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悲報。フォードが日本を撤退。しかし逆に並行業者の出番か

2016/01/26

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フォードがなんと日本を撤退。
これまでも販売拠点を縮小し続けており、いずれはと考えていましたが、ついにこの時が来たわけですね。

なおフォードの販売不振についてはディーラー数と密接な関係があるようで、欧州車が販売を(ディーラー数とともに)伸ばしているのに対し、フォードはディーラー数の減少とともに販売も減少。
これに対してフォード側は「日本の販売努力が足りない」と主張したこともありますが、これは日米のビジネススタイルの差とも言えます(よってその差を埋めることが出来なかったのも販売不振の原因)。

もうひとつ、ぼくが考えるのは内外価格差。
マスタングだと北米ではベースモデルの価格(300馬力)邦貨換算290万円ほど。
日本国内だと最も安いモデル(314馬力)の価格は465万円。

現在フェラーリやランボルギーニ、ポルシェにおいては日本は「本国とほぼおなじ」価格設定となっていますが(むしろ安い場合も)、米国車に関してはかなり内外価格差がある模様。
加えてフォードは比較的ベーシックなラインアップが多く、そういった車の価格が高くなってしまうと日本車との競争が難しくなるのもの事実です。

アメリカの場合はあまり現地化せずにアメリカのスタイルをそのまま持ち込み、「売れたら」追加投資を行う場合がほとんどのように思えます。
よって、アメリカのスタイルになじめない場合は「将来性なし」として撤退する場合があり、小売だとウォルマートも同じかもしれませんね。
なおすべての企業がそうだというわけではなく、ファストフードだとマクドナルドは現地化の範囲が狭く、ケンタッキー・フライドチキンは現地化の範囲が大きいとされています。
よってKFCの場合は国ごとに(メニューで)かなりの相違があり、現地に密着している場合があるわけですね(東南アジアの特定国だとデフォルトでご飯がついてくる、等)。

しかしながら一般的にはアメリカ企業は上述のように「決まったスタイルを押し付ける=合理化」傾向にあり、先行投資を嫌うケースもあるようです。
車だとBMWは日本向けとして立体駐車場に入るよう、幅を変えるためにドアノブ形状を変更したり高さを変えるためにサスペンションやアンテナまで変更していますが、アメリカ車の場合はそういった「先行投資」を「余分な経費」として捉えるのかもしれません(シボレーのボウタイエンブレムも突起が日本の法規に引っかかるので「囲い」ができたが、それもたぶん好ましく思っていない)。

よってアメリカにとって「良い市場」とは先行投資を要せずに自分たちのスタイルを受け入れてくれる市場であり、先行投資や製品の仕様変更を行う必要がある市場は「良くない市場」なのかもしれず、自分たちに対して相手が合わせることを要求するのかもしれませんね(ハリウッド映画では必ず白人男性が世界を救うのもその傾向かもしれない)。
マスタングの場合も「売るのにコストがかかる方高くしてしまえ」では「高い→売れない」という負のスパイラルに陥るわけで、もしここで考え方を変えて「市場を獲得するために安くしてまずは売ろう(ペネトレーションプライス)」と考え、加えてディーラーの拡大や宣伝広告費の投下など先行投資を行っていれば、何かが変わっていたのかもしれません。

なお、フォードの日本法人がなくなることでそこは「空白」となるわけで、これは考えようによってはビジネスチャンス。
並行輸入業者が内外価格差を抑えて並行輸入を行えば、今まで輸入の道筋のついた車や知名度のある車だと売りやすい環境があると考えられます。
今の為替だと難しそうではありますが、現在米国は製造業をアメリカ国内に戻すように動いており(ドナルド・トランプ氏がアップルの生産を米国内で行うと義務付けると発言したように)、将来的にアメリカ製のものが多くなると、今度はアメリカは「ウチの商品を買え」となるわけで、その際はドル安(つまり円高)になることが容易に想像できます。
現在でも原油の輸出を解禁しており、アメリカとしてはこれを売りたいのでドル安に持ってゆきたいのだと考えており、ぼく的にはこれから「円高」になるのでは、と考えています。

なおフォードの2015年における日本のシェアは1.5%だそうですが、撤退によってフォードの国内価格が(並行輸入と為替によって)下がり、撤退前よりも売れるという皮肉な事態になるかもしれないと考えることもあるわけです。



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