが快哉を叫ぶ日はもうすぐそこまで来ているというのが現在の状況で、豊田章男章男(モリゾウ)氏率いる「G(Gazoo Racing)」が仕掛ける、内燃機関の火を絶やさないための世紀の大博打の行方に注目したいと思います。
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参照:Toyota, CARBUZZ











