
Image:Xiaomi
| もはや日米欧の自動車メーカーは価格、性能ともに中国勢には対応できない状況に |
YU7 GTは今年のEV業界における「台風の目」となるであろう
スマートフォンや家電の巨人として知られるシャオミ(Xiaomi)がEV(電気自動車)市場へと再び大きな衝撃を与えることに。
予告通りに2026年5月21日の夜、同社のエコシステム発表イベント「Human x Car x Home(人・車・家)」においてハイパフォーマンス電動SUV「YU7 GT」が正式にアンベールされ、ベースモデルの価格は389,900元(約800万円)からに設定されることがアナウンスされています。
イタリア語の「グランツーリスモ(大いなる旅)」を冠した名にふさわしく、長距離を圧倒的な速度と快適性で移動できるSUVに仕上がっていますが、驚くべきはこの価格で「ニュル最速SUV」として公式に認められているとうことで、ここではスーパースポーツ並みの出力を誇る新開発モーターのスペックから、ニュルブルクリンクで鍛え上げられた高度なシャシーシステム、そして急進化を遂げる中国EV市場における本モデルの立ち位置までを考えてみたいと思います。

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今回の要点(この記事のまとめ)
- 圧倒的なパワー: 最高出力738 kW(990馬力)、0-100 km/h加速はわずか2.92秒
- 超高回転型V8s EVOモーター: 独自開発のシリコンカーバイド(SiC)モジュールを採用し、驚異の28,000 rpmを達成。
- ニュル仕込みの足回り: CDCダンパーや2チャンバーエアサスペンションで構成される「蛟龍(Jiaolong)シャシー・マスターエディション」を搭載。
- 驚異の制動力: 曙ブレーキ製キャリパーと超大型カーボンセラミックディスクにより、100-0 km/h制動距離はわずか32.9m
- 15分で570km分の急速充電: 897Vの超高電圧プラットフォームをベースに、CLTC航続距離は705kmをマーク
シャオミYU7 GT:詳細
シャオミが自動車業界に参入して以来、その開発スピードと技術的イノベーションが既存の自動車メーカーを驚かせ続けていることはご存知のとおりですが、今回発表された「YU7 GT」はその集大成とも言えるプレミアムスポーツSUV。
価格構成は以下の通りとなっており、本格的なサーキット走行を視野に入れたオプションも用意されています。
- ベースモデル: 389,900元(約800万円)
- GTスポーツキット: 34,000元(期間限定プロモーション価格:14,000元)
- フル装備「ビッグフルパック」版: 429,900元(約900万円)

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YU7 GT:車種概要、性能・デザイン・スペックなど
1. パワートレイン&エンジニアリング
YU7 GTの心臓部にはシャオミの最新テクノロジーが詰まった「V8 EVO」モーターが採用され、ローターのシリコン鋼板を極薄の0.15mmに抑えることでモーター単体での効率が98.38%に達することに。
さらには897Vのシリコンカーバイド(SiC)高電圧プラットフォームを組み合わせた101.7 kWhの三元系リチウムバッテリーを搭載し、わずか15分間の充電で570km分の航続距離を回復することが可能だと説明されています。
2. シャシー&ブレーキングシステム
サーキットでの限界性能を高めるため、伝統のニュルブルクリンク北コースで徹底的に調律された「蛟龍(Jiaolong)シャシー・マスターエディション」を導入し、これはミリ秒単位で後輪の駆動力を最適配分する電子制御リミテッドスリップデフ(eLSD)や、車高と減衰力を独立制御するスマートサスペンションが組み合わされるというスグレモノ。
制動セクションには日本が世界に誇る「アケボノ(Akebono)ブレーキ」製の高性能キャリパー(フロント6ピストン、リア4ピストン)、そして熱ダレに極めて強い特大カーボンセラミックディスクを贅沢に装備しており、180 km/hからのフルブレーキングを10回連続で行ってもフェード現象を起こさずに完璧に止まりきるタフさを備えている、とのこと。

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YU7 GT 主要スペック表
| スペック・詳細 | |
| 最高出力 | 738 kW(990 hp) |
| 0-100 km/h 加速 | 2.92 秒 |
| 最高速度 | 300 km/h |
| モーター最高回転数 | 28,000 rpm(V8s EVOモーター) |
| バッテリー容量 | 101.7 kWh(三元系リチウム) |
| 最大航続距離(CLTC) | 705 km |
| 100-0 km/h 制動距離 | 32.9 m |
3. エクステリア&インテリアデザイン
ボディカラーのバリエーションはキャラクターに合わせた5色が展開され、ざっと見たところでは通常版のYU7(グリーンやパープルがある)とは差別化がなされているようですね。
- クリムゾンレッド(スポーツシリーズ)
- ヴォルカニックグレー(ラグジュアリーシリーズ)
- オブシディアンブラック / パールホワイト(クラシックシリーズ)
- チタニウム(ファッションシリーズ)
内装には2.3平方メートルにも及ぶアルカンターラ素材が使用され、すべての座席にマッサージ機能が標準装備されるなど快適性に配慮がなされるほか、遮光率99.85%を誇るスマート調光キャノピー(ガラスルーフ)や多層PVB音響ガラスなど30項目以上の防音アップデートにより、車内はプレミアムセダン並みの静粛性を実現している、と説明されています。

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加えて25スピーカーのドルビーアトモス対応サウンドシステムとアクティブノイズキャンセリング(ANC)が極上の移動空間を演出するというので、「これ以上求めようがないほど」のラグジュアリーな内容を持っていると考えていいのかもしれません。
市場でのポジショニング
シャオミ YU7 GTの登場は世界のプレミアムSUV市場、特にポルシェ・カイエン・ターボGTやテスラ・モデルX・プラッドといった、「1,000馬力級ハイパーSUV」のセグメントに大きな地殻変動を起こすことを意味しており・・・。
スマートフォンメーカーだからこそできる「フィジタル」の融合
従来の自動車メーカーが何年もかけて開発する車載OSやコネクティビティを、シャオミは自社の得意分野である「スマホ・家電のエコシステム(Human x Car x Home)」として最初から完璧な形で組み込んでおり、車内の大画面ディスプレイやオーディオリレーションは、住宅のリビングにいるかのような快適性とシームレスなデジタル体験を提供します。
圧倒的なコストパフォーマンスという脅威

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最も注目すべきは、これだけのハイテク装備、カーボンセラミックブレーキ、990馬力のパワートレインを詰め込みながら、価格を日本円換算で約800万円程度後※為替による)に抑えてきた点で、欧州のハイパフォーマンスSUVが2000万円〜3000万円クラスであることを考えると、この驚異的なプライス設定は完全に「欧州プレミアムブランドの”ブランド価値”を無効化するレベルにあるといっていいのかもしれません。
結論
シャオミ YU7 GTは「家電メーカーが作った速いEV」という段階を完全に超越しており、ニュルブルクリンクでの徹底した走り込み、(マクラーレンと同じ)アケボノブレーキの採用、自社開発の28,000 rpm超高回転モーターなど、自動車としての走る・曲がる・止まるの基本性能を極限まで突き詰めた存在です。
これほどのスポーツ性能とラグジュアリーな快適性、そして最先端のデジタル空間が1台に融合したSUVが「この価格帯で手に入る」という事実は、100年の歴史を持つ既存自動車ブランドにとっても無視できない巨大な脅威であり、電動化時代の「グランツーリスモ」の定義は、シャオミによっていま新しく書き換えられたのかもしれません。
そしてシャオミの優位性はこういった「機能・性能・デジタル面」のみではなく「ブランドイメージ」にもあると考えていて、一般に「中国車」となると購入をためらいがちではあるものの(ためらいがちというか、実際にためらってしまう)、シャオミのEVであれば不思議なことに「買ってみるか」という気になってしまうところが不思議です。
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