| アメリカのスーパーカーにおける”先駆け”的存在がオークションに |
「アメリカ最初の」スーパーカーと言われる「ベクター(ヴェクター)M12」がオークションに登場予定。
この「ベクター」についてはちょっと説明を要しますが、ざっとその略歴は下記の通り。
↓
1978年に「W2スーパーカーコンセプト」発表
↓
1988年に「W8」発表
↓
1992年にインドネシアのメガテックに買収される
↓
1993年に「WX-3コンセプト」発表
↓
1995年に「M12」発売
↓
最近になり復活を遂げる
そしてもうひとつ注釈が必要なのは、1992年にベクターを買収した「メガテック」は1993年から1998年まで「ランボルギーニの親会社」であったということ(ランボルギーニの経営元は、現在のアウディで”8つ”目)。
つまり、ランボルギーニとベクターは一時期、同じ会社の管理下にあったということですね。
ベクターM12のエンジンはランボルギーニ・ディアブロから
よって、このベクターM12はランボルギーニの影響を強く受けたモデルということになりますが、当時わずか14台のみが生産されています。
そして当時のランボルギーニというと「ディアブロ(1990-2000年)」が現役であり、よってこのベクターM12もディアブロと同じ「5.7リッターV12エンジン」を搭載。
ただし加速や最高速はディアブロに劣っていたとされ、価格も600万円ほど(新車時に)ディアブロよりも安かった、とのこと。
なお、ぼくがここで思うのは、「アメリカ人は本当に丸いデザインが好きだなあ」ということ。
というのも、ディアブロが発売された1990年当時のランボルギーニ経営元はクライスラーつまり「アメリカの会社」。
ディアブロはカウンタックの後継となりますが、カウンタックから継続してディアブロのデザインを担当したマルチェロ・ガンディーニ氏が提出した「角ばったデザイン」を、クライスラーは「丸く」修正させて発売しています。
そしてその後ランボルギーニはメガテック→Vパワー→アウディへとオーナーを変え、2000年にアウディが「もとのマルチェロ・ガンディーニ案に近い」デザインへと修正して発売したのが「ディアブロ6.0(デザイナーは現在ヒュンダイへと移り、最近昇格したルク・ドンカーヴォルケ氏)」。
これを見ても分かる通り、「アメリカ資本時代の」ディアブロは丸いデザインを持ち、その後は角ばったデザインへと変更されていますが、アメリカは「ダッジ・ヴァイパー」しかり、とにかく丸いデザインが好まれるのは間違いなさそう(フォードの本を読んだとき、”流線型であればなんでも売れた時代があった”という記載があった)。
今回オークションに出品されるベクターM12はラスベガスのコレクターが保管していたもので、走行距離はわずか4100マイル。
未レストアのために燃料漏れなどの問題もあるそうですが、アメリカのスーパーカー史を語る上で外せない一台でもあり、歴史的価値は高いのかもしれませんね。
VIA:Autoclassics