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| 【目を引くデザイン】デ・トマソ P72はレトロと現代が融合した美しきスーパーカー |
数々の困難に打ち勝って「6年をかけ」ようやく市販化
De Tomaso(デ・トマソ)の待望のスーパーカー「P72」がついに市販モデルとして公開。
初披露されたのは2019年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードなので、「そこから6年の歳月を経て”ようや”く姿を現したということになりますが、時間をかけたぶん期待を裏切らない完成度を誇ります。
エレガントな曲線美と近未来的なディテールが融合したボディデザインは間違いなく注目を集めることとなるであろうものの、生産台数はわずか72台に限定され、その希少性からも、実車を目にする機会は非常に限られると考えて良さそうです。
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【歴史を受け継ぐ】1965年の「P70」へのオマージュ
P72はパンテーラやマングスタの直接的な後継モデルではなく、1965年にキャロル・シェルビーと共に開発されたレースプロトタイプ「P70(Sport 5000)」にインスパイアされたスーパーカー。
当時、キャロル・シェルビーはGT40プロジェクトに専念するため開発から離れましたが、その後デ・トマソは独自にP70を完成させ、しかし競技成績に恵まれず、わずか1年で計画は終了してしまい、そのパーツや設計はマングスタにて活かされています。
この歴史を汲み取り、P72のデザインを担当したジョウン・ウォン氏はかつて(P70をデザインした)ピーター・ブロックが描いたオリジナルのラインを現代に蘇らせたわけですね。
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なお、現在のデトマソは2014年に香港の投資ファンドであるコンソリデーテッド・イデアル・チーム(後に「Ideal Team Ventures」に改名)が買収しリブートしたもので、上述の通り2019年に計画を公表するもののその直後にコロナウイルスのパンデミックによって開発と製造に遅延が生じ、アメリカ生産であった当初の予定が変更されることに。
その結果、紆余曲折を経てこのP72の開発と生産協力は(AMG創業者の運営する)レーシングカーファクトリー、HWA GAによってなされ、生産そのものはニュルブルクリンク近郊に建設した自社工場によって行われると報じられています。
【内装も芸術作品】アナログの美学が光るデ・トマソ P72のキャビン
デ・トマソ P72のインテリアは、まさに「自動車の宝石箱」。
マシン加工された金属パーツ、ダイヤモンドステッチによって仕上げられるレザー、クラシックなスイッチ類やアナログメーター等が「1960~70年代のクラシックカーの持つ魅力」を現代に再現しており、しかし特筆すべきは”6速マニュアルトランスミッションの採用”で、露出したシフター機構(リンケージ)がエンジニアリングの美しさを体現しており、加工品質や製造品質の高さを視覚的に強調しています。
なお、現代のクルマでは「日常」となったディスプレイ画面は一切なく、デジタル要素は控えめとなっていて、唯一の“現代的な機能”はスマートフォンホルダーのみといったパッケージングです。
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【モダンな技術とクラシックの融合】デ・トマソ P72は新設計のカーボンモノコック採用
P72は当初、アポロ・インテンサ・エモツィオーネの持つカーボンモノコックをベースとして開発されていましたが、最終的にはデ・トマソ独自の新型カーボンモノコックを新規に開発することに(イデアル・チーム・ベンチャーズはアポロそのものを売却したとも報じられている)。
これにより剛性向上と軽量化を実現したと説明されていますが、ボディパネルもすべてカーボンファイバー製となり、オプションにてカーボンの地肌を露出した”エクスポーズド・カーボンファイバー”仕様も選択可能です。
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【フォード由来のハイパワーエンジン】700馬力のV8スーパーチャージャー搭載
パワートレインには、フォード製5.0リッターV8「コヨーテ(Coyote)」エンジンを採用。
米国のチューナー、ルーシュ(Roush)によるチューニングによって最高出力700馬力発揮しますが、このエンジンの選択は、初期のデ・トマソ車両がフォード製エンジンを搭載していたという歴史的背景にもマッチしています。
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【HWAが開発・製造を支援】AMGのDNAを受け継ぐ生産体制
車両開発と生産には、上述の通りAMG創設者の一人であるHans Werner Aufrecht(ハンス・ヴェルナー・アウフレヒト)が設立したドイツのHWAが協力しており、HWAはこれまでにもメルセデス・ベンツ CLK GTRの公道仕様やアポロ各モデルの開発や製造にて実績があり、P72の品質にも期待が高まりますね。
【今後の展望】オープンモデルやP900の登場も?
今回発表された車両は、72台の限定生産枠には含まれない認証用モデル(プリプロダクションモデル)だそうで、つまりは量産モデルあるいは顧客に納車する車両ではないとのことですが、デ・トマソは今後「顧客スペック」のP72の生産に移り、その後はオープントップ仕様、さらに過激な「P900」バージョンの投入も示唆しています。
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まとめ:デ・トマソ P72は“走る芸術”
デ・トマソ P72は、デザイン・歴史・パフォーマンスすべてを高次元で融合した芸術作品ともいえるスーパーカー。
限定72台という希少性と、アナログな運転体験を求めるエンスージアストにとっては、まさに究極の一台となりそうですね。
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