
| ここへ来てマツダはようやく自身のポジションを見つけたのかもしれない |
トヨタやスバルとは異なり、マツダは「緩やかな変化」を目指す
マツダは、(スバルとは対象的に)EVシフトへと過剰に突き進むことはなく、慎重かつ着実に次世代ラインアップを構築しようとしています。
今後はCX-5の自社開発ハイブリッドモデル、EVクロスオーバー、そして2台のスポーツカーが登場予定であるとされ、ここでそれら、さらには電動化含む将来の計画について見てみましょう。
マツダは「ドライバーが本当に望むもの」を理解している?
マツダが明らかにした最新の製品計画によると、この中で注目すべきは、2027年に登場予定のハイブリッド版CX-5、さらにはファン待望のスポーツカー2車種。
EVへの完全移行を急ぐのではなく、ハイブリッドモデルを要所に据えた堅実な展開がマツダらしく、現在のSUVラインアップを強化しつつ、将来的なフルEVモデルへの布石を打つ内容となってます。
そしてマツダの「急激に変わらない」という姿勢はCX-5のモデルチェンジからも見て取ることができ、あくまでも「マイルドに」変化を続け、既存顧客が離れることを最小限に抑え、しかしその一方で新しくファンを「少しづつ」獲得しようという意向なのかもしれません。
CX-5がハイブリッド化、年間25万台の販売目指す
CX-5は北米で最も人気のあるモデルですが、まずは2026年としてガソリン車として登場し、その1年後となる2027年には自社開発のハイブリッドシステムを搭載したモデルが追加される計画となっています。
このシステムは新型「SkyActiv-Z」2.5Lエンジンをベースに開発されており、CX-5に加えて兄弟車であるCX-50にも展開が及び、両車で年間25万台の販売を狙うとい計画も明らかに。
すでに北米ではトヨタ製ハイブリッドシステムを積んだCX-50が販売されていますが、このシステムを「自社開発」に切り替えることで、より本格的な「電動化SUV体制」が整いつつあるというわけですね。
Image:MAZDA
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■SUVラインアップの更新スケジュール
そしてマツダの主力となるSUV / コンパクトカーのリニューアル予定は以下の通り。
- CX-5(3代目):2026年ガソリン車、2027年ハイブリッド
- CX-50:2030年にフルモデルチェンジ予定
- CX-70 / CX-90:2026年にマイナーチェンジ、次世代型は2030年以降
- CX-30:次期型は2029年に登場予定
- Mazda3(ハッチ/セダン):現行型は2032年まで継続
■BEV戦略:2028年に米国初の「純マツダ製EV」投入へ
マツダは中国との合弁で開発したMazda6eセダンとCX-6e SUVを欧州と豪州で発売する計画についても触れ、米国市場では2028年に初の自社開発EV(クロスオーバータイプ)を投入予定。
日本ではどのモデルが販売されるのかはわからないものの、地理的な問題を考慮すると「中国で販売している」EVを日本へと持ち込むことも考えられます(あるいは日本市場でのEV展開については当面”見送る”か)。
Image:MAZDA
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■スポーツカー復権も視野に、あの「ロータリー」復活
SUVに偏った展開の中でも、マツダはスポーツカーファンを決して忘れておらず、現在は2車種の新型スポーツカーが開発中であることについても言及され、つまりマツダはようやく「SUVラインナップの拡充に一息つき、そしてそこから得た利益でスポーツカーを作れるようになった」という状況であると考えられます。。
▼RX-7の「精神的後継車」:Iconic SP市販版
- 2023年に公開されたIconic SPコンセプトの市販版が登場予定
- ロータリーエンジンを発電用に使うレンジエクステンダーEV
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▼次期MX-5(ND後継)
- 世界で最も売れた2シーターオープンカー、MX-5の次世代型も開発中
- 発売は2029年頃とされ、4気筒ガソリンエンジンを継続採用予定
- 軽量で俊敏というMX-5の伝統をさらに磨いた1台となりそう
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■まとめ:マツダの未来は「多様性」と「原点回帰」の融合
EV一本足打法ではなく、ガソリン、ハイブリッド、EV、そしてロータリーという多様なパワートレインを展開しつつ、スポーツカーというブランドの魂を忘れない。
これがマツダの描く未来のモビリティ像ということになりますが、ハイブリッドCX-5で”売れる”SUVを支えつつ、アイコニックSPで熱狂的ファンを呼び戻す。
こういったマツダの動きは、派手さよりも「芯の強さ」が際立っており、数年前に「スポーツカーの発売はマツダ全社員の夢だとわかっているが、物事には順序がある」と語っていたように、現在のマツダは「SUVで下地を作り」次の段階に進もうというステージにあるのかもしれませんね。
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