
| W16エンジンは「ミストラル」で最後だと思われていたが |
絶滅寸前の伝説がまさかの復活。超富裕層が熱狂する「W16」の執念
自動車の電動化シフトや環境規制の強化にともない大排気量マルチシリンダーエンジンは急速に姿を消しつつありますが、その象徴とも言えるのがブガッティの8.0リッターW型16気筒クワッドターボエンジンです。
このパワーユニットにつき、オープンモデルの「W16ミストラル」を最後に完全終了し、次世代の「トゥールビヨン(Tourbillon)」からはV16自然吸気ハイブリッドへと移行すると発表されていましたが、今回報じられた内容によれば、なんと「W16エンジンが限定復活」。
最新レポートによると、ブガッティの超限定ビスポーク部門「ソリテール」がこの伝説的なW16エンジンを搭載した「新たな世界に1台のワンオフモデル」を密かに開発中だといい、一度は死を宣告されたモンスターエンジンをブガッティがどのような形で現代に蘇らせるのか、その詳細そして背景にあるラグジュアリーカー市場のトレンドについて触れてみたいと思います。
記事の要約
- 生産終了とされていたブガッティ伝説の「W16クワッドターボエンジン」を搭載した、新たなワンオフモデルの開発情報が浮上
- ブガッティの超限定ビスポーク部門「プログラム・ソリテール」が手がけ、ベースはシロン、デザインは新型トゥールビヨンとサーキット専用車ボリードを融合
- 2026年第3四半期の「モントレー・カー・ウィーク」でお披露目される可能性が高い

Image:Bugatti
新型トゥールビヨンと怪物ボリードが融合する奇跡の1台
今回の極秘プロジェクトを主導しているのは、ブガッティが近年立ち上げた超エリート向けの特別車両製作部門「プログラム・ソリテール(Programme Solitaire)」。
この部門は、年間でわずか2台未満の車両しか製造しないキャパシティを持っており、過去にはシロンをベースにした「ブルイヤール(Brouillard)」や、ヴェイロンへのオマージュを捧げた「FKPオマージュ」といった、数億円規模のワンオフモデルを世に送り出してきたことが知られています。
そして注目の最新作は、名車「シロン」のシャシーと最高峰のW16エンジンを受け継ぎながらもデザイン面でこれまでにない大胆なアプローチが取られると報じられていて、そのインスピレーションの源泉となるのは次の2台。

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- サーキット専用の怪物「ボリード(Bolide)」: ダウンフォースを極限まで高めるために、SF映画の宇宙船のようなアグレッシブな空力ボディを纏ったサーキット専用モンスター
まだ公式画像はもちろんティーザー画像すら公開されていませんが、ボリードの過激で攻撃的なスタイリング、そしてトゥールビヨンの持つラグジュアリーで洗練されたディテールが融合するとなれば、ハイパーカーの歴史に名を残す圧倒的なプロポーションになることが容易に想像できます。
車種概要とスペック
ベースとなるシロンの基本骨格と、ブガッティ最後のW16エンジンがもたらすスペックは、現代のどのEVハイパーカーをも圧倒する官能性を秘めており・・・。
ブガッティ・ソリテール最新ワンオフモデル(予測スペック)
- エンジン: 8.0リッター W型16気筒 クワッド(4基)ターボエンジン
- 駆動方式: 4WD(全輪駆動)
- 最高出力: 1,600馬力(ps)想定
- ベース車両: ブガッティ・シロン(Chiron)
- デザイン要素: 「ボリード」の過激な空力 + 「トゥールビヨン」の最新エレガンス
- 製造枠: 世界限定1台(ワンオフ)
- 発表予想時期: 2026年8月(モントレー・カー・ウィーク想定)

Image:Bugatti
なぜ終わるはずのW16が作られるのか?
「W16ミストラルが最後のW16搭載車だったはずでは?」と疑問に思うかもしれず、確かにブガッティはその方針ではあったものの、ミストラルの発表後、ハイパーカー市場において「世界に1台だけの完全オーダーメイド(ワンオフ車)」に対する需要が予想を遥かに超えて爆発したとされ(W16ミストラルはけして少なくない99台の限定生産であったが、それでも足りなかったようだ)、競合であるパガーニ(Pagani)やケーニグセグ(Koenigsegg)といったライバルブランドが大富豪のために数億円〜十数億円のビスポークモデルを連発して大成功を収める中、ブガッティもその莫大な富裕層マネーと「内燃機関への飢餓感」を無視するわけにはいかなくなったというのが前述のソリテール部門設立のきっかけです。
そして今回の限定モデルはまさに、時代の変わり目に「どうしても純粋なW16ガソリンエンジンが欲しい」と願う、世界トップクラスのコレクターの熱意(と巨万の富)によって実現した奇跡だともいえそうですが、もしかするとこのプロジェクト発足当時、まだトゥールビヨンの存在が明確ではなく、よってベースを選ぶとなると「シロン以外の選択肢がなかった」のかもしれません。
電動化時代だからこそ輝く、究極のガソリンアート
ブガッティがW16エンジンを再び蘇らせるというニュースは自動車文化における「内燃機関の延命を望む超富裕層の意思」を象徴する一つの事象でもあり、どれだけ環境規制が進み、静かで速いEVハイパーカーが登場しようとも、16本のシリンダーと4基のターボが奏でる圧倒的な咆哮、そして複雑精緻なメカニズムがもたらすエモーショナルな価値に代わるものはほかに存在せず、いったいどういったクルマになるのか非常に興味のあるところ。
新型トゥールビヨンとボリードの魂を融合させることになるであろうこの最後のW16ワンオフモデルは、2026年夏の「モントレー・カー・ウィーク」でそのベールを脱ぐ可能性が濃厚だとされ、それはぼくらがW16エンジンの歴史におけるフィナーレを目撃する瞬間、そして「二度と作られることのない走る最高峰の芸術作品」誕生の瞬間となるのかもしれません。
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