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テスラ・サイバートラック開発責任者が退任。相次ぐ幹部離脱の中で何が起きているのか?

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| 相次ぐ人材流出の中、サイバートラックの責任者が退任 |

もともとテスラは人材の流出が「激しい」自動車メーカーではあるが

テスラの上層部における人材の流動が再び注目を集めることとなり、今回退任を発表したのはサイバートラックおよびモデル3の開発責任者、シッダント・アワスティ(Siddhant Awasthi)氏。

彼はテスラにインターンとして入社してからわずか8年で開発トップに上り詰めた人物で、若手エンジニアの中でも特に期待されていた存在であっただけに業界内に激震が走っているようですね。

アワスティ氏はLinkedInにて退任を発表し、次のようにコメントしています。

「8年前にインターンとして入社したとき、サイバートラックの開発を率いる日が来るとは思ってもいませんでした。テスラでの8年間は、強烈で刺激的な毎日であり、才能あふれる同僚たちと仕事ができたことは私の誇りです。」

退任の理由や次の職場については明かされておらず、しかし「次の章を迎えることを楽しみにしている」とコメントしています。

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サイバートラックとモデル3の開発を統括したエンジニア

彼は2017年にシンシナティ大学で工学修士号を取得後にテスラへと正式入社。

急成長するEVメーカーにおいて、技術とマネジメントの両立を実現した次世代リーダーとして知られていましたが、アワスティ氏はテスラにおいて、サイバートラックとモデル3の製品ロードマップ策定、設計・生産・アフターサービスの統合管理を担当することに(これを見るに、テスラは能力さえあれば経験を問わないということもわかる)。

 2022年末にサイバートラックのプロジェクトリーダーに就任した後の2025年7月にはモデル3の開発も兼任するなど、複数の主力モデルを同時に指揮していたことでも知られています。

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2025年、テスラで続く“幹部離脱”の波

アワスティ氏の離脱は、2025年に入ってから続くテスラ幹部の大量退任の一部に過ぎず、今年だけでも以下の重要ポジションが相次いで(退職に伴い)空席となっています。

  • 北米・欧州の販売/製造責任者:オメアド・アフシャル氏
  • ヒューマノイドロボット「Optimus」開発責任者:ミラン・コヴァチ氏
  • 北米人事部長:ジェナ・フェルーラ氏
  • バッテリー部門幹部:ヴィニート・メータ氏

さらに2024年には、

  • バッテリー開発の要であったドリュー・バグリーノ氏
  • スーパーチャージャー網の責任者レベッカ・ティヌッチ氏
  • グローバル広報・政策担当のローハン・パテル氏

 など、経営の中枢を担っていたメンバーも退任していることが報じられていますね。

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マスク氏の巨額報酬承認、そして開発遅延

タイミング的にも興味深いのは、この退任がイーロン・マスクCEOの巨額報酬パッケージが株主総会で承認された直後であること。

この報酬は達成条件付きながら、実現すればマスク氏の純資産を倍増させる可能性があるとされていますが、シッダント・アワスティ氏の退任は「この巨額報酬パッケージに対する反発では」とも見られているようですね。

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一方、同時期にマスク氏は次期テスラ・ロードスターの発表延期を示唆しており、2017年にプロトタイプを披露して以来たびたび延期が続いる状況で、最新のコメントでは「2026年4月1日にデモンストレーションを行う」としているものの、(当日が)エイプリルフールであることから“冗談の可能性”も指摘されています。

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テスラの課題:成長と維持のはざまで

サイバートラックのような革新的モデルを生み出す一方、優秀な人材が次々と離れていく現実。

これこそが現在のテスラが抱える最大の課題かもしれず、アワスティ氏の退任はテスラの将来における開発体制や組織文化の変化を象徴しているといえるのかもしれません。

とはいえ、テスラはこれまで数多くの困難を乗り越え、そのたびに進化してきた企業でもあり、新たなリーダーの下でサイバートラックおよび次世代モデルがどのように進化していくのか、引き続き注目が集まります。

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参照:Reuters

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