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レクサス「ライバルを研究した結果、ドイツ車の車体剛性に匹敵できないことがわかりました。よって今後は”4つのボディポジション”を理解しドライビングアイデンティティを確立します」

レクサス「ライバルを研究した結果、ドイツ車の車体剛性に匹敵できないことがわかりました。よって今後は”4つのボディポジション”を理解しドライビングアイデンティティを確立します

| これまでのレクサスは「車体後部の剛性向上」にしか目が行っていなかったようだ |

すでにレクサスの車体は「総合的な強化」がなされはじめている

さて、レクサスはその設立当初から欧州とくにドイツのプレミアムカーメーカーをベンチマークしていることでも知られますが、今回は興味深いレポートが公開されてちょっとした話題に。

その内容というのは「すべての(レクサスの)ラインアップを同じ乗り味にしたい」という新しい方向性についてであり、これはある意味で「個性を消す」ことにもなりかねず、もしかするとレクサス各モデルのキャラクターを曖昧にしてしまう可能性があるのかもしれません。

ただしこの方向性はプレミアムカーメーカーにとってはプラスに働く可能性があり、というのもレクサスオーナーが(レクサスからレクサスへ)乗り換えた差異、そのフィーリングが同じであれば「安心」するから。

たとえば業界が違えど、世界中のどのスターバックスに行っても注文の方法が同じで、言葉がわからなくても赤いランプの下で待っていれば自分が注文したものが出てくるという安心感にも似ているかもしれません。

レクサスはいったい何を「悟った」のか

そこで今回のレポートを見てみると、レクサスは2018年からメルセデス・ベンツやBMW、アウディといったドイツのライバルたちを研究し始め、そこで悟ったのが「レクサスのクルマはドイツ車の車体の剛性に匹敵できない」という事実。

それ以来、レクサスの開発チームはレクサスのラインナップにあるすべてのモデルのフロント、リア、および2つの中央セクションにサポートブレースを追加することに着手しており、パフォーマンスを向上させるとともに、「レクサスのドライビングアイデンティティを開発する計画」を立てることに。

レクサスの感性パフォーマンス開発部門のプロジェクトマネージャーは明確に以下のように語り、レクサスが向かうあたらしい方向性を示唆しています。

「レクサスのどのモデルに乗っても、同じドライビングテイストを目指しています。レクサスはこれまで、ライバルの車体組み立て方法を知るまでは、クルマの後部剛性のみを高めることに重点を置いていました。当時は「4つ」のボディポジションを完全に理解しておらず、しかし競合他社を研究してはじめてそれを知ったのです。それに気づいたとき、レクサスの全モデルにそれを加えたいと思いました」

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レクサスの製造プロセスにはすでに改良が導入されており、完全電動モデルであるRZには(2022年に生産を開始したときに)フロントブレースが追加され、NXでは2023年にフロントエンドがアップデートされ2024年にはリアが改良されることに。

そしてこれは(ミニバンである)LM含めレクサスのラインナップすべてに(現在は部分的に)試験的に導入されていることにも言及されており、将来的には”完全に”実装される予定ではあるものの、モデルによってはシャーシ、ひいては製造プロセスに大規模な変更を加える必要が生じるため、完了までには数年かかる可能性にも触れられています。

思ったように自動車の挙動を設定することは難しい

ちなみにですが、クルマの「乗り味」を意図したように調整することは容易ではなく、それはレクサスが「気付いた」ように、車体のことを完全に理解していないと思うような設定を行うことができないから。

つまり「こうしたい」と思っても、基礎がしっかりしていないと期待する挙動を演出できず、結果として「思ったのと違う」フィーリングとなってしまうわけですね。

ぼくは「ちょっと前のトヨタ車がこれに該当する」と考えているのですが、たとえばトヨタ車は(ランクルのようなラダーフレーム車を別にすると)ほとんどのクルマが同じような乗り味になっていて、そしてガソリンが満タンでもすっからかんでも、乗員がドライバーだけであってもフル乗車であっても同じような挙動を示していたと認識しています。

そしてそれは「トヨタが目指した」からではなく、各部が曖昧なために「結果的なそうなってしまった」のだとも考えていて、つまりトヨタが意図した結果ではないと捉えています。

その反面、ポルシェだと、「ボクスターとケイマンと911カレラ」がまったく違う乗り味に仕上がっているのは当然として、「ボクスターとボクスターS」「ケイマンとケイマンS」「911カレラと911カレラS」との間でも「全然違う」フィーリングとなっています。※さらに「T」もまた違うドライブフィールであり、それぞれの個性が明確になっており、グレードを増やしたぶん売上が伸びるのも納得である

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これらベースモデルと「S」とは機械的にはほとんど相違はなく、しかし全く異なる乗り味を演出できるというのは驚くより他はなく(ベースモデルは軽快で、Sになるとしっとりとした粘りが出るという感覚)、つまりこれはポルシェが「どこをどうすれば、ドライバーがどう感じるのか」を熟知し、その調整を加えれば意図した結果を引き出せるだけの下地を持っているということに他なりません。

ただ、今回のレポートを見ると、レクサスは「結果的に同じ乗り味になってしまう」ことを許容するのではなく、積極的に同じ乗り味になるようにセッティングを行うという明確な意思が感じられ、つまり「ボディ形状や重心、車体重量やサイズが全然違っても同じフィーリングを感じられるように設定する」ということなのだと考えてよく、レクサスはライバルの研究によって何かを掴み、模倣ではなくレクサス独自の進むべき未知を見出したと考えていいのかも(これがレクサスのいう”すっきりとした奥深い走り”なのだと思う)。

そう考えるならば、今後のレクサスの動向については期待をもって注視を行うべきで、もちろんトヨタ車にもなんらかのフィードバックがあることを期待でき、ドライバビリティには大きな進歩が見られる可能性もありそうですね。

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参照: Automotive News

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