| どんなに高性能なクルマでも、タイヤの性能を超えて走ることはできない |
そしてそのタイヤにもまだまだ進化の余地が残されている
さて、ピレリが高性能セミスリックタイヤの最新バージョンであるPゼロ・トロフェオRS(P Zero Trofeo RS)を発表。
P Zero Trofeo RSは、パガーニ・アウトモビリのユートピア用に開発されたものですが、今後様々なメーカーのスポーツカーやスーパーカーの純正オプションとして提供される予定だとアナウンスされています(ポルシェ911GT3 RSに装着されることがすでに判明している)。
Pゼロ・トロフェオRSは「Pゼロ・トロフェオRの進化版
この新しいタイヤは、これまでのP Zero Trofeo Rの技術的進化版として開発されたもので、トレッドコンパウンドの素材に改良が加えられており、ピレリによると、このタイヤは新世代のセミスリックタイヤのひとつであり、ドライ路面において「より高い性能と安定性を発揮する」といいます。
グリップがより長く持続する(摩耗しにくい)ため、サーキット走行時のスピードと安全性が向上し、しかし公道走行が可能なタイヤである以上、若干のウェット環境においても安定した性能を維持できるようですね。
ピレリはこのP Zero Trofeo RSの開発に際し、パガーニのようなハイエンドスポーツカーメーカーが定めた目標に到達するために、モータースポーツのトップレベルとの関わりから得た新技術を応用したといい、その開発の成果のひとつがマルチコンパウンドトレッド。
これはピレリのプレステージカタログに掲載されている特定のトレッドパターンのコンパウンドにクルマを合わせることで、異なるクルマの特性を補完するためにタイヤをパーソナライズすることを可能にしているといい、要は「車両にあわせた、より細かい調整が可能になる」ということなのだと思われます。
ピレリのもうひとつの革新は、「バーチャル・ジオメトリー開発」で、この手法により、ピレリのエンジニアはバーチャル・モデリングを通じて、多数の異なるプロファイルとフットプリントを評価することができたといい(おそらくは特定の車両に装着して走行している状態をバーチャルにて再現できるものと思われる)、マルチコンパウンド・トレッドと組み合わせることで、P Zero Trofeo RSの精度とマッチングを最大限に高め、ドライバーの入力に対するレスポンスを向上させることができた、と述べています。
このバーチャル・ジオメトリー開発プロセスは、最初のプロトタイプ車両がサーキットでテストされるよりも前にパガーニ・ユートピアで広範囲に(もちろんバーチャルに)使用され、特に究極のグリップとコントロールを提供するためにコンタクトパッチの大規模な開発が行われており、パガーニが当初ピレリに(ユートピア用として)求めていた「Pゼロ・コルサ」タイヤと比較しても過酷な走行条件下でのパフォーマンスを向上させ、ドライバーが経験するフィーリングを損なうことなく、公道での扱いやすさと予測可能性を向上させることができた、とのこと。
ピレリによれば、このPゼロ・トロフェオRSタイヤはフォード・マスタング・ダークホースにも装着されており、将来的にはフェラーリ、マセラティ、ランボルギーニを含む幅広い高性能車のオプションとしても用意される、とアナウンスされています。
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