
| 「どこへでも行き、生きて帰って来られる」がランクルの信条であったが |
ちなみに日本でのランクル300の販売台数は2026年だと通年で5,000〜6,000台だと予想される
世界中で絶大な人気と信頼を誇るトヨタのフラッグシップSUV「ランドクルーザー300」。
その主要市場の一つである中東アラブ首長国連邦(UAE)において、約3万台規模の大規模なリコール(回収・無償修理)が発表されることに。
UAEの経済観光省と連携し、現地総代理店であるアル・フッタイム・モータースが開始した今回のキャンペーンは、エンジンの不具合からトランスミッションの火災リスクまで多岐にわたっており、世界最高峰の耐久性を誇るランクル300に一体何が起きているのか、リコールの詳細と影響について見てみましょう。
この記事の要約
- アラブ首長国連邦(UAE)にて、アル・フッタイム・モータースがトヨタ「ランドクルーザー300」約29,774台を対象とした3件のリコールキャンペーンを開始
- 製造時の異物混入によるエンジン軸受の損傷やECUソフトウェアの制御不備、10速ATの過回転・オイル漏れによる火災リスクが判明
- 対象となるのは2021年から2024年に日本で製造されたモデルで、点検およびソフトウェア書き換え、必要に応じたエンジン無料交換を実施

トヨタ「ランドクルーザー300」リコールの概要
今回のリコールは、2021年から2024年にかけて日本の工場で製造され、UAE国内に導入された「ランドクルーザー300」計29,774台が対象となるもの。
不具合の内容に応じて3つの独立したキャンペーンに分かれており、対象となるグレードは「EXR」「VXR」「GXR」「GR Sport」、そして特別仕様の「Signature」など多岐にわたっており、現地ディーラーでは対象車両の無償点検、ECUプログラムの更新、ならびに必要に応じたエンジン本体の無償交換対応が進められている、とのこと。
不具合の特徴・対象
今回のリコールで公表された3つの不具合の事象、その技術的要因・影響は以下の通りとなっています。
- 1. エンジン軸受の損傷とクランクシャフト不具合(対象:6,571台 / 2023年〜2024年製):製造工程で生じた金属粉などの異物が混入し、エンジンのクランクシャフトベアリングを汚損・損傷させる恐れがある。進行すると異音の発生やエンジンの回転不良、始動困難を引き起こし、最悪の場合は走行中にエンジンがストール(停止)して動力を失う危険性も
- 2. V35Aエンジン制御ソフトウェアの不備(対象:7,453台 / 2021年〜2024年製):V6 3.5リッターツインターボ(V35A-FTS)エンジンの電子制御ユニット(ECU)において、冷却ファンの作動による影響を適切に計算できていないことが判明。アクセルペダルを全開にした急加速時などに、実際のエンジン出力が承認スペックと一致しない場合がある
- 3. 10速ATの不具合と火災リスク(対象:15,750台 / 2021年〜2024年製):10速オートマチックトランスミッションにおいて特定のギア使用時に過剰な回転数へ達する恐れ。トランスミッション自体の破損や動力喪失に加え、最悪のケースではフルード(作動油)が漏れ出し、車両火災や事故につながるリスクが指摘されている

| リコール内容 | 対象台数 | 対象製造年 | 主な不具合現象 | 対策内容 |
| エンジン軸受損傷 | 6,571台 | 2023年〜2024年 | 異音、エンスト、走行中の動力喪失 | 点検および必要に応じてエンジン無償交換 |
| ECUソフト不備 | 7,453台 | 2021年〜2024年 | 全開加速時の出力不整合 | 制御ソフト(ECU)の無償アップデート |
| 10速AT不具合 | 15,750台 | 2021年〜2024年 | 油漏れ、走行不能、火災リスク | 点検およびトランスミッション制御ソフト書き換え |
競合比較・市場での位置付け
中東市場における「ランドクルーザー」は、過酷な砂漠環境に耐えうる「絶対に生きて帰ってこられるクルマ」として、競合のNissan Patrol(日産 パトロール)やRange Rover(レンジローバー)を抑えて絶対的なシェアと支持を誇ります。

それだけに、過酷な使用環境が前提とされる過酷な地域での「走行中のエンスト」や「AT油漏れによる火災リスク」は、ブランドの信頼性に直結する重大な局面でであるとも報じられ、しかし不具合に対して隠蔽することなく、経済観光省と連携して約3万台規模の迅速な無償修理・交換対応を打ち出した姿勢は、トヨタの品質管理とユーザー保護への強い責任感を示すもの。
これにしっかりと対応することで「むしろ」信頼を勝ち取ることができるのかもしれません(北米でのフロアマットの一件のように)。
補足情報
今回のUAEでのリコール情報は、海外でランドクルーザー300を所有・運用するユーザーだけでなく、日本国内や他地域のランクルファンにとっても注視すべきポイントを含んでいます。
- 日本生産モデルへの波及とグローバル展開:今回リコールの対象となった29,774台は、すべて「日本国内の製造工場」で組み立てられた車両。V35A-FTS型エンジンや10速AT(Direct Shift-10AT)はグローバル共通のパワートレインであるため、今後他国や日本市場においても同様の点検・改修キャンペーンが拡大適用されるかどうかが注目される
- 製造時デブリ(異物混入)問題の根深さ:近年、北米市場等でもV35Aエンジンを搭載する大型SUV・トラック群において「製造時の金属粉除去不十分によるベアリング損傷」が問題視されており、今回のUAEでのリコールは、この製造工程上の課題が中東仕様の2023-2024年型ランクル300にも波及していたことを裏付ける形となっている

-
-
トヨタが1万台超のタンドラとレクサスLXにリコール届け出、エンジン内部に異物が混入しており修理ができないため「全車のエンジンを無条件かつ無償で交換」
| 異例中の異例となる対応ではあるが、トヨタとしてはほかに選択の余地がなかったのだと思われる | トヨタにとっては大きな「金銭上の損失」となるものの、逆にお金では買えない信頼を勝ち取ることになるのかも ...
続きを見る
結論
高い堅牢性と悪路走破性で世界中から信頼を集める「ランドクルーザー300」ではありますが、最新の精密なツインターボエンジンや多段ATを採用したことで、制御ソフトや微細な製造品質の精度がこれまで以上に問われる時代となっています。
約3万台に及ぶ規模の大きさや火災・エンストというリスクはショッキングではあるものの、メーカー側が早期に無償交換を含む包括的な対策に踏み切ったことは長年培われたブランドの信頼を守る上で不可欠なプロセスとも言えるもので、今後のグローバルでの対応と改修の進展に期待したいところでもありますね。
合わせて読みたい、トヨタ関連投稿
-
-
【驚き】トヨタ・ランドクルーザー300、2024年の世界販売は10万台超え。最大市場は日本ではなく「豪州」、しかし地域別だとほぼ6割が中東向け
| てっきりトヨタは円安を利用し海外へばかり販売していると思っていたが、ちゃんと日本市場にも「振り分けて」いたようだ | それでも日本の「比率は高くなく」、地域別だと中東が圧倒的 フルサイズSUVの代 ...
続きを見る
-
-
トヨタが128万台の大規模リコール。理由は「パノラミックビューモニター」、ボクのランドクルーザー250も対象に。なおランクル250はランクル300の「10倍以上」も日本で登録されている
| 生産台数はさほど変わらないのかもしれないが、日本国内での流通量は「全く違う」 | リコールの届出内容からは「生産台数(登録台数)」が丸裸に さて、トヨタが1,285,002台もの大規模リコールを発 ...
続きを見る
-
-
トヨタ / レクサスがランドクルーザー250やUX300、GXなどに「4.3万台の」リコール届け出。不具合の内容はメーター表示、珍しくオンラインアップデートにて問題解決
| 今回のトラブルはトヨタ / レクサスにとっては想定外でもあったようだ | OTA(無線アップデート)で問題を解決できるのはオーナーにとってありがたい さて、トヨタがランドクルーザー250はじめクラ ...
続きを見る
参照:GULF NEWS, The Supercar Blog











