
| 正直、これは「かなりいい案」だとも考えられる |
フォードがトランプ政権に対し、かつて中国が外資メーカーに強いた「合弁事業(ジョイントベンチャー)」の仕組みを、今度は米国で中国メーカーに課すよう異例の提言を行うことに。
自動車業界のパワーバランスが激変する2026年、フォードが見据える「互恵的」かつ「保護主義的」な戦略の全貌に迫ります。
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フォード凄いな・・・。乗用車から撤退、ルノーやVWと提携、そして今回はBYDと電撃提携。一方でモータースポーツに注力、巨大企業なのにこの身のこなしの軽さとは
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この記事のポイント(30秒でわかる要約)
- 歴史の裏返し: フォードのジム・ファーリーCEOが、中国メーカーの米国工場建設に対し、米国企業との合弁を必須とする枠組みを提案
- 支配権の確保: 米国側が株式の過半数を握り、利益と技術を共有する「中国式」のビジネスモデルを米国に導入
- トランプ政権の反応: 現時点では「法案化は困難」と慎重姿勢だが、非公式な議論は継続中
- 業界再編の予感: これが実現すれば業界の勢力図が一気に変わる可能性
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フォードが決算を発表しEV部門で82億ドルの赤字を計上、しかし撤退ではなく「さらにこの道を突き進む」。これでこそフォード
Image:Ford | いかにEVで損失を出そうとも、生き残りを賭けるのであればこの道は避けて通れない | アメリカの象徴、フォードが揺れに揺れています。 EV(電気自動車)事業での巨額損失が報じら ...
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30年前の「中国のやり方」を米国がコピーする?
かつて、日米欧の自動車メーカーが巨大な中国市場へと進出する際、中国政府は「現地の中国企業と(最低でも中国側に半分の株式を持たせた)合弁会社を設立し、技術を共有すること」を絶対条件として課したのは御存知の通り。
この目的としては、文字通りの「技術移転」であり、先端技術を持つ日米欧の企業と中国企業とを「組ませる」ことで中国への技術移転(それによる中国企業の強化と市場支配)を目論んだわけですね。
常識的に考えるならば、こういった合弁企業は「技術を盗まれる」だけに終わってしまうので検討の余地すらありませんが、中国はなんといっても「巨大なブルーオーシャン」であったため、フォードやGM、フォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツ、BMW、トヨタ、ホンダ、日産など世界中の量産車メーカーが中国へと進出するに際して我先にと合弁企業を設立し、「入れ食い状態の」市場にてこの世の春を謳歌することに。
ただしその後は「案の定」技術や販売ノウハウを吸収されてしまい、さらに中国の自動車メーカーはそこへお得意の「デジタル」技術をプラスすることで非常に高い商品力を持つクルマを作るようになったというのが今の状況で、あろうことか日米欧の自動車メーカーが用済みとなって「中国から追い出されようとしている」有り様です。
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レクサスLM、アルファードへの対抗?中国にて、トヨタの合弁相手であるGACがレクサス顔負けの巨大グリルを持つ「M8」発表
| 中国の自動車メーカーは合弁によって吸収した技術を使用したクルマにて攻勢をかけ、合弁相手をも苦しめる | もしかすると海外の自動車メーカーが事実上「締め出し」をくらう日が来るのかも さて、トヨタ、ホ ...
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もちろん「合弁」を拒否することもできたものの、そうなると日米欧の自動車メーカーは製品を中国へと輸出せねばならず、そして中国の税関を通過するためには高額な関税を支払う必要があり、となると中国国内での販売価格が高くなってしまうので「売れない」ということに。
そしてたとえ自社が「合弁を拒否」したとしても、ライバルたちが続々と合弁企業を立ち上げる中にあっては「遅かれ早かれ」技術が流出してしまうことは間違いなく、海外の自動車メーカーにとっては「合弁以外の選択肢はない」状況であったのだと考えられます。
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中国からメルセデス・ベンツGクラスの「3ドア版」コピーが登場!しかも相手はベンツの現地合弁相手、なぜベンツは黙っているのか
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フォードが提唱する「合弁義務化」の衝撃的な中身
そして2026年2月、世界一のEV競争力を背景に米国進出を目論む中国メーカーに対抗する手段として、フォードのジム・ファーリーCEOはトランプ政権の高官らへ「中国が我々にしたことを、そのまま彼らにし返すべきだ」という趣旨の提案を行ったというのが今回のニュース。
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フォードCEOが中国EVの台頭に危機感。「ここで陣地を失えばフォードの未来はない」「自動車産業全体が中国に食われる」
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ブルームバーグの報道によると、ファーリーCEOが先月トランプ政権の閣僚に語ったとされる枠組みは、極めて野心的です。
| 項目 | 提案されている枠組みの内容 |
| 資本構成 | 米国企業が合弁会社の過半数の株式(マジョリティ)を保持する |
| 技術共有 | 中国の先進的なEV技術・ソフトウェアを米国側と共有する |
| 利益分配 | 発生した利益は、出資比率に応じて米国と中国のパートナーで分かち合う |
| 目的 | 中国車の流入を単純に拒むのではなく、米国の雇用と技術を保護しながら活用する |
トランプ政権側はこの提案に対し、法制化の難しさなどを理由に難色を示しているとされますが、「アメリカ・ファースト」を掲げる政権にとって、中国の技術を吸い上げつつ国内産業を守るこの案は無視できない魅力を持っている可能性があり、なによりも中国がこの戦略にて圧倒的な成功を収めている以上、「アメリカの自動車産業を守り、再び偉大にする」ための”唯一に近い”解決策なのかもしれません。
結論:中国車は「脅威」か「パートナー」か
フォードの提案は、中国車を「単なる脅威」として関税で締め出す段階から、「パートナーとして利用し、米国の競争力を高める」という、より現実的で老獪な段階へシフトしようとしていることを示唆しています。
そしてジム・ファーリーCEOは自らシャオミSU7をドライブしたり、中国における提携を通じて「中国の自動車メーカーの恐ろしさ」を実感した人物であり、それが故に「中国は敵に回すのではなく味方につける(利用する)べき」と考えたのかもしれません。
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フォードCEO「うん無理。トヨタには勝てない」。大衆車市場から撤退し、趣味性の高いクルマに特化する“感情に訴える”新戦略について語る
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トランプ政権がこの「目には目を」の戦略を採用すれば、米国製中国車が米国の道路を走り、その利益が米国のビッグ3を潤すという、かつては想像もできなかった光景が現実になる可能性もあり、トランプ政権の対応には大いなる注目が集まります。
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参照:Bloomberg
















