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運転者死亡率がもっとも高いのはアメリカンマッスル、次いでコンパクトカー。一方で高級車やSUVの死亡率は極度に低く、スポーツカーや低コスト車の死亡率が際立つ結果に

2023/07/19

ダッジ

| あまりそうは考えたくないが、クルマの大きさや価格と「命」とは大きな関係があるようだ |

プレミアムカーメーカーのクルマほど死亡率が「極端に」低いことが数値によって明らかに

さて、「スピード違反を起こす比率が高いクルマ」ランキングがたびたび公開されたりしますが、今回はちょっと恐ろしい「(ドライバーの)死亡率が高いクルマ」ランキングが公開に。

これは米国道路安全保険協会(IIHS)による新しい調査基づいたもので、まず概要から言えば「マッスルカーはアメリカの道路で最も死亡率の高いクルマのひとつ」であることが明らかになっています。

調査対象となったのはアメリカにて登録されている2020年モデルの車両だとされ、死亡率が突出しているのはシボレー・カマロ、ダッジ・チャレンジャー、ダッジ・チャージャーといったアメリカンマッスルの面々(以外なことにマスタングはランキング上位に顔を出していない)。

IIHSのデビッド・ハーキー会長は、「通常、運転者の死亡率が高いのは小型車であり、これは特に大型で重いSUVやピックアップトラックとの衝突によることが原因で、保護性能がそれほど高くないことに起因します。ただ、このリストの上部に出てくるのがマッスルカーばかりということは、クルマのイメージや販売方法も衝突リスクの一因となることを示していることにほかなりません」。

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そのクルマのイメージはマーケティングによって作られる

デビッド・ハーキー会長は「アメリカンマッスルのドライバーの死亡率が高いこととマーケティングとは密接に関係している」と指摘していることになり、一つの例として同じようなパワーを持つメルセデス・ベンツEクラスの登録車年数100万台あたりの死者数がゼロ(これもスゴいと思う)、しかしチャレンジャーでは154人にものぼることに言及しています。

「私たちは馬力や重量を測定し、衝突安全性をテストすることができます。しかし、これらのマッスルカーの死亡記録は、その歴史とマーケティングがよりアグレッシブな運転を助長している可能性を示唆しています」。

さらに言えば、メルセデス・ベンツEクラスやBMW X3(このクルマも死亡は0人だった)のような車は、一般的に年配で家族思いの人が運転するもので、これらのクルマのマーケティング戦略を見ると、一般的にラグジュアリー、快適性、安全性に重点を置いており、必ずしもパフォーマンスではないことがわかります。

反面、アメリカンマッスルはそのキャンペーン、映画を通じたプロモーションなどで「パフォーマンス」を主張しており、同氏はこれを「死亡率が高い原因のひとつ」だと指摘しており、これら出力の高いクルマに乗ると、誰もが「映画の主人公になった」ような気持ちになることに言及したいのかもしれません。

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参考までに、コロナ禍に突入した後は世界中でスピード違反、それに関連する交通事故が増加したと報じられていますが、アメリカンマッスルのドライバーにおける「死亡割合増加」もこういった事情と無縁ではなさそうです。

ただ、アメリカンマッスルの名誉のために補足しておくと、今回の「死亡率の高いクルマリスト」の大半は(デビッド・ハーキー氏が指摘したように)小型車であり、たとえばミラージュG4とミラージュ・ハッチバックの死亡率はそれぞれ205と183という高い数値に。

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死亡率の高いクルマランキング

  1. 三菱ミラージュG4・・・205人
  2. 三菱ミラージュ・ハッチバック・・・183人
  3. ダッジ・チャレンジャー・・・154人
  4. ヒョンデ・アセント・・・152人
  5. シボレー・スパーク・・・151人
  6. キア・リオ・・・122人
  7. ダッジ・チャージャー(HEMI)・・・118人
  8. シボレー・カマロ・コンバーチブル・・・113人
  9. 日産アルティマ・・・113人
  10. キア・フォルテ・・・111人
  11. シボレー・カマロ(クーペ)・・・110人
  12. シボレー・ソニック・・・107人
  13. ヒョンデ・エラントラ・・・103人
  14. クライスラー300・・・100人
  15. フォード・マスタング・コンバーチブル・・・97人
  16. シボレー・マリブ・・・91人
  17. ダッジ・チャージャー・・・91人
  18. シボレー・トラックス・・・89人
  19. フォード・エコスポーツ・・・84人
  20. シボレー・インパラ・・・80人

今回の統計は興味深い現実を示している

たしかにこの統計を見るとコンパクトクラスの「運転者死亡率」が非常に高く、セダン、クーペ、オープンカーもそれに続いていますが、逆に「トラック」「SUV」はここに入っておらず、つまり「トラックやSUVは運転者死亡率が非常に低いクルマ」とも解釈できます。

さらにこのリストのずっと下、つまり「運転者死亡率が低い」クルマのトップ10のうち6台がプレミアムカーもしくは高級車メーカーのクルマだといい、つまり「クルマのコストも安全性能を左右する一因」ということなのかもしれません(ただ、それでもトヨタやホンダはこのランキングに顔を出しておらず、つまりコストにかかわらず、相当に安全性が高いのだと考えられる)。

そして「同乗者の死亡率」という観点からの統計だとマッスルカーが総じて高く(相乗りして事故を起こすことが多いのかも)、他者(他のクルマの乗員や歩行者など)を死に追いやる可能性が最も高いのはラム3500クルーキャブ・ロングベッド4WD(189人)で、つまりこのクルマに当たられると命のリスクが高くなるということですね。

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加えて注目すべきは(今回の統計の対象となった)2020年モデルの1台あたり平均死亡率が38人に増加したことで、2017年の36人、2011年モデルの28人と比較しても大きく増えたという事実であり、これはIIHSによると「近年増加した交通事故死者数の増加に比例したため」。

そしてこれには若干の補足が必要であり、「アメリカならではの事情がある」もよう。

近年のクルマの安全性が高くなっていることはご存知のとおりですが、アメリカでは古いクルマに乗る人が多いといい、そういった環境の中で「最新の、大きなSUVやトラック」に衝突されると古いクルマはひとたまりもなく、よって増加した死者の割合で増加しているのは「自分が運転しているクルマで事故を起こした場合」よりも「他人が運転するクルマに衝突された場合」なのだそう(事故の総数が増え、そこに巻き込まれた古いクルマの数も比例して増え、そして死者数もそれにあわせて増えている)。

参照:IIHS

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