
Image:Hennessey
| 今の時代だからこそ少量生産メーカーの「意義」が生きてくる |
もちろんそのインスピレーション元は「ロッキード SR-71 ブラックバード」
アメリカのハイパーカーメーカーであるヘネシー・スペシャル・ビークルズ(Hennessey Special Vehicles)が、現代のハイパーカー市場に対する強烈なアンチテーゼとなる新型モデル「ブラックバード(Blackbird)」を発表することに。
電動化やデジタル画面の巨大化が進む昨今のハイパーカートレンドを真っ向から拒絶し、「ターボなし」「ハイブリッドなし」「液晶画面なし」、さらには「6速ゲート式マニュアルトランスミッション(MT)装備」という、純粋なドライビングの歓びだけを追求した原点回帰の1台です。
このモンスターマシンは伝説の偵察機「ロッキード SR-71 ブラックバード」からその名が取られ、最高出力800〜850馬力を発揮する自然吸気(NA)V8エンジンを搭載し、車重1,360kg未満を目指して開発が進められています。

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この記事の要点(要約)
- 究極のアナログ構成:ターボやモーター、液晶画面を一切持たない純粋な機械式ハイパーカー。
- 6.2L NA V8 × 6速MT:Ilmor Engineering社と共同開発した高回転型V8(最高回転数9,000rpm超、800〜850馬力)に、Hパターンゲート式6速MTを組み合わせる。
- 驚異のパワーウェイトレシオ:フルカーボン製シャシー&ボディにより乾燥重量1,360kg未満を実現し、0-60mph加速2.5秒、最高速度354km/h(220mph)を標榜。
- 世界限定71台の超希少モデル:価格は250万ドル(約3億7,000万円)から。2029年〜2030年頃よりデリバリー開始予定。
ヘネシー ブラックバード:概要
チューナーから本格的なハイパーカーメーカーへと脱皮を遂げた米ヘネシー。
名車「ヴェノムGT」の発表から16年、そして最高速挑戦を続ける「ヴェノムF5」の発表から約6年が経過した今、同社として3台目となる完全オリジナル車輛がこの「ブラックバード」ということに。
最高速度含むスペックとしての「数値」をひたすら追い求めてきたこれまでのヴェノムシリーズとは異なり、ブラックバードは「ドライバーとマシンがどれだけ濃密に対話できるか」に主眼が置かれています。

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9,000rpm超まで回るIlmor製6.2L NA V8エンジン
心臓部に採用されたのは名門Ilmor Engineering(イルモア)と共同開発された完全新設計の6.2リッター自然吸気V8エンジンで、過給機(ターボ/スーパーチャージャー)やエレクトリックモーターによるアシストを一切排し、レブリミットは9,000rpm以上に設定されていますが、ヘネシーは公道用のV8エンジン(NA)としては世界最高峰の出力を目指しており、ダイレクトで官能的なアクセルレスポンスを提供することが最大の目標だと語ります。
液晶画面を排除した、コックピットの美学
ドアを開けると現代の自動車とは思えないほど美しく硬派なインテリアが広がっていて、インストルメントパネルからナビ画面に至るまで”液晶ディスプレイの類が一切存在せず”これに近いのはリブートされた「デ・トマソ」くらいかも。

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ドライバーの目の前に並ぶのは5つのアナログメーター、そして中央に鎮座するのは10,000rpmまで刻まれたタコメーター。
センターコンソールにはマシニング加工が施されたHパターンのシフトゲートが美しく輝き、ルーフに設置されたオーバーヘッドコンソールには航空機をイメージしたトグルスイッチ群とイグニッションボタンが配置されています。※テンガロンハットがシートの間に置かれているのがテキサス流

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ヘネシー・ブラックバード:スペック
「ブラックバード」の主要なスペックおよび注目すべきデザイン・機能の特徴は以下の通りとなっていて・・・。
主要スペック一覧
| 項目 | 詳細スペック |
| エンジン | 6.2リッター V型8気筒 自然吸気(NA) |
| 開発パートナー | Ilmor Engineering |
| 最高出力 | 800 〜 850 bhp(予定) |
| 最高許容回転数 | 9,000 rpm 超 |
| トランスミッション | 6速 ゲート式マニュアル(後輪駆動) |
| 目標乾燥重量 | 3,000 lbs(約1,360 kg)未満 |
| 0 - 60 mph(約96km/h)加速 | 2.5 秒 |
| 最高速度 | 220 mph(約354 km/h) |
| シャシー / ボディ | 新開発フルカーボンモノコック / フルカーボンボディ |
| タイヤ | Michelin Pilot Sport Cup 2 R |
| 生産台数 | 世界限定 71 台 |
| 予定価格 | 250万ドル〜(税別・約3億7,000万円) |

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実用性と空力美を兼ね備えた設計
- 実用性への配慮:ハイパーカーでありながら、フロントのフランク(荷室)にはフルサイズのキャリーバッグが2個収納可能なほか、リアフェンダー側部にもストレージポッド(ポッド状の荷物スペース)を装備。カップホルダーも4個(2人乗りである)備わっており、GTカーとしての長距離ドライブ(1日800マイル以上の走行)も想定されている
- アクティブ・エアロダイナミクス:時速71マイル(約114km/h)に達すると、リアに配置されたアクティブ・スタビライザー(可動式垂直翼)が71度の角度で展開。これは名前の由来となった「SR-71」へのリスペクトが込められた演出
- 快適性の向上:前作ヴェノムF5と比較して、NVH(静粛性・振動)が低減され、ガラスエリアが拡大したことで視認性が向上。アダプティブサスペンションにより日常使いのしやすさも兼ね備えている

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ハイパーカー市場における位置付けとアナログ回帰の背景
近年、1,000馬力や2,000馬力を超えるエレクトリックハイパーカー(リマック ネヴェーラやピニンファリーナ バッティスタなど)やプラグインハイブリッドスーパーカー(フェラーリ 849テスタロッサやランボルギーニ レヴエルトなど)が次々と登場し、誰でも(お金があれば)容易に”圧倒的な加速を手にできる”時代となっています。
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しかしその一方、「スペック上の数字競争」に疲弊したコレクター層の間で、機械的なフィーリングや手応えを重視する「アナログハイパーカー」の需要が急増しているのもまた事実であり・・・。
- ゴードン・マレー T.50 / T.33:高回転型NA V12 + マニュアルトランスミッション
- アストンマーティン ヴァラー / ヴァリアント:フロントV12 + マニュアルトランスミッション
- パガーニ ウトピア:V12 + マニュアルトランスミッションを選択可能
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ヘリテージや伝統を誇る欧州の老舗ブランドが先行していたこの「究極のアナログ市場」に対し、テキサス発、そしてチューナー母体という経歴を持つヘネシーが独自のカーボン技術とIlmor製V8を引っ提げて参入したことは「自動車業界にとって極めて大きな出来事」なのかもしれません。
ハイパーカーの価値基準が「直線数値の最高速を競う」フェーズから、「五感で味わうドライビング体験の」「視覚や触覚を刺激する芸術作品」へとシフトしていることをこのブラックバードの誕生が如実に物語っているようにも思われ、そして今後はこういった「小規模生産者」しか作ることができないようなスーパーカーやハイパーカーが続々と登場するのかもしれませんね。
H結論
ヘネシー「ブラックバード」は、数字やスペックだけに囚われがちな現代のハイパーカー界に対する、最も情熱的で美しい反逆ともいうべき存在です。
デジタル画面に囲まれた日常から離れ、金属感あふれるシフトレバーを叩き込み、9,000rpm超で歓声を上げるV8 NAエンジンの鼓動を全身で受け止める――そんなクルマ好きの夢を、過剰なテクノロジーを排除することで実現してみせたことは称賛に値する出来事で、実際にデリバリーが開始されるのはヴェノムF5の生産が完了する2028年以降(つまり2029年)からとなりますが、71台に生産が制限されるこの特別なマシンは、将来的にハイパーカー歴史に名を刻む伝説のコレクションアイテムとなる可能性を秘めています。
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