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これまで門外不出!幻の「ミドシップコルベット」試作車、GS IIBがはじめて公の場にて展示されることに

2020/01/04

| コルベットの歴史上、誕生から間もなく、60年間もミドシップ化を追求してきた |

これまでテキサスのペトロリアム・ミュージアムの外に出たことがなかった「シボレー・コルベットGS IIB(1964年製造)」が、アメリアイランドにて開催されるコンクール・デレガンスに登場する、とのこと。

このコルベットGS IIBは見ての通り「ミドシップ」レイアウトを持ち、「試作車」のひとつ。
ただしこれは、コルベットのミドシップ化を進めてきたゾーラ・アンカス・ダントノフ氏の設計ではなく、フランク・ウィンチェル氏の手によるものだそう(外装デザインはコルベット”マコ(メイコ)シャーク”でおなじみのラリー・シノダ)。

デザインのインスパイア元は1962年おシボレー・コルベア・モンツァGTコンセプトで、搭載されるエンジンは400馬力を発生するV8エンジン(327キュービックインチ)。

Chevrolet-GS-IIB-3

トランスミッションは「1速AT」、駆動輪は後輪のみ、車体は薄いアルミ製ボディによって軽量化されてわずか657kgだと紹介されています。

Chevrolet-GS-IIB-2

ミドシップ・コルベットにはこんなモデルも

今回「門外不出」のコルベットGS IIBが一般向けに展示されるのは、「ついにミドシップ化された」新型コルベットのプロモーションの一環だと思われ、そして同じ理由からか、同会場ではやはりミドシップ化のために製造された試作車であるCERV I、CERV II、コルベットXP-819も展示される、とのこと。

なお、コルベット(初代)そのものは1954年に登場していますが、これのミドシップ化プロジェクトについては1959年代からスタート。
これを主導したのはゾーラ・アンカス・ダントノフ氏だと言われ、よって新型(C8)コルベット発表前には、そのサブネームが「ゾーラ(ZORA)になる」というウワサがあったり、プロトタイプのカモフラージュに同氏へのオマージュが隠されていたほど。

ここで過去の「ミドシップ化のための試作車」の一部を見てみましょう。

【動画】シボレーは60年前からコルベットのミドシップ化を検討していた!エンジニアたちが製作しては却下されてきた、幻の「ミドシップコルベット」たち

最初のミドシップコルベットは1959年のCERV I

最初の「ミドシップ」コルベットが試作されたのは1959年。
これはCERVⅠ(CERV= Chevrolet Engineering Research Vehicle)と命名されており、その姿はコルベットというよりはレーシングカー。

ゾーラ・アーカス・ダントフは1953年にシボレーへと加入し、C1世代の開発からコルベットに関わってきた人物ですが、C1コルベットの挙動に不満を感じ、これを正すにはミドシップ化しかない、という信念を持っていた、と言われます。

よってコルベットのエンジン(大きく改造されている)そしてリアサスペンションを流用したCERVⅠを製作しテストを開始していますが、画像を見ると、非常にコンパクトなクルマであることがわかりますね(これにV8エンジンを積んで走っていたかと思うと、ちょっと怖い)。

このクルマは製造から2年間ずっと存在を隠されており、その後も公式レースに参戦したことはないという、まさに「幻のクルマ」です。

CERV IIはフォードGTとル・マンで戦っていた可能性も

その後に登場したのが1964年のCERV II。
これはCERV Iとは異なってル・マン24時間レースへの出場を考慮したもので、6台が製造される予定だったものの、1台が製造された後にGMがモータースポーツ活動から撤退してしまい、それに続く生産がなされずに「1台のみ」がただ存在することに。

その後は個人のコレクターに売却され、2013年にはRMサザビーズ開催のオークションにて、約1億2000万円という高額を記録し落札されています。

「竹ヤリ」がなんとも言えない迫力を醸し出していますね(今回紹介するGS IIBに近い)。

XP-882はオイルショックで計画が頓挫した悲運のコンセプトカー

そしてさらにゾーラ・アーカス・ダントフはXP-882を1968年から製造開始。
なお、このプロジェクトを招集したのはジョン・ザッカリー・デロリアン。
言うまでもなく映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」にタイムマシンとして登場したデロリアンを後に(独立して)製造販売することになる人物ですね。

そして完成したXP-882は1970年のニューヨーク・オートショーにて展示されて高い評価を獲得し、市販化に向けて動き出したものの、1973年に起きた「第一次石油ショック」の影響でその後プロジェクトは頓挫することに。

なぜコルベットは長らくミドシップ化されなかったのか

新型コルベットにてミドシップかがなされるまで、実に「60年」という歳月を要したことになりますが、ここまでエンジニアたちが頑張ったのにC7世代までミドシップ化されなかったのは「お金がかかるから」。

ミドシップスポーツを作るにはプラットフォーム、トランスミッション、ステアリングラック、サスペンションなど、クルマを構成するパーツのほとんどを新設計する必要があるためで、しかしそのコストをまかなえるほどには「売れない」だろうというシボレー上層部の判断があったわけですが、C8コルベットへの賞賛そして販売状況を見るに、「もっと早くミドシップ化したほうがよかったんじゃないか」と思ったりします。

コルベットのミドシップ化に要したのは60年。途中で「ロータリエンジン搭載」モデル、「デロリアン」の元祖とも言えるモデルもあった!

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