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日本メーカーから技術や管理方法を吸収した中国メーカーが脅威に。そのうち世界へ進出?

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先日上海モーターショーが開催されましたが、その後に日本のメディアがこぞって報道したのが「日本自動車メーカーの劣勢」。
中国自動車メーカーの勢いが凄まじく、また来場者の関心も中国車に向き、日本のメーカーは「蚊帳の外」的雰囲気があったということですね。

これについては中国という国そのものの戦略が影響しており、現在中国現地において、海外の自動車メーカーが中国で生産を行う「合弁」を設立するには、中国企業に51%以上の株式を持たせることが必要。
たとえばフォルクスワーゲンと上海汽車集団との合弁「上海フォルクスワーゲン(上海大衆)」だと、フォルクスワーゲンの出資比率は40%となっています。

これはどういうことかというと、「その企業の決定権が中国側にある」ということで、フォルクスワーゲンが中国に持ち込んだ技術はすべからく中国側に吸収される、ということに。
よって合弁相手の上海汽車集団は自社ブランドでの車を、フォルクスワーゲンから吸収した技術で作れるということですね(現在のところ幸い上海汽車集団は合弁に専念)。

中国は一党独裁ですが、これには「意思決定が速い」というメリットがあり、中国は自動車に関して「2025年には複数の中国現地ブランドが世界の自動車メーカーのトップ10に入る」という目標を掲出。
そのための政策を現在強力に進めているということですが、これは国益を二の次にしてお互いの粗ばかりを探す日本の政治とはスケールの違うもので、中国は「外交に関しては世界的に見て一流」だとぼくは考えています。

Newsweekでは中国自動車メーカー躍進の例として広州汽車を挙げていますが、この広州汽車は中国自動車業界では第六位ではあるものの、ホンダとの合弁のほかトヨタ、三菱といった日経自動車メーカーと合弁を展開し、広州汽車の会長自身も「ホンダやトヨタなどの日系メーカーに学ぶことで、技術や品質、人材のレベルを上げてきた」、と語っているそう。

日本の自動車メーカーが何十年もかけて積み上げてきた技術や管理方法を「簡単に」移転可能なのが現在の中国というわけで、これはとにかく中国の政治のうまさとしか言いようがありません。
加えて中国は市場が大きく、どのメーカーも中国国内で車を売りたいわけですが、中国以外で作った車を中国へ輸入すると「関税」がかかって高くなり、売れなくなる。
じゃあ中国で作れば関税回避できるということなのですが、中国で作ろうとなると「中国企業との合弁が必要」。

関税を取れればそのぶん税収になり、かつ国内産業の保護に。
そうでなくとも合弁で技術のトランスファーを得られるという「どう転んでも中国は得をする政策」であり、しかし外国の自動車メーカーは「とにかく売らないと」いけないので、中国の言うなりになるしか無いわけです。
そして安く売らないことには他社との競争に負けるのでやむなく「合弁」を選ぶことになりますが、そうなると(どんなに気をつけていても)中国に一気に技術が流出することに。

そうやって中国市場で車を売り始め、その市場に依存してしまうと、今度は「抜けられない」ことになり、どんどん深みにハマってゆくわけですね。

それと同時に中国メーカーは欧州や日本の技術をどんどん吸収し力をつけることになりますが、デュアルクラッチも直噴エンジンも小排気量ターボも中国はすでに技術移転が完了しており、自動車を製造し始めて日が浅いメーカーでもこういった先端技術を使えるように。

これは携帯電話やスマートフォンも同じで、中国での携帯電話普及初期はノキアやモトローラがシェアのほとんどを占めるも、すぐに中国メーカーが同様の製品を作ることが出来るようになり、ノキアやモトローラが「用済み」になったのと似ています。
現在だとスマートフォンが同じ状況で、あれだけ中国で売れたiphoneが中国メーカーに押されて売れなくなっているのもこれと同じと言えそうです(画像はsankeibiz”中国スマホ市場でシェア大変動 OPPO首位、vivo3位に躍進 アップルと小米は大幅後退”より)。

こういった感じで中国自動車メーカーが伸びてくると中国内での日本の自動車メーカー、普及価格帯を販売しているGMやフォード、フォルクスワーゲンのシェアはスマホ同様に「縮小の一途」となり、やがては「用済み」となる可能性も(中国としては、技術さえ吸収できれば外国メーカーに用はない)。
そしてこれは中国だけではなく、世界中の「普及価格帯の車の市場」で同じ現象が発生する危険性を秘めているわけですね。

日本の自動車メーカーは一般に「安い割に品質が良い」という評判ですが、韓国の自動車メーカーはこれに直接対抗。
ただし「品質」では日本車に勝てないので「デザイン(海外の有名デザイナー活用)」という要素をプラスし、日本を覗く世界にて販売を拡大しています。

そして今度は中国が「価格」を武器に世界に打って出ようとしているのが現状ですが、すでに中国の自動車メーカーは日本やアメリカ、欧州自動車メーカーの技術を持っており、中にはMGやボルボを買収した会社も。
かつピニンファリーナやジウジアーロなど「著名デザイナーの活用」にも長けており、おそらく真っ先に食われるのは韓国の自動車メーカーではないかと考えていますが、すでに記事では「日本メーカーの危機」についても言及。

中国の自動車市場は2016年、前年比14%増の2800万台と米国の1.6倍の世界最大市場に成長した。その中で、現地ブランドのシェアは年々高まっている。2016年の中国系のシェアは43.2%とこの3年で2.9%高まったのに対し、日系は15.5%と同0.9%シェアを落とした(乗用車販売ベース、マークラインズ調べ)。

その一方で中国での販売を伸ばしているのはベントレー、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェといった高額車たちですが、これは「代替が中国メーカーでは効かないから」。
中国の自動車メーカーが逆立ちしても敵わないほどブランド力が高い、もしくは技術力が高いということになりますが、いかにブランドの排他性、ブッチギリの性能、もしくは高級さが競争に必要かがわかります。

ちなみにダンヒル創業者だったかが米国に留学した際は奇しくも「不況の真っ只中」だったそうですが、それでもティファニーなど高級店の製品が変わらず売れている(しかし普及価格帯のものは売れない)のを見て、「とことん高級ではないと生き残れない」と悟ったという話もありますね。

なお、スーパースポーツについても中国の自動車メーカーは(独伊のバッテリー技術を活かして)触手を伸ばしており、一部のメーカーはジウジアーロを起用してデザイン性を高め、他ではニュルブルクリンクで「最速」タイムを出すなど「歴史とブランド力のビハインドをひっくり返す」かのような展開も行っており、この方面に関しても数年(数十年は必要か)くらいあとには世界レベルのハイパフォーマンスカーメーカーが出てくるかもしれません。

日本的考え方だと、買収や外部からのデザイナー雇用はあまり好まれませんが、中国企業は買収や外部デザイナーの活用を積極的に行う傾向が。
日本の場合は「地道に、自分たちだけで試行錯誤して」進んできた道を、中国メーカーは一足飛びに(買収などで)駆け上がってくるわけですが、形振り構わずにお金儲けに走るところが恐怖だと思います。

 

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管理人:JUN

ランボルギーニ/ポルシェ/ホンダオーナー。 ハイパフォーマンスカーを中心に、それにまつわる話、気になるクルマやバイク、モノ、出来事などを紹介します。

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