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| EVになっても「本物のアルピーヌ」であり続ける理由 |
アルピーヌは「EVスポーツ」の固定概念を覆すことができるか
2026年7月9日、世界中が注目するイギリスの「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」にて、アルピーヌの第3世代目となる次世代型A110のEV開発車両「A110 FUTURE(エーワンテン・フューチャー)」が世界初公開され、早くもダイナミックなヒルクライム走行を披露することに。
「電動スポーツカーは重くて退屈なのではないか?」というカーガイの不安を完全に吹き飛ばす、アルピーヌの本気が詰まったその概要を見てみましょう。
この記事の要約(クイックチェック)
- グッドウッドで動的デビュー:F1ドライバーのピエール・ガスリーのドライブにより、世界初の一般公開走行を達成。
- 新開発「APP」プラットフォーム:グループの流用ではなく、95%の部品を新設計したアルピーヌ専用のアルミ製EV基盤を採用。
- 理想の重量配分と低全高:バッテリーを「フロント25%:リア75%」に分割配置し、現行ガソリンモデルと同等の極低着座位置と40:60のミッドシップバランスを実現。
- 異次元のスペック:最高21,500rpmまで回るリア・ツインモーターと「アクティブ・トルク・ベクタリング2.0」を搭載し、サーキットでの20分間連続全開走行を保証。

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グッドウッドで鮮烈デビュー。ピエール・ガスリーが認めた「EVでもアルピーヌ」の走りと熱狂
第33回を迎えた今回のグッドウッドにおいてアルピーヌは過去最大のブースを展開し、まさにブランドの未来を占う主役として「A110 FUTURE」を降臨させることに。
ステアリングホイールを握ったのはBWTアルピーヌF1チームのスタードライバーであるピエール・ガスリー。
助手席にはグッドウッドの創設者であるリッチモンド公爵を乗せ、伝統のヒルクライムコースを軽快に駆け上がり、走行後、ガスリーは興奮気味にこう語っています。
「アルピーヌの未来を誰よりも早くドライブできたことは最高のエクスペリエンスだった。アルピーヌは、電動スポーツカーであっても、より軽く、よりシャープに、そして本当に運転が楽しい車に仕上げられることを証明し続けている。これからの未来がどうなるか、今から本当にワクワクしているよ」
今回のイベントでは1978年のル・マン24時間レースを制した伝説の「アルピーヌ A442B」や、V8エンジンを搭載したF1マシン「E20」のデモランも行われ、アルピーヌが脈々と受け継いできたレースのDNAが最新のEVスポーツカーへとダイレクトに繋がっていることが強調される内容となったようですね。
新開発「APP」と前後分割バッテリーがもたらす、異次元のパッケージングとスペック
多くの自動車メーカーがSUVやセダンとEVプラットフォームを共有する中、アルピーヌは一切の妥協を許容せず、A110 FUTUREの土台となるのは完全新開発の「APP(Alpine Performance Platform)」で、これはなんと構成部品の95%がルノーグループの他モデルと共有しないという「アルピーヌ専用設計」を持っています。※現行A110であっても、シート然りシートレール然り「専用設計」を持っており、現代のスポーツカーでは珍しく「とんでもなくコストが掛かった」クルマである
APPはその構造として、エレクトリックスポーツカー最大の敵である「バッテリー重量」と「車高の高さ」を克服するため、床下一面にバッテリーを敷き詰める一般的な手法を排除しており、その代わりに選択したのが「バッテリーの前後分割配置」。
総バッテリー容量の25%をフロントに、75%をリアに振り分けることで、以下の画期的なメリットを生み出していて・・・。
- 現行型A110と同等の低い全高とシートポジションの維持(ドライバーが地面に張り付くようなスポーツカーの感覚を損なわない)
- 伝統のミッドシップ・スポーツと同じ「40:60」の理想的な前後重量配分
- 高圧ダイカストアルミニウム製ケーシングによる、シャシー剛性への直接的な貢献

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Alpine A110 FUTURE 暫定スペック
| 項目 | 主要諸元・テクノロジー |
| プラットフォーム | APP(Alpine Performance Platform)※アルミ製モジュラー構造 |
| レイアウト | 2シーター・クーペ(将来的に2+2やカブリオレへも展開可能) |
| 駆動方式 | 後輪駆動(リア・ツインモーター)※将来的にAWD化も視野 |
| バッテリーシステム | 800V高電圧システム(セル・トゥ・パック技術採用) |
| バッテリー前後比率 | フロント 25% : リア 75% |
| モータータイプ | 永久磁石同期電動機(PMSM)× 2基(リア軸) |
| モーター最高回転数 | 21,500 rpm |
| インバーター | 800V シリコンカーバイド(SiC)インバーター |
| 車両制御システム | ADM(Alpine Dynamic Model)およびアクティブ・トルク・ベクタリング2.0 |
| 充電システム | 400Vブースト充電対応 |
サーキットでの全開走行20分を保証する驚異のパワートレインと21,500rpmのツインモーター
アルピーヌのCEOであるフィリップ・クレーフ氏は、このクルマの開発目標について非常に興味深い事実を明かしており、それは「サーキットにおいて、最高速度かつ最大横Gがかかる限界走行を、最低でも20分間はバッテリーのタレ(熱ドロップ)なしで維持できること」。

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多くのEVが熱管理の観点から数周でセーフモードに入ってしまう中、A110 FUTUREはモータースポーツ直系の高度な熱管理システムと800Vのシリコンカーバイド(SiC)インバーターを採用することで「ガソリン車以上の」耐久性とリニアなパフォーマンスを目指しています。
さらにリアへと配された独立型ツインモーターは最高21,500rpmという超高回転型。
これに新世代の「アクティブ・トルク・ベクタリング2.0」と「ホイールスリップ・トルクコントロール」が組み合わされることとなりますが、これによってコーナー進入時やクリッピングポイントでのアンダーステアを極限まで減らすことが可能となり、アクセルON/OFF時の荷重移動を10ミリ秒単位で緻密に制御できるように。
まるでクルマ自体が軽くなったかのような、アルピーヌ特有の「ひらひらと舞うアジリティ(俊敏性)」を電動化の世界でも完璧に再現しているそうですが、左右のモーター出力を緻密に変化させることにより、EVならではの”官能的な独自の加速チューニング”を施していることについても言及されています。
ポルシェ・ケイマンEV(次期型)に対する市場での位置付けとアドバンテージ
プレミアム・コンパクト・スポーツカーのセグメントにおいて、A110の最大のライバルといえば「ポルシェ 718 ケイマン」。
奇しくもポルシェも次期型718の電動化(EV化)を進めており、市場ではまさに「次世代EVスポーツカーの覇権争い」が勃発しようとしている状況。
しかしアルピーヌ A110 FUTUREがポルシェに対して持つ最大のアドバンテージは、やはりその「軽さへの執念」であると考えてよく(上述のような専用パーツをざわざわ開発したのは、すべて軽さのためである)ポルシェがラグジュアリー性や絶対的なパワー(馬力)を重視したEVスポーツにシフトする可能性が高いのに対し、アルピーヌはあくまで「パワーはそこそこでいい、とにかく軽くて曲がる車を」という創業者ジャン・レデレの思想を頑なに守るであろうことが予想されます。

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今回のAPPプラットフォームの発表を見る限り、大容量バッテリーによる航続距離の長さより、「スポーツカーとしての理想的なパッケージングと運動性能」を最優先していることは明白で、クレーフCEOも「現行のガソリン車よりもあらゆる面で優れたプレミアムスポーツになる」と絶対の自信を覗かせており、スペック競争ではなく「ドライバーズカーとしての純度」でライバルを凌駕する立ち位置を狙っているというわけですね。
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「EVのスポーツカーなんて・・・」と冷ややかな目を向けていたエンスージアストにとっても、今回のアルピーヌ A110 FUTUREのグッドウッドでの躍動は大いに期待を抱かせるものとなったはずで、「エコだから電気」にするのではなく、「EVの技術を使えば、ガソリン車以上に限界が高く、コントロールしやすく、面白いスポーツカーが作れる」ということを、アルピーヌは証明しようとしています。
量産モデルの正式発表は2026年末から2027年初頭にかけてが予定されており、生産はこれまで通りフランスの伝統あるディエップ工場(ジャン・レデレ工場)で行われるそうですが、ガソリンエンジンの灯火が消えゆく時代にあり、アルピーヌが提示したこの美しい未来の選択肢に対し、ぼくらは大いに拍手を送るべきなのかもしれません。

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EV時代の「コックピット」はどうなる?
クレーフCEOによると、次世代A110のコックピットは「現行型よりも遥かに素晴らしい、タイムレス(時代を超越した)なデザインになる」とのこと。
最近のEVにありがちな「巨大な液晶画面だらけのインパネ」とはせず、ドライバーが走りに集中できるよう、極めて直感的かつ人間工学に基づいた「ドライバー・セントリック(運転手中心)」のインターフェースが採用される予定だといい、画面の多さに疲れた現代のドライバーにとっても、このA110 フューチャーのには「非常に嬉しいこだわり」が満載となりそうです。
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