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| まさかブガッティが「星の王子さま」をテーマにしたクルマを作ろうとは |
究極のパーソナライズがもたらす自動車の「芸術化」
自動車の枠を超え、走る芸術品とも称されるブガッティ。
同社が誇る究極のロードスター「W16ミストラル」をベースに、息をのむほど美しいワンオフ(世界限定1台)モデルが公開され、それが、ブガッティの最高峰カスタムプログラム「Sur Mesure」によって製作された「W16ミストラル 'Le Retour du Jeune Prince'(若き王子、帰還す)」です。
近年、超富裕層向けのハイパーカー市場では高性能な仕様を選ぶだけでなく、オーナー自身の人生観やストーリーを車体に反映させる「物語性(ナラティブ)」が重視される傾向にあり、今回のモデルは、世界中で愛されるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの小説『星の王子さま』、そしてその精神を受け継いでオーナー自らが執筆した文学作品の世界観を完全再現。
ブガッティの技術力と職人の情熱が結集した、新たなマスターピースの全貌に迫ります。

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この記事のポイント
- ブガッティのビスポークプログラム「Sur Mesure(シュール・ムジュール)」により、世界に1台のハイパースポーツカー「W16ミストラル 'Le Retour du Jeune Prince'(若き王子、帰還す)」が誕生
- 名作文学『星の王子さま』にインスパイアされ、オーナー自身が執筆した“続編”のストーリーを車両全体でアーティスティックに表現
- 月光や大地を思わせる専用ボディカラー、手作業による星座のペイント、シフトノブに埋め込まれた立体彫刻のバラなど、芸術品レベルの職人技が凝縮

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名作文学のストーリーを紡ぐ、外観と内装の職人技
月光と大地を表現した神秘的なエクステリア
「星の王子さま」大好きなぼくにとって見逃せないブガッティの最新作が登場し、このワンオフモデルのプロジェクトがスタートしたのは約3年前の2023年10月。
ブガッティの本拠地モルサイムにて、著名なコレクターであるオーナーとシュール・ムジュール部門マネージャーのヤシャ・ストラウブ氏の対話から物語がはじまったとされ、このオーナーはなんと自身で「星の王子さま(Le Petit Prince)」の続編を書き上げ(もともとの星の王子さまを書いたサン=テグジュペリは1944年に飛行中に失踪している)、その世界観を自身のW16ミストラルへと反映させることに。

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そしてこのオーナーが魅せられた「月の持つ神秘的な美しさ、優雅な輝き」を表現するためにブガッティのデザインチームが開発したのがこの特別なボディカラーで、このブロンズとコッパー(銅)のニュアンスを含んだアースカラーは”光の当たり方でドラマチックに表情を変える”極めて上質なメタリック仕上げ。※この続編については一般に公開されていないと思うが、ぜひ「自分の星に帰っていった」星の王子さまの物語を見てみたいものである

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さらにフロントの伝統的なホースシュー(馬蹄型)グリル内部のラインはボンネットのダイナミックな形状と調和するように再設計がなされ、グリル内に装着される「Bugatti Macaron(ロゴバッジ)」には本物のゴールド(金)の縁取りが施されるほか、足元にはコッパー塗装のブレーキキャリパーと「EB」エンブレムが控えめな輝きを放ちます。
なお、グリルとエンブレムの変更は「基本的に許されておらず」、そしてこれが許されるのは非常に特別な限定モデル、そして顧客のみだというので、このW16ミストラルのオーナーはブガッティにとって非常に重要な人物ということになりそうです。

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さらに、リヤフェンダーからリヤウイングの上面にかけては、ブガッティのペイントスペシャリストが何層ものレイヤーを重ねて手作業で描き上げた「銀の星座(星空)」が広がっていて、そして圧巻なのは減速時にせり上がるエアブレーキ(リヤウイング)の裏側だといい、ここには、原作『星の王子さま』の最も有名なワンシーンである「王子さまとキツネ」の出会いが、隠されたグラフィックとして美しく再現されています。
そして王子様はバラとともにエンジンカバーへと描かれていて、しかしこれは(著作権の問題なのか)有名な挿絵とは異なるもので、しかも「後ろ姿」。
そしてこの後ろ姿が「大事なことを悟り、自分の星へと帰ってゆく」王子様の心情を暗喩しているのかもしれません。

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2つの世界が融合する至高のインテリア
キャビン(室内)は外観の物語をより親密に掘り下げた空間となっており、2色の最高級レザーで仕立てられており・・・。
- Terre d'Or(テール・ドール): 明るく光に満ちた、月光や星をイメージさせるカラー
- Driftwood(ドリフトウッド): 深みがあり、大地を連想させる落ち着いたカラー。

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ドアパネル(Terre d'Or側)には、刺繍によって描かれた「月」と、その周囲を彩る「星のモチーフ」が精密にステッチされ、さらにはヘッドレストのハンドステッチやブラウンカーボン織りのセンターコンソールにも星座のデザインが埋め込まれており、室内全体が美しい夜空のようでもありますね。

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ブラウンカーボンはマット、それと対比をなすように金属パーツはポリッシュ仕上げ。

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そして、このクルマの最もエモーショナルなディテールが、シフトレバー内にまるで高級ジュエリーのように封じ込められた「銀のバラ」。
これは本物のバラを3Dスキャンし、精密なミニチュアとして金属から彫り出したもので、原作における「バラの花」への深い愛情と記憶を象徴する、特別な仕掛けとなっています。
なお、この部分は本来いずれのW16ミストラルも(ブガッティ創業者、エットーレ・ブガッティの弟がデザインした)ダンシング・エレファントが埋め込まれるはずではありますが、そうではなく「バラ」を挿入していることからも、いかにこのクルマ、そしてオーナーが特別であるかがわかろうというものですね。

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参考までに、この「バラ」は「星の王子さま」において非常に重要な意味をもっていて、というのも星の王子さまは自分の星で1輪だけ咲いた美しいバラを特別なものとして愛していたのですが、地球にやってきて大量のバラを見たとき、「自分が特別だと思っていたバラがこんなにたくさんある」ことから自分のバラを特別なものではないと感じて落胆してしまいます。
そこへやってきたのが一匹のキツネで、そのキツネは「どれだけ同じようなバラがあろうとも、王子様のバラは王子様にとって特別なもので、それは王子様がバラのためにせっせと世話をし、時間と愛情をかけたから」だと説明するわけですね。
かくして王子様は自分のバラの特別さに改めて気づいたのち、自分の星に置いてきたバラのために帰還することとなり、今回のオーナーが思い描いたのはその「王子様とバラとの物語の第二章」ということなのではないかと考えています(目に見たバラはどれも同じかもしれないが、自分のバラには目に見えない「愛情」が込められており、本当に大切なのは目に見えるものではなく目に見えないものである)。

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車種概要とスペック
ベースとなった「W16ミストラル」は、ブガッティの象徴である「W16クワッドターボエンジン」を搭載する最後のロードスター(オープンモデル)で、世界限定99台が生産されますが、今回の個体はその頂点に立つ究極のカスタムカーともいうべき存在です。
ブガッティ W16ミストラル 主要スペック・特徴
- エンジン: 8.0リットル W型16気筒 クワッド(4基)ターボエンジン
- 最高出力: 1,600馬力(ps)
- 最大トルク: 1,600 Nm
- 駆動方式: 4WD(全輪駆動)
- ビスポーク仕様(Sur Mesure):
- 月光をイメージしたカスタムコッパー&ブロンズメタリック塗装
- 手作業による「銀の星座」ペイントと、可動式ウイング裏の「王子とキツネ」のグラフィック
- 本金(ゴールド)仕上げのフロントロゴバッジ
- 「Terre d'Or」&「Driftwood」カスタムレザーインテリア(月と星の精密な刺繍入り)
- シフトノブ内に3Dスキャンから製作された「銀のバラ」を内蔵

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結論:移動手段を超え、人生を走らせる「ナラティブ・ハイパーカー」
ブガッティ W16ミストラル「ル・ルトゥール・デュ・ジューヌ・プランス」は、単に高級な素材を散りばめただけのカスタムカーではなく、オーナーの紡いだ文学、アーティストの感性、そして自動車工学の最高峰が奇跡的なバランスで融合した、まさに「読むことができ、記憶に残り、心で感じる」ためのハイパーカー。
大量生産の時代にあって、このように個人の内面や物語を100%表現できるビスポークの世界は、これからのラグジュアリーカーの究極の指標となることは間違いなく、1,600馬力のW16エンジンが放つ咆哮とともに、この美しい星の王子の物語は、世界のどこかの道を走り続けることとなりそうです。

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