| 現在、自動車メーカーは「法規制」の間で揺れており、単独では方針の決定をできない状態にある |
この規制をどう捉えるかによって、今後の各自動車メーカーの対応は大きく変わりそうだ
さて、ランボルギーニはフラッグシップV12スーパーカー、レヴエルトを発表したところではありますが、早くも「その次」のスーパーカーについて考えているもよう。
ランボルギーニのクルマは(フェイスリフトを挟んで)約10年でモデルチェンジしますが、要はレブエルトの次、2033年に登場するフラッグシップモデルについて語った内容が報じられており、それによるとレヴエルト後継モデルも「内燃機関を搭載したハイブリッド」というレヴエルト同様のパッケージングを継続するもよう(ただしその内容は大きく変わるものと思われる)。
ランボルギーニはこれまでに、自然吸気、そして大排気量のV10とV12を搭載することで最も魅力的なスーパーカーを作るという評判を築いていますが、ほかのいくつかのスポーツカーメーカーとは異なり、スーパーカーセグメントにおいて「ピュアエレクトリック」へと移行しない可能性を考えている、ということになりそうです。
ランボルギーニは合成燃料(Eフューエル)の使用にて内燃機関の生き残りを図る
報道によれば、ランボルギーニCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏は「今後10年間でEフューエルを実用化し、まずはモータースポーツにてEフューエルを使用すること」をスタート地点として掲げています。
その後は市販車にもこれを使用できるようにしたいと考えているとコメントしていますが、その理由は「創業から60年を経過したとしても、ランボルギーニが生産したクルマの大半がまだ存在しているから」。
よってEフューエルを既存のガソリン車に使用できるようにすることは、それまでのクルマを乗り続けることができるようにするための”責務”だとも捉えているようですね。
もちろん現在のところ、(2023年以降、EUはじめいくつかの国や地域ではガソリン/ディーゼルエンジンを積む新車の販売は禁止されるものの)販売済みのガソリン車の中古市場での売買、そして運転が将来的に禁じられるという話は出ていませんが、やがてこれらを規制するという話が出てもおかしくはなく、よってランボルギーニはそのときのことを考えているのかもしれません。
2035年以降のランボルギーニのスーパーカーは「PHEVに」
そしてランボルギーニの(当面における)最後の目標は「(ガソリン/ディーゼルエンジンを搭載する新車の販売が禁止される)2035年以降にも、内燃機関を積んだプラグインハイブリッド車の販売を継続すること。
なお、すでに報じられたように、EUでは「2035年以降、ガソリン/ディーゼルエンジンを積む新車の販売が禁止」されるものの、一つの救済策が示されていて、それこそが今回話題となっている「Eフューエルの使用」。
正確に言うならば、「非生物由来の再生可能な液体および気体輸送燃料とリサイクル炭素燃料」を使用すれば、内燃機関を搭載する自動車の新車販売を行うことが出来るわけですね。
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ただ、現時点ではその解釈が曖昧であり、Eフューエルを認めるという(欧州連合からの)声明が出されたわけではなく、今後もその解釈が二転三転する可能性もあり、ステファン・ヴィンケルマンCEOも「この解釈が定まるまでには数年かかる」と見ているもよう。
なお、ランボルギーニは現在フォルクスワーゲングループに属していますが、その中でも解釈や対応が分かれており、ポルシェは内燃機関を存続させるために合成燃料に対して「非常に熱心」に取り組んでいて、そしてランボルギーニもそこへ加わることになりますが、ただしランボルギーニは「ポルシェとは別に開発を進める」とも宣言しています。
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一方、フォルクスワーゲンは「合成燃料など無意味」と断じていて、現時点ではグループ内で足並みが揃っておらず、これはやはり「まだEUがしっかり合成燃料に対する見解を決めておらず、さらには法整備や流通に課題が残るため」なのかもしれません(逆に、このあたりがちゃんと決まれば、”様子見”もなくなり合成燃料対応に向けて動くメーカー、そうでないメーカーとが明確に分かれそうだ)。
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なお、ランボルギーニもEUの動向を注視しつつ今後の対応を決定するとしていた時期があったものの、直近のコメントなどを見てみると、ピュアエレクトリックパワートレーンを搭載するのはウルスや(新しく発売される)2+2GTのような日常使い出来るモデルであり、内燃機関を積むPHEVはレヴエルトやウラカン後継モデルのようなスーパースポーツといった棲み分けを行うことになりそうです。
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参照:CarExpert