
| これまで、そして一般的な例を考慮しても、テスラが車両価格を引き下げることは期待できない |
そして今後テスラの株価がどうなるのかは「まったく不透明」である
さて、ドナルド・トランプ大統領誕生前後には株価が急騰したテスラではありますが、現在は逆に株価が急落しており、2025年の最初の数か月で3分の1以上の価値を失っています。
テスラの株価は2024年末には好調だったため、現在の株価は「史上最低水準」とまではゆかず、しかし、2025年1月と2月で大きく価値を失ったのは「まぎれもない事実」です。
テスラは株価対策として車両価格の引き下げを行う?
まず、テスラの株価が下がっているのにはいくつかの理由があり、まずは大統領就任演説においてテスラCEO、イーロン・マスク氏が示した「ナチス風敬礼」。
そのほかにも極端な政治的思想を主張するなど、その言動に対して嫌悪感を示す人々が増えている、と報じられています。
そしてこういった「評判」のほか、本業である自動車販売が急落していることも問題視されており、例えば、2024年1月に欧州で登録されたテスラ車は18,161台だったものの、2025年1月には9,945台とほぼ半減。
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これには「新型モデルYの発売待ち」などの理由があるとされ、しかしフォルクスワーゲン、ルノー、中国のSAICモーターといった競合メーカーの躍進が影響していることも間違いなく、つまりEV市場が成熟するにつれ、テスラがかつての「王者」の座を失いつつあると見られているわけですね。
そこで今回話題となっているのが「テスラが、株価対策として、各モデルの価格を引き下げて販売促進を行うのでは」という憶測。
これはここ最近のテスラの「価格引き下げ」が関係しているものと見られ、しかし実際には(株価が急騰する)2024年から「値下げ」が行われており、よって今回の株価急落と値下げとが連動しているというわけではなく、むしろ中国メーカーとの競争やEV市場全体の変動を受けたものだと考えられ、株価下落が直接の原因とは言い切れない状況です。
一般的に、株価の変動が即座に車両価格に影響を与えることは多くはなく、例えば、2024年末にテスラの株価は213ドルから479.86ドルへ急騰したものの、その間に(テスラ車の)希望小売価格が上がることはなく、よって現在の株価急落がさらなる値下げを招くとはいいきれず、現在のテスラ車が株価下落を理由にさらに安くなるとは考えにくいのでは、と思います。
参考までに、過去に「株価と新車価格が連動した」例として、2009年のGMの破綻があり、これは当時「GMの株価がゼロに近づき、同時にGMの車両価格も大幅に下がった」というもの。
しかし、これは金融危機(とGMの財政危機)という経済状況の影響であり、株価と車両価格の因果関係とは断定できないと認識されています。
テスラの場合、今後も株価の下落が続くようなことになれば、投資家が販売台数の増加を求め、さらなる値下げ圧力がかかる可能性はあるものの、しかしテスラの価格設定は市場全体の状況に左右されるため、単純に株価下落=値下げとはならないと捉えていたほうが良さそうですね。
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