初代ポルシェ911、メルセデス・ベンツ300SLの姿も
ナイジェリアにて、クラシックカーを保護する人々を捉えたドキュメンタリー映像が公開に。
動画に登場するのは初代ポルシェ911、メルセデス・ベンツSL、ダッジ・チャージャーといったクルマたちですが、一般の認識からすると「かなりなポンコツ」。
アメリカに持ち込むと高く売れそう
ちなみにナイジェリアはアフリカでは最も大きな経済大国ですが、貧困層が33%を占めるとも言われ、そのために一部の人々は「クルマを買うのが難しい」状態。
そういった人々にとってはどんなポンコツであっても修理して乗るほうが安上がりであり(クルマは生活必需品として欠かせない)、よってかなり古い車でも日常的に乗られているケースが多いようですね。
そんなナイジェリアですが、クラシックカーを保存してゆこうという団体があるようで、ancient bloomもそんな団体の一つ。
なお、なぜナイジェリアにこういったクラシックカーがあるのかは不明で、ポルシェ911やメルセデス・ベンツSLの価値を考えると「スクラップ寸前の個体が最近輸入された」とも考えづらく、となると「当時からずっとナイジェリアにあった」と考えるのが妥当。
なお、ナイジェリアは1960年までは紆余曲折を経てイギリスの植民地であり、現在もイギリス連邦加盟国。
それを考えると、昔から貿易商などの富裕層がナイジェリアに拠点を構えていたとも考えられ、そういった人々が乗っていたクルマが今も残っているのかもしれません。
ちなみにその後ナイジェリアでは何度かクーデターが発生していて、政情不安にて富裕層が「命からがら国外脱出し」、クルマは現地に放棄されたままだったのではないか、と想像しています。
それでは動画を見てみよう
こちらが現地のクラシックカーが登場する動画、「Made in Nigeria: The Unexplored Vintage Car industry」。
映像作家の手がけた映像だけに、美しい動画となっています。
同様の例はキューバでも
なお、キューバもこういった「クラシックカーの宝庫」として有名。
かの有名なキューバ革命(1959年)以後、キューバは旧ソビエト連邦と外交を結ぶにあたりアメリカはキューバとの国交を断絶することになりますが、それまでのキューバはフロリダから145キロという比較的近い位置関係ということもあり、フロリダのリッチな人びとが訪れる「リゾート」として反映していたわけですね。
そのため、アメリカの富裕層がキューバの別荘用にとポルシェやメルセデス・ベンツの希少な車を持ち込んでいたという事情があったものの、アメリカとの国交断絶によって、キューバにいたアメリカ人富豪は「着の身着のまま」アメリカへと戻らざるを得ないことに(このあたり映画”ゴッドファーザー”シリーズでも描かれている)。
となるとキューバにこういった車がとり残されることになりますが、「そのまま」納屋にて朽ちていった個体や、地元キューバの人が乗っていたものの、「高額な」修理費用や維持費用を工面できず、また国交断絶のためにパーツの入手もできず、やむなく放置されていった個体があるようですね。
さらにはこういった希少車だけではなく、1950年代までのアメリカ車がキューバにはたくさん持ち込まれており、しかし国交断絶以後はキューバへと「新しい車が入ることはなかった」とされ、そのため今もキューバでは1950年代以前のアメ車が現役にて大量に走っている(新車が入らないので修理して乗るしか無い)、と報じられています。
なおキューバの平均年収は2013年で1500円、2016年で3000円という統計があり(月収ではなく”年収”)、この金額だと国交があったとしても自動車を輸入するのはまず無理。
そういった事情もあってキューバでは独特の自動車事情が構築されており、「ポルシェやメルセデス・ベンツであっても」維持費がかかったり修理ができないのであれば「無価値」、しかしトラックであっても修理できて動くのであれば「動かないポルシェやメルセデス・ベンツより価値がある」という、ぼくらからすると信じられない現実があるわけですね。