| ただし現実的にはホワイト、シルバー、グレーにておよそ80%のボディカラーが占められている |
EVの普及によって自動車が「個性化」するのか「没個性化」するのかはわからない
多国籍化学コングロマリット、BASFのデザイナーは毎年、世界中の自動車デザイナーにインスピレーションを与える新しいコレクションを発表していますが、2022-2023年のコレクションとして発表されたのが「NEW ARRAY」と名付けられたカラーたち。
これらは持続可能性と機能性に重点を置きつつも「新しくエキサイティングなカラースペースに進出する革新的な色合い」だとされています。
全般的に人工知能からインスピレーションを得ており、古典的な自動車の色合いを避け、表情豊かでポジティブな気分を反映する明るい色合いで彩りたいという願望が込められているようですね。
「NEW ARRAY」とは?
コレクションタイトルの「NEW ARRAY」は、BASFによれば「価値をオーダーし、新たなニーズに対応する思慮深いプロセス」を意味しているとのこと。
前のレベルにも次のレベルにも属さない移動手段であり、乗る人をその中間の、しかし”限界の空間”に連れて行くとしており、モビリティの未来を展望すると説明されています。
これらカラーイメージは世界の3つの地域に分けられて提案がなされ、BASFは今後3年から5年の間に、これらの色の一部が自動車に実際に使用されることになることを予測しているのだそう。
まず、ヨーロッパ、中東、アフリカ(EMEA)をイメージした色彩は、新しい顔料の使用によって高彩度に達し、美しく強烈な新しい色合いを可能にする、と解説されています。
ダークトーンは繊細で滑らか、そしてニュートラルな色調は微妙な色彩情報を加えることでバーチャルなルックスを演出し、そこにかけられたエフェクトはアイデアと視覚的印象をサポートすることに。
EMEAのオートモーティブ・カラー・デザインの責任者であるマーク・グッチャール氏によれば「全体として、アイデンティティはユニークさによって示されるだけでなく、多様なカラーポジションやエフェクトによって、すでにユニークなキャラクターをさりげなく拡張する能力においても示されます」。
次いでアジア太平洋地域の色彩は”限界の空間に立ち、私たちに安らぎ、幸福感、スパイス、そして拡大し重要性を増している人間の個性を反映した解決策をもたらし、それぞれの物語とともに、やさしく、生き生きとした生き方を示す”というメッセージが内包されています。
アジア太平洋地域のオートモーティブ・デザイン責任者である松原千春氏によれば「アジア太平洋地域の色は、前向きで現実的な未来を形作ります。これら色彩は、ポジティブで現実的な未来を形づくります。あなた自身の物語を描き、社会的なプレッシャーから離れ、カラフルなアイデンティティを持つことを可能にするのです」。
そしてアメリカ大陸 をイメージしているのは”進歩のビジョン”で、「社会が洗練された外観や魅力的な効果との接触を失うことなく、根本的に異なる美的感覚に移行するかどうか、その方向性に取り組む姿勢をあらわし、進歩のヴィジョンは、深み、質感、互換性を備える」のだと説明されています。
全体的には非常に抽象的で、「わかるようなわからないような」印象ではありますが、BASFとの「色をもって新しい世界を構築したい」という想いそのものはしっかり伝わってくるようにも思われ、実際に「ボディカラーをもって何かをアピールしたい」という積極的な選び方をするユーザーが出てくると、もっと自動車業界も多彩なカラーを用意するようになるのかもしれませんね。
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参照:BASF