
| 現にロールス・ロイスも不動の存在だと考えられていたが |
いまでは一部が中国車に取って代わられている
グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2026の会場にて、BYD傘下の「Denza(騰勢)」から最高出力1,583bhp(約1,605PS)という怪物級のスペックを誇る「Denza Z」がお披露目されたのは記憶に新しいところ。
0-100km/h加速2秒未満、最高速度350km/h超とされるこのマシンをはじめ、YangWang(仰望)など中国新興ブランドによる凄まじいハイパワー競争が世界中で話題を集めています。
しかし、英Auto Express誌のインタビューに応じたランボルギーニのCEOステファン・ヴィンケルマン氏は、終始平然とした様子で「これらを脅威とは捉えていない」と語ったもよう。
ヴィンケルマン氏によれば、現時点でランボルギーニの脅威となり得る中国ブランドはひとつも思い当たらないとのこと。
その理由は非常にシンプルで、「彼らが作っているのはフル電気自動車(EV)だから」という点に集約され、中国車の最先端ソフトウェア技術には一定の注目を払いつつ、クルマとしてのパフォーマンス、サウンド、そしてドライバーの情熱を揺さぶるエモーションの領域において、彼らがランボルギーニに匹敵することはないと言い切ります。

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【記事の要約】ランボルギーニが中国勢を脅威と感じない3つの理由
- 中国勢の超高出力EVはターゲットが異なる:1,500馬力オーバーのDenza Zなど驚異的なスペックを持つモデルが登場しているが、完全電動(BEV)であるため、ランボルギーニが主戦場とする内燃機関・ハイブリッド市場と真っ向から競合しない。
- スーパーカーの本質は「エモーションと音」:数値上の加速性能やソフトウェア技術では追いつかれても、エンジンサウンドや胸を打つ感覚的パフォーマンスにおいてEVは競合になり得ないと分析。
- ピュアEV導入の延期とV12/PHEVへの集中:市場の顧客ニーズに基づき、ランボルギーニは初のフルEV投入を2030年以降へ延期。伝統のV12エンジンとPHEV技術の維持に全力を注ぐ姿勢を維持。
ランボルギーニ首脳陣が明かした「中国ブランドへのリアルな本音」
スペック比較とランボルギーニのプロダクト戦略
ランボルギーニ自身も数年前までは初のフルEV導入を計画していましたが、顧客からの需要がまだ十分に存在しないこと、そして技術面で同社の基準を満たすレベルに達していないことを理由としてデビュー時期を2029年以降へと後ろ倒しに。
そしてプロダクトディレクターのステファノ・コッサルター氏も「EVを出すのであれば、性能面で完璧なマスターピース(傑作)でなければならない」と語っています。
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顧客層からもこの判断は大絶賛をもって受け止められており、同社は当面の間、レヴエルト(Revuelto)に代表されるプラグインハイブリッド(PHEV)パワートレインへ注力する方針を掲げており、何より新興EV勢には絶対に真似できない「伝統のV12エンジン」を可能な限り長く生き残らせることが同社にとって最大の強みとなっているわけですね。

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ここで話題となった中国の最新EVスーパーカーとランボルギーニのフラッグシップモデルのスペックを比較してみると・・・。
| 項目 | Denza Z (中国・BYD系) | ランボルギーニ レヴエルト (PHEV) |
| パワートレイン | フル電動 (BEV / 3モーター) | 6.5L V12 自然吸気 + 3モーター (PHEV) |
| 最高出力 | 1,583 bhp (約1,605 PS) | 1,015 PS (システム合計) |
| 0-100km/h 加速 | 2.0秒未満 | 2.5秒 |
| 最高速度 | 約350 km/h (217 mph) | 350 km/h 以上 |
| 魅力の核心 | 圧倒的数値スペック・先進CAD/SW | 官能的なV12サウンド・ドライビングエクスペリエンス |
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スペック上の出力数値だけを見れば、1,500馬力オーバーを叩き出すEV勢が勝っているように見え、しかしランボルギーニが重視するのは単なる「数値上の速さ」ではなく、「五感に訴えかける体験」です。
高回転まで吹け上がるエンジン音やメカニカルなダイレクト感こそが超富裕層の心を掴んで離さない理由だということになり、中国のEVはこれらを持ち得ず、その点で「心配はない」と判断しているのだと思われます。
なぜEVスーパーカーは苦戦し、ハイブリッドが選ばれるのか?
近年のハイパーEV市場を見ると、ピニンファリーナ・バティスタやリマック・ネヴェーラといった最高峰のEVスーパーカーですら、販売面では世界的に大きな苦戦を強いられています。
その背景には、以下のような市場のリアルが存在し・・・。
- 「静かで速い」だけでは不十分:EVの加速性能はもはや2,000万円前後のセダンやSUVであっても十分に味わえるものとなり、「加速の速さ」自体の価値が相対的に低下した
- サウンドという感情的体験の欠如:スーパーカーを購入するオーナーが買い求めているのは、移動手段ではなく「刺激」というエモーショナルな要素。エキゾーストノートの存在しないEVはコレクターズアイテムとしての魅力が薄れやすい傾向にある
- リセールバリューの懸念:バッテリーの劣化や急速な技術進化により、中古市場での価格維持がガソリンエンジン車よりも難しいという現実も
こうした市場動向をいち早く見抜いたランボルギーニの「V12+PHEV」という選択は、時代のトレンドに流されない極めて現実的かつ戦略的な判断だったと言えるのかもしれません。

結論
数値やスペックの競い合いが激化する中国のEV市場ですが、ランボルギーニのような伝統的ラグジュアリーブランドが構築してきた「ブランド力」「歴史」「五感に響く体験」という壁は一朝一夕には超えられないもの。
ヴィンケルマンCEOは最後に「決して『絶対ない』とは言わない(Never say never)」と含みを持たせつつ、現時点でのアドバンテージに強い自信を示しており、電動化の波が押し寄せる現代だからこそ、エンジン音を響かせるランボルギーニの存在価値は、今後さらに高まってゆくことが予想されます。
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ただし「ありえないことが起こる」のが現在の自動車市場である
ただ、「世界的」に見るとステファン・ヴィンケルマンCEOの言うとおりだとは思われるものの、こと中国に関しては「話が変わる」というのがぼくの見解。
というのも、中国の富裕層はクルマに対してまったくエモーションを求めておらず、ランボルギーニの強みがまったくもって”刺さらない”ことも考えられ、それはフェラーリ・ルーチェに対する反応を見てもわかるとおり。
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そして何より中国には他の国には見られないほどの「愛国心」が存在し、たとえスペック上のみであっても「イタリアの伝統的なスーパーカーを打ち負かした」となると熱狂的な支持を集める可能性もあり、これは(数値面では測れない”高級”という観点ではありますが)すでにロールス・ロイスが影響を受けているところです。
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よってイタリアンスーパーカーが「中国市場において、中国性ハイパーカーにシェアの一部を奪われる」可能性は否定できず、「そんなバカな」と思うかもしれませんが、我が日本でも同様のことが起きていて、1989年に日産 R32 GT-RやNSXが登場し、とくにGT-Rがパフォーマンス面において世界トップクラスへと躍り出た際には「日本の技術は世界一!」「GT-Rのほうが安くて速いのにポルシェやフェラーリを買う奴はバカ」という風潮が一部で誕生してしまったことを記憶している人も少なくはないかもしれません。

こういった傾向は「愛国主義」、あるいは「コンプレックスの裏返し」であるとも考えられますが、短期的には中国でも同様の減少が起きる可能性が考えられ、さらには中国の自動車メーカーがル・マン24時間レースやF1に参戦し「万が一」勝利を収めてしまうと一気に流れが変わる可能性も。
加えて中国の自動車メーカーは先行する世界中の自動車メーカーの成功体験を知り尽くしているはずなので、日本車が「ワイルド・スピード」で成功を収め、アストンマーティンが「ボンドカー」としてその地位を確固たるものとしたように、ハリウッド映画に投資を行い露出を増やしたとなると、この傾向が世界中にて拡散することも考えられるわけですね。
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そしてもちろん、すべての人にとって中国製ハイパーカーが「アピールできる」というわけではありませんが、一部の人を取り込むことは間違いなく可能であり、そしてその「一部」がどんどん拡大してしまうと「取り返しがつかない事態にも」陥ってしまい、もしかすると、そのときになって「EVを持たない」ランボルギーニの戦略が裏目に出ることも考えられるのでは、とぼくは危惧しているというわけですね。

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参照:Auto Express











