
| やはりルーチェは「ルーチェのまま」でデザインが完成されていたようだ |
そしてEVのカスタムは非常に難しい
2026年5に発表され、そのアバンギャルドなスタイリングと100%電気自動車(EV)というパッケージングで世界中に大きな衝撃を与えたフェラーリ初の5人乗りGT「Luce(ルーチェ)」。
元アップルのジョニー・アイブ氏が手掛けたそのミニマルでインダストリアルなデザインは、これまでのフェラーリの「官能的な美しさ」を期待していたファンの間で現在も圧倒的な賛否両論(どちらかといえばネガティブな意見)を巻き起こし続けています。
その一方、高級輸入車のカスタムマーケットではその評価が定まるのを待つことはなく、アラブ首長国連邦(UAE)を拠点とし、フェラーリ・プロサングエやロールス・ロイスなどの過激なボディキットで知られる気鋭のチューナー「Venuum(ヴェヌーム)」が、早くもルーチェ用のファースト・カーボン・メイクオーバー(外装カスタム案)のデジタルレンダリングを公開したことでさらなる話題を呼ぶことに。
果たして、アフターパーツの手によってルーチェの物議を醸すスタイリングは「フェラーリらしい理想の姿」へと救世主のごとく生まれ変わることができたのかどうかを見てみましょう。
この記事の要約
- 発表直後から賛否両論のフェラーリ初EV「Luce」に早くもカスタム(チューニング)案が登場
- UAEを拠点とする高級車チューナー「Venuum(ヴェヌーム)」が、全身をカーボン化したレンダリングを公開
- フロントスプリッター、カナード、ワイドフェンダー、固定式大型リアウイングなどを過激に装着
- 海外メディアからは「フェラーリらしさが消え、派手なカスタムセダンのようだ」と酷評の声も
世界中が注目する物議の5人乗りEV「Luce」に、早くもアフターパーツの波が到来
「Venuum」が提案する過激なフルカーボン・ボディキットとは
UAE拠点のVenuumが公開したLuce向けのカスタムは、大人しいEVのイメージを完全に覆す、ストリートレースを彷彿とさせるアグレッシブな内容を持っていて・・・。
1. フロント:地を這うスプリッターとサーキット仕様のカナード
フロントマスクには地面に擦りそうなほど低い位置にセットされたグロス仕上げの露出した織り目の美しいカーボンファイバー製フロントスプリッターを装着。
さらに、バンパー両サイドにはダウンフォースを稼ぐためのカーボン製カナードが2段で追加され、押し出し感を強めています。
2. サイド:筋肉質なワイドフェンダーと独自のエアアウトレット
最も大きな変更点と言えるのが前後に追加されたブリスター風のワイドホイールアーチ(オーバーフェンダー)であり、これに伴いサイドステップ(スカート)もカーボン化。
ルーチェの最大の特徴(かつ不評の原因)でもあったフロントドアの一風変わったエアアウトレット周辺もすべてカーボンパネルで覆われ、アフターマーケット特有の「手が入っている感」が強調されているようですね。

3. リア:EVにまさかの巨大「固定式ウイング」とディフューザー
リアセクションの変貌ぶりも凄まじいもので、ワイド化されたフェンダーから繋がるリアエンドにはレーシングカーさながらの巨大な固定式カーボンリアウイングが鎮座しているうえ、さらにリアバンパー下部にはF1マシンを思わせるアグレッシブな造形の大型リアディフューザーが組み込まれています。
ルーチェのカスタムは「アリ」か「ナシ」か?
海外カーメディア、そしてVenuumの公式SNSのコメント欄を見るに、今回のカスタムに対しては「ルーチェにボディキットを組んでも、何の助けにもなっていない」「高額なクルマなのに、より価格の低いクルマに対するカスタムと同じ手法を用いていて釣り合っていない」などと非常に辛辣な評価が並んでおり、これはたしかに「そのとおり」かもしれません。
その理由はカーボンをふんだんに使って攻撃性を高めた結果、フェラーリが本来持つべき「イタリアン・エレガンス」が完全に失われ、「日本の過激なカスタムセダン(いわゆるVIPカーやチューニングカー)のようになってしまった」という点にあり、これは「中国のメーカーでさえ真似しないような、ゴテゴテした見た目になってしまった」という厳しいコメントに代表されるようにも思います。
さらには全幅が増したりダウンフォースが増加することでEVとしての性能が損なわれている可能性が非常に高く、あらためてEVカスタムの難しさ、そしてプレミアムカー、さらには「シンプルなクルマ」に対するカスタム難易度の高さを実感させられるところでもありますね。

フェラーリ・Luce「Venuum仕様」カスタム詳細
| カスタム箇所 | 追加・変更パーツの内容(素材:露出型カーボンファイバー) |
| フロント | 大型ロアスプリッター、ダブルカナード、フロントバンパーガーニッシュ |
| サイド | 前後ワイドフェンダー(オーバーフェンダー)、サイドスカート、ドアエアアウトレットカバー |
| リア | 固定式大型リアウイング、レーシングリアディフューザー |
| 足回り(想定) | ワイドフェンダーに合わせた深リムの大径カスタム鍛造ホイール |
| チューナー情報 | Venuum(UAE・ドバイ等を拠点とするプレミアムエキゾチックカー専門ブランド) |
なぜ高級EVのデザインは「アフターパーツ」で失敗しやすいのか?
現代の自動車デザイン(とくにEV)とサードパーティーによるカスタムとが”相容れない”というところについて考えてみると、「近未来的なEVのデザインは、従来のガソリン車の文脈(カーボンやウイング)でカスタムすると、チグハグになりやすい」という点がまず第一に考えられ・・・。
1. 引き算の美学 vs 足し算のカスタム
フェラーリ ルーチェや近年のテスラ、アップルの元デザイナー(ジョニー・アイブ氏)が手掛ける造形は、徹底的な「引き算の美学(ミニマリズム)」で成り立っており、グリルを無くし、ラインを減らし、表面をフラットにすることでEVとしての先進性を表現しているというわけですね。
そこへ、従来のガソリン車の文脈である「ダクト」「カナード」「巨大ウイング」といったゴツゴツした足し算のパーツを組み合わせると、ベース車の持つクリーンな世界観と衝突し、デザインのバランスが崩壊しやすいというジレンマが存在するものと思われます。※いっそ、より「スマホ的」に、そして未来に行ったほうがいいのかもしれない
そしてこういった「こってり系」カスタムを見た後にあらためてルーチェを見ると、そのデザインの美しさにあらためて気付かされるようにも思われ、「デザインに対する印象」は比較的”相対性に基づく”ものなんじゃないかと思ったり(そもそも美意識自体が主観に基づくものである)。

Image:Ferrari
2. 「フェラーリらしさ」の再定義を巡る戦い
今後、Venuumだけでなく、マンソリー(Mansory)やノビテック(Novitec)、日本のリバティーウォーク(Liberty Walk)といった世界中のトップチューナーたちがルーチェ用のボディキットを開発してくることも予想され、そして富豪たちは「人と違うフェラーリEV」を求めてそれらのパーツを装着することも十分に考えられます。
ただ、チューナーたち、そしてアフターマーケットパーツメーカーがルーチェを「中国車や日本車のコピー」に見せないための、本当の意味での「イタリアン・ラグジュアリーな正解」を見つけられるかどうかはまだわからず、ここは今後のデザイナーたちの手腕が試される、というところなのかもしれません。
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カスタムの賛否はあれど、ルーチェを巡る熱狂は止まらない
今回公開されたヴェヌームによるカーボンカスタム案は、ルーチェが持つインダストリアルな雰囲気を一変させ、強烈なストリートの覇気を纏わせるものでもあり、これが「悪趣味(下品)」と映るのか、「これくらいアグレッシブな方がスーパーカーらしくて良い」と映るかは見る人の好みによっても大きく分かれるところ。
スタイリングについては世界中で厳しい声が先行しているルーチェではあるものの、これだけ発表直後からサードパーティのチューナーが飛びつくこと自体、この車への注目度と、世界中のセレブたちによる旺盛な購入意欲(市場のポテンシャル)がいかに凄まじいかを物語っているのかもしれません(話題作りのための素材としても注目を集めている)。

Image:Ferrari
ルーチェが現在市場に幅広く根付く「外観の評価」を覆すには、実際にステアリングを握ったときの「圧倒的なドライビングプレジャー」と「息をのむインパネの質感」が不可欠であると思われ、しかしそれは実車に見て、触れてみないとわからないところでもあり、世界の上顧客たちが実車を手にするその日まで、この跳ね馬初のEVを巡るデザイン論争は、まだまだ加熱し続けることになるのかもしれませんね。
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参照:Venuum











