
Image:Xiaomi
| スマホ巨人が挑む、次世代の「走るスマートホーム」とは |
直近の中国車のこだわりは「インテリア」に向けられる
スマートフォンや家電の巨頭であり、自動車市場でも快進撃を続ける中国のシャオミ(Xiaomi)。
同社が1年半以上前から極秘裏に開発を進めていた、ブランド最大かつ最高峰となるフルサイズSUVの姿が公式SNS(Weibo)からついに明らかになっています。
新たに立ち上げられた派生シリーズ「Sky Nomad(スカイ・ノマド)」の第一弾となるこの車両のコンセプトは、まさに「車輪の付いた家」とも呼べるもので、これまでのシャオミの電気自動車(BEV)から一転し、初の発電用エンジンを積んだ「レンジエクステンダー(EREV)」として登場することに。
さらにはガジェット好きだけでなく、ファミリーやアウトドア派の心も掴む革新的なギミックが満載となっており、中国車の「本質的価値」がインテリアへと移りつつあることを感じさせる1台となっています。
この記事の要約(クイックチェック)
- 車内が会議室やリビングに:フロントシートが180度後方に回転し、中央にテーブルを配置できる革新的なシートアレンジを採用。
- シャオミ初のレンジエクステンダー(EREV):ピュアEVだったSU7やYU7とは異なり、1.5Lターボの発電用エンジン+ツインモーターを採用し、航続距離の不安を解消。
- 本格的な「キャンプ仕様」も同時展開:全高を高め、ポップアップルーフ式のルーフベッドを備えたアウトドア特化グレードを用意。
- 全長5.2m超の圧倒的サイズ:Li Auto「L9」やAITO「M9」といった、中国で大ヒット中の一流高級フルサイズSUVに真っ向から勝負を挑むパッケージ。

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新シリーズ「Sky Nomad」から誕生した、規格外の巨体と2つのバリエーション
今回公開された画像、そしてこれまでの報じられた情報よると、新型SUVの名称は「Sky Nomad N90」。
シャオミの既存モデルであるセダン「SU7」や、今後登場予定のSUV「YU7」のような流麗なスポーツ路線とは完全に一線を画し、室内空間を極限まで広げるためのスクエアでボクシーなスタイリングを採用しています。
プラットフォームには、シャオミの最新の「崑崙(Kunlun)アーキテクチャ」を採用し、標準モデルに加えて最初からアウトドア仕様として仕立てられた「キャンピングバージョン」の2種類が型式指定を通過していることもわかっています。
ルーフには高度な自動運転や運転支援機能(ADAS)を可能にする「LiDAR」が堂々と配置されており、シャオミが得意とする先進のテクノロジーもしっかりと網羅されていることが伺えますね。

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まさに動く家。フロント回転シートとゼログラビティチェアの衝撃
N90の最大のトピックはキャビンの設計にあって、車内の図面データによると、運転席と助手席のフロントシートが180度反転して後方を向くギミックが備わっており、その中央に着脱式のフリースタンディング・テーブルをドロップインすることで車内は瞬時に「移動式のミーティングルーム」や「プライベートリビング」「カフェ」「シアターやゲーミングルーム」へと早変わり。
さらに、2列目と3列目シートを完全にフラットに折りたたむことで広大なベッドスペースが出現し、キャンピングバージョンでは、ポップアップルーフが立ち上がって大人2人が余裕で就寝できる、ロフトのような「ルーフベッド」へとアクセス可能となるもよう。
インテリアには全面に上質なレザーや柔らかなプレミアム素材が奢られ、中央には巨大なインフォテインメントディスプレイを配置したうえ、2列目には高級ミニバンのような「ゼログラビティ(無重力)シート」が標準装備され、天井からは移動式のリトラクタブル・スクリーンが吊り下げられるなど、既存のプレミアムSUVを凌駕するレベルの「同乗者への快適性」が確保されているようですね。

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シャオミ Sky Nomad N90 主要スペック
| 項目 | 標準モデル仕様 | キャンピングバージョン仕様 |
| 全長 × 全幅 × 全高 | 5,285 mm × 1,998 mm × 1,825 mm | 5,285 mm × 1,998 mm × 1,925 mm(ルーフ架装分) |
| ホイールベース | 3,080 mm | 3,080 mm |
| パワートレイン方式 | レンジエクステンダー(EREV・発電用エンジン搭載型EV) | ← 同左 |
| 発電用エンジン | 1.5リッター 直列4気筒ガソリンターボ(最高出力: 112 kW / 150 hp) | ← 同左 |
| 駆動モーター | 前後ツインモーター(フロント: 100 kW / リア: 210 kW) | ← 同左 |
| システム最高出力 | 計 310 kW(約416 hp) | ← 同左 |
| 駆動用バッテリー容量 | 76 kWh | 76 kWh |
| EV航続距離(WLTC) | 363 〜 370 km(※ガソリン満タン時の総航続距離は1,000km超予測) | ← 同左 |
| 最高速度 | 190 km/h | 190 km/h |
| 乗車定員 | 5人乗り または 7人乗り 仕様を選択可能 | ← 同左 |
なぜシャオミは「ピュアEV」をやめて「エンジン」を載せたのか
中国のフルサイズSUV市場において、N90の直接のライバルとなるのは、現在中国の富裕層ファミリーから爆発的な支持を得ている「Li Auto(理想汽車)L9」や、ファーウェイ(Huawei)が技術提供する「AITO(問界)M9」、そして吉利グループの「Zeekr(ジーカー)9X」など。
これら競合に対する”シャオミ最大のアドバンテージであるとともに今回の戦略的転換の核心”が「レンジエクステンダー(EREV)」の採用で、これまでシャオミは純粋なBEV(バッテリーEV)のみを展開してきたものの、こと「全長5.2mを超える重量級の大型SUV(ミニバン)」において、ピュアEVだと航続距離の短さや充電インフラのストレスという大きな弱点を抱えることにも。
特に長距離の家族旅行や、電気のない大自然へ出向くキャンプ用途では致命的で、かつこのN90はそもそも「長距離移動」を前提としています。
そこでシャオミは大容量の76kWhバッテリー(これだけでも一般的なコンパクトEV並み)に、発電専用の1.5Lターボエンジンを組み合わせる選択をし、普段の街乗りや通勤には充電した電気だけで静かに「100%EV」として走り、週末のロングドライブやキャンプではエンジンで発電しながら走ることで、航続距離の不安を完全にゼロにするという戦略を採用したのだと考えられ、現在の中国ラグジュアリーSUV市場で現在最も支持されている「勝利の方程式」を、シャオミも満を持して自社のエコシステムに組み込んできたということになりそうですね。

Image:Xiaomi
結論:スマホと家電が生んだ、ライフスタイル・モビリティの決定版
2026年後半に正式発売が予定されているシャオミ・Sky Nomad N90は、従来の「自動車メーカー」の発想からは生まれない、IT・家電ジャイアントだからこそ具現化できた究極のライフスタイルビークルです。
「単に移動するためのクルマ」ではなく、「車内でどう過ごすか、目的地でどう楽しむか」に主眼を置いたフロント回転シートやポップアップルーフは、クルマのコモディティ化が進む現代において非常に新鮮なインパクトを放っていて、スマートホームとシームレスに繋がるシャオミの強力なソフトウェアがこの巨体と組み合わさったとき、高級SUV市場の勢力図が再び大きく塗り替わることが予想されます。
そして勢力図が塗り替えられた後に起こるであろうトレンドが「いっせいにこのヒット作を現地の自動車メーカーが模倣する」というもので、そうなるとせっかく日米欧の自動車メーカーが「ツルっとした外観、細長いLEDライト、格納式ドアハンドル、タッチ式ディスプレイ、パノラマルーフ」という(現在の)勝利の方程式を取り入れて「ようやく」中国の流行に追いついたかのように見えたものの、それらが実際に市場に出る前には「すでに中国のメインストリームは別のところへと行ってしまい」、再び置いてけぼりを食うことに。
おそらくこれからは何度となくこういった流れが繰り返されることとなりそうですが、やはり重要なのは「スピード」ということがわかりますね(とにかく中国の流行が移り変わる速度、そしてそれを追うメーカーの開発速度が凄まじい)。
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なぜ今、中国で「フロントシートが回転する車」が認可されるのか?
かつて、日本のミニバン(初代ステップワゴンやエルグランドなど)でも「フロントシートが回転して対座になる」仕様が大流行した時代がありましたが、しかし、日本の現行の保安基準や衝突安全基準、またシートベルトがピラー(柱)から出ているという構造上の問題、さらにはエアバッグの展開位置の複雑さから、現代の新型車では運転席・助手席が回転するギミックは”安全性の観点から”非常に実現が難しくなっています。
では、なぜシャオミはこれを実現できたのか。ここには現代のシート技術の進化があり、N90のシートアレンジ図面を紐解くと、シートベルトが車体側ではなく「シート本体(座席)」に完全に内蔵されたインテグレーテッド・シートベルトが採用されていると推測するのが妥当です。
さらに、回転状態(停車中)をセンサーが検知している間は走行できないロック機構や、どの向きを向いていても乗員を保護できる全方位エアバッグの制御など、最先端の電子制御と高い安全基準をクリアするシャオミの「Kunlunアーキテクチャ」の基本剛性があってこそ、この懐かしくも新しい「対座空間」が現代に安全な形で蘇ったのだと考えられ、テクノロジーの進化が「一度消えかけた便利な機能を再び可能にした」好例と言えるのかもしれません。
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参照:Xiami Auto











