
| ついに「オワコン」セダンの時代が再びやってくる |
ほとんどのブームは「20年周期」で入れ替わるようだ
近年、日本の道路でもっとも街に溢れるボディ形状が「SUV」ではありますが、自動車大国アメリカでいま驚きの地殻変動が起きているといい、かつて「時代遅れ」とされ、多くの自動車メーカーが生産を縮小あるいは撤退した「セダン」が若者層を中心に猛烈な勢いで再評価されているのだそう。
この記事の要約
- 「SUV疲れ」の深刻化:誰も彼もがSUVに乗る現状に、消費者もデザイナーも飽き始めている
- 若者の価値観の逆転:10代の過半数が「将来はセダンに乗りたい」と回答し、SUVを「親の世代の車」とみなしている
- 経済的要因:深刻なガソリン高騰を背景に、SUVに比べて手頃なセダンの車両価格が追い風に
ここへ来てまさかの「セダン復権」
ぼくからすれば「セダンはオッサンのクルマ」という印象があるものの、米国の10代の若者は「生まれた頃から家にSUVがあり、父親がSUVに乗っているため」逆にSUVこそがオッサンのクルマという認識があるもよう。
自動車専門メディア「Jalopnik」が報じた最新の市場分析によると、アメリカの自動車市場でセダンが復活の兆しを見せており、その背景にあるのは「SUVは便利だけど、みんなと同じでつまらない」「維持費を抑えてスマートに走りたい」という若年層ならではの感覚だとしています。
たしかにファッションなどを見ても、「成人するまでの期間」、つまり20年ほどを一つの周期としてブームが入れ替わっているようにも思われ、米国のこの風潮は世界的な最新トレンドの”最先端”を行っているのかもしれません。
この新しい風潮の背景にあるのは、皮肉にもこれまで市場を席巻してきたSUVへの「飽き(SUV疲れ)」だといい、自動車市場調査会社iSeeCarsのチーフアナリスト、カール・ブラウアー氏は次のように指摘します。
「消費者からカーデザイナー、さらにはレンタカー会社に至るまで、誰もが『SUV疲れ』を起こしている。周囲と同じに見えない選択肢を求める人々にとって、セダンはまさにその欲求を満たす存在だ。かつて退屈と言われたセダンが、今やクールなものになっているのは非常に興味深い」
また、このトレンドを決定づけているのが「Z世代」やさらに若いティーンエージャーたちの意識の変化で、2026年2月に発表されたEscalent社の調査「EVForward 2025 Teenagers DeepDive」では、14歳から19歳の1,000人以上を対象に「将来乗りたいクルマ」を質問したところ、驚くべき結果が出ることに。
- セダン:51%
- SUV:31%
- トラック:14%
かつてX世代(現在の50代周辺)が「ステーションワゴン」を、ミレニアル世代(現在の30〜40代)が「セダンやミニバン」を「親世代のダサいクルマ」とみなしたように、今の若者にとってSUVは「父親世代の古いクルマ」に映っているというわけですね。
車種概要、性能・デザイン・スペックなどの特徴、競合比較 or 市場での位置付け
現在の市場におけるセダンとSUVの立ち位置を価格や選択肢の面から比較してみると・・・。
1. 新車価格の比較(コンパクトクラスの例)
アメリカ市場における同等クラスでの平均車両価格の差は以下の通りとなっていて、これがミドル、ラージ、フルサイズといった具合に車両サイズが大きくなればなるほど「セダンとSUVとの価格差」が広がることに。
| 車両タイプ | 平均新車価格 | 特徴 |
| コンパクトセダン | 約27,590ドル(約425万円) | 車高が低くスタイリッシュ、手の届きやすい価格帯 |
| コンパクトSUV | 約37,514ドル(約580万円) | 居住性は高いが、セダンに比べ約1万ドル高価 |
2. ガソリン高騰という決定打
そして近年の世界的な燃料価格の高騰も、セダン復権への強力な追い風だといい・・・。
- 空力性能の差:セダンはSUVに比べて全高が低いため空気抵抗(Cd値)が小さく、高速走行時の燃費性能で圧倒的に有利
- 軽量化:同じプラットフォーム(車台)であればセダンのほうが車両重量が軽くなる傾向があり、これが実用燃費の向上に直結する

3. 急激に減少した市場の選択肢
しかし、市場には大きなギャップが生じていて、2016年にはアメリカ国内で130モデルあったセダンではあるものの、メーカー各社がSUVへシフトした結果、2026年現在では50モデルにまで激減しているのだそう。
さらにアメリカ国内メーカー(GMやフォードなど)がセダンからほぼ撤退してしまったため、現在この需要の受け皿となっているのは、セダンを作り続けてきた日本車メーカー(トヨタ、ホンダ、日産など)や一部の欧州ブランドだとされ、ここで再び「日本車ブーム」がやってくるのかもしれません。
日本市場への影響とこれからの選び方
このアメリカ発のトレンドは、日本のユーザーにとっても他人事ではなく、日本でもここ最近、ひと世代前のクラウンやマークXを見かける機会が増えているように思われ、まだまだ一部ではあるもののセダン人気が復活しつつあるという印象も。
そして今後のことを考えるならば、近年の電気自動車(EV)プラットフォームの普及によって、自動車メーカーは同じ車台を使って「SUV」や「セダン」も柔軟に作り分けられるようになっており、これからは「電気自動車(EV)やハイブリッド(HEV)ならではの静粛性と低重心」を最も活かせるボディ形状として、再びセダンがデザインの最前線に立つ可能性が出てくるのかもしれません(実際、ホンダは復活の象徴として2台のクルマを提示し、1台はセダンであった)。

Image:Honda
-
-
ホンダが上場以来初の赤字からの逆襲へ、突如として新型ハイブリッドセダン&SUVプロトタイプを世界初公開
Image:Honda | 「2.5兆円の授業料」を支払った後の「新展開」に期待 | 新しい事業計画ではEVシフトからハイブリッドへ ホンダが2026年5月14日、今後の事業の方向性を示す「2026 ...
続きを見る
結論
「みんなが乗っているから」「便利だから」という理由でSUVを選ぶ時代は終わりを迎えつつあるのかもしれず、高い経済性、周囲と被らない個性的で知的なスタイリング、そして「若者たちがクールだと認め始めた」という事実。これらが重なり合い、セダンは今、最もモダンな選択肢へと変貌を遂げています。
もし次の愛車選びに迷っているなら、あえて今「セダン」という選択肢に目を向けてみるのも一つの手であり(ただし選択肢が非常に少ないので中古も視野に入れねばならない)、れは決して懐古主義ではなく、世界の最新トレンドを先取りする、いま最もスマートな決断になのかもしれません。
合わせて読みたい、関連投稿
-
-
米にて「新車ローン地獄」が過去最悪に。新車平均価格は780万円へ上昇し360万円以下の新車が消滅、「ローンをいくら払い続けても残債が車両価値を超える」事態に
| 米国でのインフレ速度は想像を絶する | 参考までに1990年代から2026年では物価が「2.4倍」に 現在、アメリカの自動車市場は深刻な「負のループ」に陥っており、2025年末時点での自動車ローン ...
続きを見る
-
-
中国にはこんな車が走っている:自動運転車両や武装車両、全然知らない現地メーカー車など。スポーツカーやスーパーカー、超高級車の姿は少なくセダンが圧倒的多数
| 全般的に北京を走るクルマは「地味」である | 北京汽車、BYDのシェアが高く、ジャーマンスリーは「衰退気味」 さて、今回は中国「北京で見かけたクルマ」。 全体的な印象としては、建物や人々と同じく「 ...
続きを見る
-
-
全世界で「新車価格の格差」が生じる。米国での平均新車価は780万円超、日本は331万円、中国では「150万円以下のEV」がもっとも売れたクルマになる
| 一部でアメリカにも「軽規格」に類するクルマが必要とされるのもよくわかる そしてこの「格差」は世界中で拡大する可能性があるのかも 現在、世界の自動車市場では信じられないような「二極化」が起きており ...
続きを見る
参照:Jalopnik













