| フォードはかつての「サイバートラックとの綱引き合戦」事件を未だ根に持っているようだ |
実際のところ、それぞれの数値はテスラ・サイバートラックを強く意識しているように見える
さて、フォードが「アメリカの富豪にもっとも愛されるクルマ」として知られるF-150のピュアエレクトリック版、F-150ライトニングを発表。
加えて、同日より100ドルの保証金とともに予約の受付を開始しています。
このF-150ライトニングは、フォード初のピュアエレクトリック・ピックアップトラックとなりますが、ベースモデルだと39,974ドルという驚くべき安さを誇り(ただし商用グレード)、最上位モデルだとその価格は90,000ドル。
フォードF-150ライトニング最大のライバルはテスラ・サイバートラック?
このF-150ライトニングにつき、おそらく一番の売れ筋は中間グレードの「XLT」になると見られていますが、こちらの価格は52,974ドルに設定されており、ここから米国の補助金7,500ドル、州政府の税額控除を受けることが可能です。
搭載されるバッテリーは「標準(航続距離230マイル)」に加え「エクステンデット(300マイル)」が用意され、エクステンデット・レンジ・バッテリーを選ぶと0-60マイル加速4秒中ばという圧倒的な加速を得られることに。
なお、デュアルモーターを選ぶと標準バッテリーで426馬力、エクステンデットバッテリーでは563馬力にも達する、とのこと。
内蔵される充電器にも差異があり、標準バッテリー仕様は11.3kWhシングル充電器、エクステンデットバッテリーだと19.2kWhのデュアル充電器が備わります。
これがどのくらいのレベルなのかというと、エクステンデットバッテリー仕様の場合、150kWhの公共急速充電器を使用すると「15~80%までの充電に41分、80Aの家庭用チャージャーを利用すると15~80%まで充電するのに8時間」。
フォードは実用性にこだわる
そしてフォードは「実際に使用する」ということにこだわり、積算重量や牽引物の質量をさんさーにて検知し、より正確に「あとどれくらい走ることができるか」を算出できるインテリジェントレンジソフトウェアを採用。
加えて、「インテリジェント・バックアップ・パワー・システム」採用にて、停電時などには、最大で約3日ぶんの家庭用電源を供給できる、とのこと。
さらにはテレビやスピーカーなどの家電や、電動ノコギリなどの工具など、あらゆるものに電力を供給できるよう、荷台、キャビン、トランクに最大11個のコンセントを装備しています。
そしてこのバッテリーパックはF-150ライトニング用に設計され、冷却システムほかも専用品となり、トレーラーの牽引やオフロード走行といった高負荷時であっても適切な温度を維持でき、かつ車体の寿命と同程度の耐久性をもたせたと主張しています。
車体構造はこういった感じですが、バッテリーはフロアにマウントされ、しかし「ラダーフレーム」的構造も維持。
しかしながら、サスペンションはフォードF-150ではじめて「独立懸架」となったようですね。
なお、多くのEVでは「フロントトランクが使えない」もしくは「狭い」という状況ですが、このF-150ライトニングでは広大なフロントトランクを備え、その容量はなんと400リットル。
コンセントやUSBソケットを備え、さらには水を入れて洗えるようにドレインプラグも備わります。
デザインは「あくまでも現実的な未来」の範囲に
フォードF-150ライトニングのデザインは一見するとガソリンエンジン搭載のF-150と大きく離れていないように見えますが、その理由としては、調査の結果「消費者は、モダンで先進的なデザインを求めているが、トラックがドアストッパーや宇宙船のように見えるのは嫌だと考えていることがわかった」から。
この「ドアストッパーや宇宙船のように見える」クルマとは、もちろんテスラ・サイバートラックを指しているものと思われます。
特徴的なフロントのライトバーは上級グレードのラリアットとプラチナムに用意され、フロントグリルは3種類が用意されている、とのこと。
最近のクルマらしく快適性も
そしてF-150ライトニングは最新のクルマらしく、15.5インチの縦長タッチスクリーンディスプレイを備え、フォードの最新インフォテインメント・システム「SYNC4A」を搭載。
自然な音声コントロール、クラウド接続のカーナビゲーション、ワイヤレス接続によるApple CarPlay/Android Auto、さらには無線によるソフトウェア・アップデートなどの機能を備えています。
そのほか、フォードのハンズフリーL2運転支援システム「BlueCruise」がオプションで用意され、このシステムは、米国とカナダの(事前に認定された)高速道路で有効にすることができるようですね。
フォードはすでに日本から撤退しているので、このF-150ライトニングを正規にて購入する手立てはなく、しかし「並行輸入」という手立てはあるものの、EVだけにメンテナンス面での心配が残り(そのへんの整備工場では手に負えない)、よって並行輸入もちょっと「難しい」のかもしれません。