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スポーツカー好きの夢が実現?マツダが「カーボンファイバーを安く作る」方法を特許申請。軽くて楽しいクルマが一般化する?

マツダ

| もしも「カーボンファイバーが安価で普及するようになれば」静かな、しかし大きな革命である |

「マツダらしい」技術革新が特許として出願される

圧倒的な強度と軽さを誇るカーボンファイバー。

しかし製造に手間がかかることからコストが非常に高く、よってレーシングカーや一部の高価格モデルに対し、あるいは高額オプションとして採用されるにとどまるのが現状ですが、マツダがその製造プロセスを大幅に簡素化する特許を出願したとして話題に。

この新技術は、現在の課題をどのように解決し、ロードスターのような「軽くて楽しい」マツダ車を、より安価に、より多くの量産車へ拡大させるかというスポーツカーファンの夢に応える内容となりうる可能性を秘めています。

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高性能素材「炭素繊維」の壁—コストをどう下げるか

炭素繊維(カーボンファイバー)は、その驚異的な強度と超軽量性から、「夢の素材」として知られています。

高性能車や航空宇宙分野では欠かせないこの素材は、加速性能、コーナリング性能、エネルギー効率の向上、そして乗員の安全性確保という車両性能のあらゆる要求を満たすこととなりますが、しかし依然としてその製造コストが高いという点が一般の量産車への普及を妨げる最大の壁となっているわけですね。

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この課題に対し、常に「軽量化」と「運転する楽しさ」を追求してきたマツダが、そのコストを一気に引き下げる可能性を秘めた特許技術を公開し、これはある意味で「もっともマツダらしい技術革新」であるとも考えられます。


マツダの新特許—「アコーディオン折りたたみ」による連続含浸プロセス

マツダがドイツ特許商標庁に提出し、最近公開されたこの特許は、炭素繊維(カーボンファイバー)シートを硬化させるために不可欠な「樹脂含浸(Impregnation)」プロセスを大幅に簡素化するもの。

炭素繊維を構造材として利用するには、シート状の繊維に樹脂を徹底的に染み込ませ、熱を加えて固める必要があるのですが、従来の含浸プロセスには、以下のような問題点が存在します。

  1. 加熱ローラー式: 粉末樹脂を繊維シートの上に乗せ、加熱ローラーで押し込む方法。繊維の強度を損なう可能性があり、効率も低い
  2. 積層プレス式: 樹脂の層と炭素繊維の層を交互に重ね、プレスする方法。切断や積層に時間とスペースがかかり、非効率的
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許技術の仕組み:連続的なプレス加工

マツダが考案したのは、後者の積層技術にヒントを得つつ、連続的なプロセスに置き換える手法です。

  1. 積層: 炭素繊維の層の上に樹脂の層をスプール(巻き出し)
  2. アコーディオン状の折りたたみ: この2層をローラーに通し、シートにアコーディオンのような折り目(プリーツ)を付ける
  3. 連続プレス: 縦方向に折りたたまれたシートを、さらに平らなローラーで強く押し固める
  4. 再折りたたみとプレス: その後、シートを垂直方向にもう一度折りたたむローラーに通し、さらにプレスを繰り返す

この複数の折りたたみとプレスの工程を経ることで、切断やスタッキング(積み重ね)の手間を省きながら、樹脂を繊維の隅々まで徹底的に浸透させることができる、サンドイッチ状の炭素繊維素材が出来上がるわけですね。

WIPO

Image・WIPO


量産車への採用で得られる「明確な恩恵」

この新しいプロセスが実用化されれば、マツダやライセンス供与を受けた企業にとって、計り知れないメリットが生まれ、素材コストが下がるということは、これまで高価なスポーツカーや上位モデルに限られていた炭素繊維が、より安価な量産車(メインストリーム車両)にも採用可能になるという事実を意味します。

軽量化と「走る歓び」の復活

  • 性能向上: 車重が軽くなれば、加速やコーナリングの性能が向上し、「走る楽しさ」を追求するマツダのブランド哲学がより多くの車種で実現可能に
  • 究極のロードスター: 例えば、カーボンファイバーを多用したロードスターが実現すれば、そのドライビング体験はさらに純粋で感動的なものになることは間違いない
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環境性能とコスト効率

軽量化は環境性能にも直接貢献することでも知られており、さらにこの特許は炭素繊維だけでなく、ガラス繊維(グラスファイバー)や天然繊維など、他の素材への応用も可能であるとされ、その汎用性の高さにも注目が集まります。

  • 燃費・電費の改善: 車体が軽くなれば、加速に必要なエネルギー(ガソリンや電力)が減り、燃費・電費が改善
  • 排出ガスの低減: エネルギー消費の減少は排気ガスや発電によるCO₂排出量の低減に直結し、マツダが目指す環境目標達成にも役立つ

まとめ:特許から製品化への道のり

この技術は、現時点ではあくまで特許段階であり、実際に量産車に採用されるまでには、まだ時間がかかるかもしれません。

しかし、この特許は、電動化時代においても「クルマの楽しさは軽さから」という信念を持つマツダが、そのDNAを守りつつ、高まる環境規制とコスト競争力の両立を目指す、重要な一手であることは間違いなく、この技術が自動車業界の量産車軽量化のゲームチェンジャーとなるかどうか、今後の開発の進展が期待されます。

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参照:CARBUZZ, World Intellectual Property Organization(WIPO)

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