
| ケーニグセグがまたやった。驚異の新記録を最速解説 |
記録といえばケーニグセグ、ケーニグセグといえば記録である
「自動車のパフォーマンスが限界に達した」と思われていた昨今ではありますが、スウェーデンのハイパーカーメーカー、ケーニグセグがそういった既成概念をあっさりと覆す記録を達成。
今回、スウェーデンの空港上の滑走路にて市販車の加速常識を覆す歴史的な快挙が成し遂げられ、最高速特化型モデル「ジェスコ・アブソリュート(Jesko Absolut)」がクォーターマイル(約402m=ゼロヨン)とハーフマイル(約805m)において度肝を抜くような世界記録を樹立することに。
今回の記録更新の要約ポイント
- 1/4マイル世界記録: わずか「8.54秒」で駆け抜け、通過速度は驚異の「時速305 km」をマーク
- 1/2マイル世界記録: 「12.76秒」を記録し、通過速度は「時速373 km」に到達
- 前人未到の領域: 市販車として史上初めて、1/4マイル通過時点で「時速300 km」の壁を突破
- 既存オーナーへの恩恵: 今回の記録は「ソフトウェアのアップデート」によって実現。なんと既存の顧客の車両にも、無線(OTA)アップデートでこの制御が配信される
4WDでも電気(EV)でもない。純粋な工学が生んだ「二輪駆動」の奇跡
今回の記録更新で世界中の自動車フリークを最も驚かせているのはジェスコ・アブソリュートがこれらの数字を叩き出した「条件」にあり、これほどのゼロ発進加速を競うチャレンジにおいては、タイヤのグリップを高めるための特殊な薬剤(トラクション剤)が塗られた専用コース(路面)が使われるのが一般的。
さらに現代のモンスターマシンたちにおいては、莫大なパワーを四輪に分散して伝える「全輪駆動(AWD)」や、瞬時に最大トルクを立ち上げられる「エレクトリックモーター」の力を借りるのが当たり前になっている、というのが”常識”です。
しかし、ケーニグセグのファクトリーテストドライバーであるマルクス・ルンド(Markus Lundh)がステアリングホイールを握った今回の挑戦では以下の条件下で走行が行われており・・・
- 専用の処理がされていない、ごく普通の滑走路の路面
- モーター非搭載の純粋な内燃機関(V8ツインターボエンジン)
- トラクションに不利とされる「後輪駆動(RWD)」
- 一般のオーナーが手にするものと全く同じ「市販仕様のタイヤ(ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2 R)」
これほどの過酷な条件でありながら、後輪駆動だけで1600馬力ものパワーを路面に完璧に伝え切った技術力はもはや純粋なエンジニアリングの勝利、芸術の領域とも言えそうですね。
ジェスコ・アブソリュートの主要スペック
ジェスコ・アブソリュートが持つ”現行市販車最高峰”のスペックは以下の通り。
| 項目 | スペック詳細 |
| エンジン | 5.0リッター V型8気筒 ツインターボ |
| 最高出力 | 1,280馬力(通常のガソリン) / 1,600馬力(E85バイオエタノール燃料使用時) |
| トランスミッション | 9速ライト・スピード・トランスミッション(LST、自社開発マルチクラッチ) |
| 駆動方式 | 後輪駆動(RWD) |
| 空気抵抗係数(Cd値) | 0.278(世界トップクラスの空力性能) |
| 車重(乾燥重量) | 1,290 kg |
I like it like that. 👻 #Koenigsegg #Jesko #Absolut pic.twitter.com/3fn0kw3mSY
— Koenigsegg (@koenigsegg) April 29, 2022
競合・市場での位置付けと「知っておきたい業界のトリビア」
現在、クォーターマイルの市販車最速の絶対王座に君臨するのは電気自動車(EV)であるハイパーカー「リマック・ネヴェーラ(Rimac Nevera)」や、その進化型である「ネヴェーラ R」で、EVは0回転から最大トルクを発生できるため、スタートダッシュ(時速0km〜100km付近)では圧倒的に有利という性質を持っています。
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しかし、今回のジェスコ・アブソリュートの記録は、「内燃機関(ガソリン・E85燃料)の市販車として世界最速」の地位を不動とするもので、さらに注目すべきは、1/4マイル通過時の「時速305 km」という通過速度(トラップスピード)。
リマックなどのEVハイパーカーはスタートこそ速いものの、時速200kmを超えたあたりからの「伸び(超高速域での加速)」ではマルチギアを持つジェスコのV8ツインターボに軍配が上がり、今回の305km/hという通過速度は「トラクション(路面への食いつき)さえ整えば」、将来的には7秒台への突入すら予感させる異次元の伸びを証明しています。
なお、この「ジェスコ・アブソリュート」は、サーキットのコーナリングを重視した姉妹モデル「ジェスコ・アタック」とは異なって巨大なリアウィングを取り外していて、これによりダウンフォース(車体を路面に押し付ける力)を1400kgから150kgまで意図的に削減し、空気抵抗を極限まで減らすことで「直線での最高速度」に特化させているというわけですね。
Its Alive! The first Jesko Absolut - Watch this space!#Koenigsegg #Jesko #Absolut pic.twitter.com/I3QPZg5kqQ
— Koenigsegg (@koenigsegg) April 25, 2022
結論:既存オーナーも加速する、ケーニグセグのデジタル革命
今回の世界記録樹立において最もエキサイティングなトピックは、この記録が「新しい限定車」や「特別なチューニングカー」によって達成されたのではない、ということ。
今回の記録は「既存」ジェスコ・アブソリュートのトラクションコントロールやエンジンマネジメントのシステムに施された「新しいソフトウェアの微調整(最適化)」によって引き出されており、そしてケーニグセグはこの新しいソフトウェアをすでに世界中の道を走っている既存のジェスコのオーナーに対しても「スマートフォンと同じような」OTA(Over-The-Air:無線通信)アップデートで配信すると発表しています。
納車された後も、メーカーの進化とともに愛車の世界記録級のパフォーマンスがさらに磨かれていく――。ケーニグセグは、ハードウェアの限界をデジタル技術でさらに押し広げる、次世代のハイパーカーのあり方をまざまざと見せつけてくれたというわけですね。
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参照:Koenigsegg











