>中国/香港/台湾の自動車メーカー

【パクリ疑惑で生配信中断】MG新型セダン「MG 07」が”ポルシェとシャオミに酷似している”として発売直前に大炎上、さすがに中国人も看過できなかったようだ

中国「MG」の新型車「07」〜フロント(パープル)

Image:MG

| 中国ではこれまで以上に「パクリ」に過敏になっているようだ |

ただしコンプライアンスというよりは「叩き」に近い

かつて英国の名門スポーツカーブランドとして名を馳せ、現在は中国の自動車最大手・上海汽車(SAIC)傘下でグローバル展開を加速させている「MG(名爵)」。

そのMGが中国国内での正式発売を控えている新型ミドルサイズセダン『MG 07』を巡り、ネット上で激しい炎上騒動が勃発しているというのが今回のニュース。

現地メディア「新浪(Sina)」の報道によると、MGのゼネラルマネージャー(GM)である陳翠(Chen Cui)氏が行った公式ライブ配信中、視聴者から「ポルシェ・タイカンやシャオミ(Xiaomi)SU7のデザインを盗用しているのではないか」というパクリ疑惑を指摘する批判コメントが殺到し、事態を重く見たGMが配信を途中で突如強制終了するという異例のアクシデントに発展したのだそう。

カモフラージュを外したテスト車両が中国の公道に姿を現したことでさらに議論が過熱している「MG 07」ではありますが、なぜこれほどの反発が起きたのか、そしてこの新型車が備える本来の実力とスペックについて考えてみましょう。

中国MGが発表した新型EV、MG 07のリア(パープル)

Image:MG

中国MGが発表した新型EV、MG 07のフロント(パープル)
MGまでもが「ポルシェ タイカン風EV」を発表。やはりポルシェは「腐っても(腐ってはいないが)鯛」、今でも中国メーカーのベンチマークである

Image:MG | ポルシェ・タイカン的ルックスを持ちm価格はカローラ並 | 新型MG 07が「EV界の破壊神」になる予感 MG(英国の名門ブランド)が、次世代フラッグシップモデル「MG 07」のエ ...

続きを見る

この記事の要約

  • 生配信が突如中止に: 視聴者からポルシェやシャオミの「パクリ」を非難するコメントが相次ぎ、MGのゼネラルマネージャーがライブ配信を急遽遮断。
  • ブランド側の反論: MG経営陣はパクリ疑惑を否定。「12世紀に遡る英国の伝統ではなく、1962年の名車『MGB GT』の流麗なシルエットを現代的に進化させたもの」と主張。
  • 充実の先進センサー: ルーフにLiDARを標準搭載するほか、ミリ波レーダーや超音波センサーを駆使した高度運転支援(ADAS)システムを完備。
  • 多彩なパワートレイン: 239馬力の「純電気自動車(BEV)」と、1.5Lエンジンに強力なモーターを組み合わせた「プラグインハイブリッド(PHEV)」の2つの仕様を用意。
  • 国内市場での苦戦: 年間70万台以上を輸出するグローバルブランドである一方、中国国内でのシェアはわずか1.1%(2026年5月時点)と低迷しており、起死回生を狙った1台。

批判コメントの連打に耐えかねた経営陣、中国国内での厳しい現実

今回の炎上劇の背景には、中国の過酷なEV・新型車市場におけるMGの「焦り」が透けて見えます。

MGは現在、年間70万台以上を世界市場へ送り出す屈指の輸出メーカーであり、特に欧州などでは高い認知度を誇るものの、しかしお膝元である中国国内でのリテール(小売)市場におけるシェアは2026年5月時点でわずか1.1%(月間登録台数は17,570台、年初からの累計は84,275台)にすぎず、巨大な競合他社の前に埋没しているのが現状です。

国内でのシェアを何としても回復させたいMGにとって、この「MG 07」は社運を賭けた戦略的フラッグシップセダンであり、それだけに”注目を集めるためのライブ配信”ではあったものの、これが「デザイン盗用疑惑」という最悪の形でジャックされ、GM自らが配信を切り捨てざるを得なくなったことは「ブランドイメージにとって大きな打撃となった」のは間違いなさそう。

中国MGが発表した新型EV、MG 07のフロント(パープル)

Image:MG

ネット上で特に指摘されているのは、低く構えたフロントマスク(シャークノーズ)からなだらかに傾斜するルーフライン、そしてリアフェンダーにかけてのグラマラスな抑揚で、これが先行して大ヒットしている「シャオミSU7」や、そのデザインのインスピレーション元と言われる「ポルシェ・タイカン」のシルエットに酷似しているとされ、、中国のシビアなネットユーザーから「オリジナリティがない」と一斉砲撃を浴びる結果となっています。

経営陣はこれに対し、「決して現代の他社製BEVプラットフォームを模倣したわけではなく、ブランドが持つ輝かしいヘリテージである1962年型『MGB GT』のファストバックスタイルを現代の空力技術で解釈した正統な進化系だ」と必死の火消しを図っているもののそれでも炎上は収まらず、ネット上には様々な「比較検証画像」が出回る状態に。※下の画像はポルシェ・タイカン、シャオミSU7、尚界Z7、MG07のサイドビューを比較した画像

中国「MG」の新型車「07」とポルシェ・タイカン、シャオミSU7等との比較

Image:Weibo

ちなみにですが、MG 07のシルエットは先行する人気モデルにたしかに似ているものの、フロントはトヨタの「bZ」シリーズにも似ていて、しかしこちらは(不思議なことに)さほど問題となっていないようですね。

20250423_01_10

Image:TOYOTA

トヨタ bZ7、「日中合作」の量産仕様として初公開:ファーウェイとによる”HarmonyOS”搭載の先進EVセダン
トヨタ bZ7、「日中合作」の量産仕様として初公開:ファーウェイとによる”HarmonyOS”搭載の先進EVセダン

Image:TOYOTA | 新型トヨタbz7はトヨタが現地にて開発した「中国の嗜好にマッチした」EVである | そのため、このbz7は現地でも高い競争力を持つものと思われる さて、トヨタは上海モータ ...

続きを見る

「MG 07」の主要スペックとハードウェア構成

騒動ばかりが先行していますが、認可当局の公認ドキュメントやスクープされた実車から判明している「MG 07」のハードウェア構成は、クラスを超えた非常に高スペックなものです。

【テクニカルスペック表】

項目BEV(純電気自動車)仕様PHEV(プラグインハイブリッド)仕様
全長×全幅×全高4,886 mm × 1,900 mm × 1,478 mm左記同様
ホイールベース2,825 mm左記同様
パワートレインリヤ単発電気モーター1.5L 自然吸気ガソリンエンジン + 電気モーター
最高出力176 kW (239馬力)エンジン:82 kW / モーター:152 kW
航続距離(CLTC/WLTC)610 km 〜 650 km (CLTC)EV走行:185 km (WLTC)
足回り特徴大径アルミホイール、イエロー塗装パフォーマンスブレーキキャリパー左記同様
先進運転支援(ADAS)ルーフマウントLiDAR、ミリ波レーダー、超音波センサー、フロントガラス内撮カメラ左記同様
中国「MG」の新型車「07」〜サイド

Image:MG

「パクリ」か「トレンド」か? 搭載される最先端センサー群

MG 07で目を引くのはフロントウィンドウ上部のルーフに突出して配置された「LiDAR(ライダー)エンクロージャー」で、これに加え、フロントガラスの内側、サイドパネル、ドアミラーの下部など、車体のあらゆるセクションに高解像度オプティカルカメラが埋め込まれています。

さらにバンパー下部のグリル内やリアバンパーまわりにはミリ波レーダーと超音波距離センサーが整然と配置され、中国の複雑な交通環境に対応する「スマートドライビング・プロセッシング・アレイ」を構築することで以下のような高度なインテリジェントドライブが可能となっているわけですね。

  • 構造化された駐車場での「完全自動パルキング」
  • 高速道路における「自動ナビゲーションパイロット(Highway Pilot)」
  • 高精度なレーンキープおよびアクティブレーンセンタリング

デザインの類似性が指摘される一方、これだけの自動運転ハードウェアを凝縮したパッケージングは現在の中国市場におけるプレミアムセダンの「必須要件」を満たしており、単なる見た目だけのクルマではないことも証明しているのがこのMG 07です。

中国EV市場における「デザインの同質化(コモディティ化)」という深い病理

なぜ現代の(中国における)EVやセダンがどれも似通ったデザインになってしまうのか、その技術的・構造的な理由について考えてみると・・・。

  • 「空力(Cd値)」という絶対的な正義:電気自動車やPHEVにおいて1回の充電での航続距離を伸ばすために最も重要なのが「空気抵抗の削減」。空気抵抗を極限まで減らそうとするとフロントを低く下げ(シャークノーズ)、滑らかなティアドロップ型のルーフライン(ファストバック)にし、リアをわずかに跳ね上げるというデザインに必然的に行き着くこととなり、ポルシェ・タイカンも、シャオミSU7も、そしてこのMG 07も、「風洞実験室が出した最適解」を忠実に再現した結果、シルエットが似てしまうという側面が存在する
  • ユーザーの目が肥えた現代中国市場:10年前であれば、海外メーカーのデザインを模倣した中国車は「安価な代替品」として一定の市場を獲得しており、しかし現在の中国の消費者は世界で最も先進的なEVに触れていて、デザインのオリジナリティやブランドのストーリー性を強く求めるという傾向も。今回、MGのGMに批判が集中したのは、「海外でどれだけ売れていようが、自国の最先端トレンド(シャオミなど)の後追いに見えるものは認めない」という、中国市場の成熟とユーザーのプライドの現れでもあるとも指摘されている
中国車(ファーウェイ)
Life in the FAST LANE.

ただ、ぼくが思うに、基本的に中国のビジネススタイルとして「トレンドに乗っかり、安価な労働力を駆使して本家よりも安く製品を提供する」というものがあるように思われ、それはクルマにとどまらず、飲食(ラッキンコーヒー)、アパレル(シーイン)、そのほかスマートフォン、さらにはアリエクやTemuにて販売される製品群を見れば一目瞭然で、いずれにせよ他人の褌で相撲を取るのが上手なのが中国のビジネス界だとも考えています。

中国の工場で「再生」されるフェアレディZやブロンコ、ランドクルーザー
いいのかコレ・・・。ハチロクや空冷ポルシェ911、フェアレディZにランドクルーザー、ディフェンダー。絶版車のボディやパーツが中国工場にて蘇る【動画】

| もはや中国はあらゆる意味において「あなどれない」 | 最新テクノロジーを活用し「絶版車」を蘇らせる 現在の自動車業界において、中国といえば最新の電気自動車(EV)が市場を席巻しているイメージが強い ...

続きを見る

よって今回のMG 07についても「売れる要素を最大限に寄せ集めた」結果であるとも捉えていて、その安易なビジネスモデルに対して中国の消費者が「NO」を突きつけたのが今回の流れなのかもしれません(それでもシャオミやHIMAはポルシェっぽいクルマを作っても大きくは叩かれないので、MGはなにか消費者を刺激するようなことを行った、あるいは行ったことがあるのかもしれない)。

これで中国人は見分けがつくのか・・・?最新の中国車はどれもデザインや車名が似すぎていてボクにはさっぱり区別がつかない。なぞそうなったのかを考えてみた
これで中国人は見分けがつくのか・・・?最新の中国車はどれもデザインや車名が似すぎていてボクにはさっぱり区別がつかない。なぜそうなったのかを考えてみた

| 中国のビジネスにおける基本戦略は「差別化」ではなく「模倣」である | よってヒット商品が出ればすべて「右へ倣え」に さて、ぼくがいつも思うのが「最近の中国車はどれも同じようなデザインばかりになって ...

続きを見る

結論

発売前から予期せぬ形で大きな注目(と逆風)を浴びることとなったMG 07。

239馬力を発生するBEVシステムや、実用的な185kmのEV航続距離を持つPHEVシステム、そしてLiDARをはじめとするフルスペックのセンサー群など、その中身は現在のミドルサイズセダンの中でも一線級の実力を秘めています。

また、今後は画像が流出している「ステーションワゴン」の追加投入など、ラインナップの拡充でさらなる巻き返しを計る構えを見せており、経営陣が主張するように、この流麗なラインが「英国の名車MGB GTの魂」を宿したものであるのか、それとも単なる市場のトレンドを模倣した二番煎じに留まるのか。

その真価は間もなく始まる正式なデリバリーの後、シビアな中国のユーザーたちが下す「販売台数」という名の審判によって白黒がはっきりと付けられることになりそうですね。

中国MGが発表した新型EV、MG 07のサイド(パープル)

合わせて読みたい、関連投稿

Lynk & Co(リンク・アンド・個ー)が北京にて発表したスポーツEV「タイム・トゥ・シャイン」のエクステリア〜リアビュー
また1台、中国からカッコいいEVスポーツが登場。Lynk & Co(リンク・アンド・コー)「タイム・トゥ・シャイン」はポルシェ911を脅かす存在となるか

Image:Lynk & Co | 「ボタン一つで全長が10センチ伸びて」空力性能を最適化 | 中国市場にてスポーツカーは独自の進化を遂げることに 吉利汽車(Geely)傘下のプレミアムブラン ...

続きを見る

中国、上海汽車(SAIC)「Z7(ピンク)」「Z7T(グリーン)」フロントサイド、静止
これでもポルシェは黙っているのか・・・。中国SAICがタイカンに激似のEV「Z7」を発売、タイカンの約1/4の価格、同程度の性能、タイカン以上の先進性にて販売開始

Image:SAIC | SAICはポルシェの親会社、フォルクスワーゲンの合弁パートナーである | 中国の自動車メーカーは優越的地位を利用して「やりたい放題」という印象 中国の自動車大手SAIC(上海 ...

続きを見る

BYD×メルセデス・ベンツ発のプレミアムブランド「Denza(デンザ / デンツァ)」、ついに欧州に進出。初陣は952馬力のZ9 GTシューティングブレーク
BYD×メルセデス・ベンツ発のプレミアムブランド「Denza(デンザ / デンツァ)」、ついに欧州に進出。初陣は952馬力のZ9 GTシューティングブレーク

Image:BYD | BYDは「既存メーカーの製品に比較して”10倍優れる”」と強気のアピール | 実際のところ、偏見抜きにして見ると「10倍」とはゆかずとも、デンザの製品が優れていることは間違いな ...

続きを見る

->中国/香港/台湾の自動車メーカー
-, , , , , , ,