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中国自動車メーカーの国内シェアが史上はじめて50%を超える。VWは首位陥落、テスラ、フォード、GMは統計開始以降シェアが最低に、そしてフランス勢のシェアは1%未満に

中国自動車メーカーの国内シェアが史上はじめて50%を超える。VWは首位陥落、テスラ、フォード、GMは統計開始以降シェアが最低に、そしてフランス勢のシェアは1%未満に

| このままでは中国市場から「撤退」せねばならないときがやってくるだろう |

ただし中国のEVメーカーも現在の「167」から「25−30まで」に減少すると見られている

さて、ここ毎日のように話題になるのが「中国の自動車メーカーの著しい台頭、それによる欧米自動車メーカーの衰退」。

なお、この「中国自動車メーカーの台頭」は主にEVに関してであり、幸か不幸か日本の自動車メーカーは電動化の波に乗り遅れたために中国自動車メーカーの猛追によってシェアを失う割合が(結果的に)小さくなっています。

そして今回報じられているのが、ついに「中国国内にて、中国の自動車メーカーのシェアが50%を超えた」というニュースであり、ついに中国自らが国内市場を支配する勢力を持つに至ったという事実です。

中国自動車メーカーが50%のシェアを獲得するのは「初」

過去40年間、中国の自動車市場はフォルクスワーゲンやトヨタのような既存のグローバルブランドが中国現地のパートナーとの合弁事業によって市場を支配しており、つまりは日米欧の自動車メーカーの独占状態が長く続いています。

参考までに、中国市場におけるマーケットシェアNo.1は長らくフォルクスワーゲンが占めており(ピーク時には15%近かったと言われる)、そしてフォルクスワーゲンにとっても実に販売の半数近くが(これもピーク時で)中国市場であったわけですね。

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そしてメルセデス・ベンツにとっても中国は非常に重要な位置を占める市場であり、「何があっても中国を手放さない」「とことん中国重視」姿勢を最近まで貫いていたものの、直近では「もうこれまでのように中国市場で春を謳歌することはできないだろう」「対中戦略を見直す必要がある」といった弱気発言も。

メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツが改めて中国市場の重要性を強調。「ロシアとは訳が違う。たとえ台湾に中国が侵攻しても中国からの撤退はない」

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BYD (3)

なぜ中国国内で中国車の販売が伸びているのか

そしてこういった中国自動車メーカーの伸びを牽引しているのが「EV」であり、これは中国政府自体がEVの販売を推奨しているため。

中国は(上述の通り)長年日米欧の自動車メーカーに市場を牛耳られるという屈辱を味わっており、そのためしばらく前に「EVの生産と輸出で世界ナンバーワンになる」という目標を掲げていますが、このときにはまさか(中国政府以外の)誰も今のような状況になるとは想像しておらず、「中国の自動車メーカーが影響力を持つのは当分先のことだろう」と考えていたのかもしれません。

ただしそこから数年のうち、かつて中国市場でナンバーワンだったフォルクスワーゲン、2番めのシェアを持っていたトヨタ、4番目だったGM、5番目のトヨタなどが相次いでそのシェアを奪われ、代わりに台頭したのはBYD(比亜迪)やGeely(吉利汽車)といった中国勢。

なお、中国勢が伸びたのは上で述べたように「EV推奨政策」が大きく影響しているものの、もう一つ指摘されている理由が「中国の消費市場の低迷」。

コロナ禍以降の中国経済の回復力が鈍く、よって各家庭とも消費を抑える傾向があるといい、クルマの購入についても「より安価な中国車」を求める傾向が強くなっているというわけですね。

BYD (2)

そしてこういった傾向は今後強まりこそすれ弱まることはないと見られていて、さらには2023年第1四半期に中国が自動車輸出国ナンバーワンとなったことでいっそうの警戒感が強まり、つい先日、UBSは欧米自動車メーカーのシェアが約20%中国に奪われるだろうという見解を示したばかりです。

世界自動車市場の81%を持つ欧米自動車メーカーのシェアは「中国メーカーの台頭によって58%まで低下するだろう。テスラは現在の2%から8%へと伸び、ルノーとVWが失速する」
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| さらに新興国や低所得地域では中国車のシェアが飛躍的に伸び、もしかするとこの推測以上に中国車の勢力が拡大する可能性も | たった数年で中国の自動車メーカーは状況を塗り替えてしまった さて、UBSグル ...

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話を中国国内市場に戻すと、現在BYDのシェアが11%に達しており(かつてのフォルクスワーゲンに近いレベル)、中国における販売上位20ブランドのうち11が地元中国のブランド。

この影響を受けてフォード、そしてGM(ビュイック・シボレー)など米国車のシェアは2008年以降「最低」となり、なんとテスラも統計取得開始以降「最低」に。

そして影響を受けているのはアメリカ勢だけではなく欧州勢も同様で、フォルクスワーゲンはシェアトップの座から陥落し、メルセデス・ベンツも価格競争に巻き込まれて大幅値下げに踏み切って利益が圧縮されている状態です。

メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツのEV、EQEとEQSが中国で絶望的に売れず、それぞれ100万円と470万円値下げ。もはや中国国内では「中国メーカーのEV」に歯が立たない

| 欧米の自動車メーカーはずっとテスラをベンチマークとしてきたが、それがそもそもの間違いだったのかも | しかし誰も中国の自動車メーカーがここまで伸びるとは予想できなかっただろう さて、先日はテスラが ...

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BYD (4)

とくにフォルクスワーゲンはこの事態を重く見ており(フォルクスワーゲンはガソリンエンジンを切り捨てる計画を持っているので、電動化で失敗すれば会社の存続の危機となる)、中国のシャオペンと合同にてEVを開発し価格競争に備えていると報じられたばかり。

メルセデス・ベンツ
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ただしそれでもフランス勢よりは「まだマシ」だとも言われていて、というのもPSA(プジョー・シトロエン)、ルノーの中国国内シェアはそれぞれ1%に満たないという「虫の息」だから。

中国の自動車メーカーは既存グローバル自動車メーカーを破壊する存在に

欧米メーカーにとって、つい数年前までは中国市場は「甘い蜜を吸うことができた夢のような市場」、しかし今では「撤退かどうかを迫られるほどのレッドオーシャン」となっており、つまり短期間のうちに天国から地獄へと突き落とされてしまったわけですが、本当に苦しいのはここから先だという予測も多く、アリックスパートナーズによれば「中国のEVメーカーは、安価な車であっても先進運転支援システムなどの機能を重視することで、欧米の自動車に対するリードを広げており、中国の自動車メーカーは今後数年間、テスラのように既存のグローバル自動車メーカーを破壊する存在となるだろう」。

さらには「外国ブランドが中国で生き残りたい、あるいは自国市場でそれらのブランドによる破壊的影響に直面したいのであれば、中国の新しいEV新興企業から学ぶのが最善である」とも述べており、欧米の自動車メーカーがよく言う「良い製品を作れば価格競争に巻き込まれず、利益を確保できる」という考え方がまったくもって見当違いということも指摘しています。

現在中国では40もの自動車グループ会社が存在し99ものブランドが競争している!2016年以降では50社が誕生、今年だけでも最低9ブランドが登場の予定

加えてアリックスパートナーズは「海外市場における中国ブランド車の年間販売台数は、2030年までに900万台に成長する」「中国ブランドの世界シェアは30%に達し、ヨーロッパでは15%、南米では19%、東南アジアと南アジアでは19%の市場シェアを獲得する」という予測も展開。

しかしその一方、中国の自動車メーカー同士の競争がますます激化するであろうことにも触れており、現在167もあるEVブランドのうち、2030年まで生き残れるのは25から30ブランドだけだとも述べ、サバイバルレースの厳しさについても指摘しています。

ただ、これら予測も(今までの予測がそうであったように)大幅に「甘い」のかもしれず、実際の”これから”はもっともっと過酷な展開となるのかもしれませんね。

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参照:Bloomberg, The Wall Street Journal, ASIA Financial

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