ピニンファリーナ会長、パオロ・ピニンファリーナ氏が65歳で亡くなる。「自身の名を冠したクルマを発売したい」という祖父の夢をついに叶えた一族の重鎮

｜　まだまだやり残したことも多いと思われるが、残る一族がその意思を引き継ぐことだろう　｜

パオロ・ピニンファリーナは同社の歴史に残る作品を手掛けている

ピニンファリーナ・グループ会長のパオロ・ピニンファリーナ氏がトリノにて65歳で死去したことが（ピニンファリーナ公式Xによって）明らかに。

ピニンファリーナは死因については明らかにしておらず、しかし妻のイタリア、5人の子供、そして母親に囲まれていたと述べているので、安らかな死であったのだと思われます。

パオロ・ピニンファリーナ氏の死去に際し、ピニンファリーナのシルビオ・アンゴリ最高経営責任者（CEO）は「取締役会、監査役会、そしてピニンファリーナの全従業員を代表し、親愛なる会長の逝去に深い悲しみと哀悼の意を表します。私たちは皆、同氏の会社への並外れた貢献と、スタイルと倫理的および行動的選択の両方の面において、常に情熱的に私たちの歴史と企業アイデンティティを擁護してくれたことに非常に感謝しています」とコメント。

パオロ・ピニンファリーナはこんな人だった

パオロ・ピニンファリーナ氏は（ピニンファリーナ創始者である）バティスタ・“ピニン”・ファリーナの孫に当たりますが、トリノ工科大学を卒業し、機械工学の学位をしたのち、なぜかピニンファリーナに入社せず、まずはキャデラック、ホンダ、ゼネラルモーターズを渡り歩くことに。

その後1987年にピニンファリーナでのキャリアをスタートさせ、その後は工業、家具、建築、海洋デザインを専門とするグループ子会社であるピニンファリーナ エクストラのCEOに就任しています。

さらにその後の1988年、パオロ・ピニンファリーナ氏は（ピニンファリーナの）取締役会のメンバーとなり、2008年に兄のアンドレア・ピニンファリーナが亡くなった後、ピニンファリー グループの副社長、そして会長までを務めた人物です。

ピニンファリーナによれば、パオロ・ピニンファリーナ氏の大きな功績は2つあり、1つ目は、フェラーリ458スペチアーレAMGをベースにしたピニンファリーナ・セルジオ。

It is with heavy hearts that we announce the passing of our Chairman Paolo Pininfarina, who left us today in Turin at the age of 65. Until his last moments, he was surrounded by his wife Ilaria, his children Greta, Giovanni, Iole, Tullio, and Giulia, his mother Giorgia Gianolio. pic.twitter.com/tw3CEMwORV

— Pininfarina (@PininfarinaSpA) April 9, 2024

これは2013年にフェラーリとピニンファリーナ社との協業60周年を記念して企画されたもので、その名称「セルジオ」はピニンファリーナ一族の一人、セルジオ・ピニンファリーナ氏に由来しています。

なお、当初この「セルジオ」はワンオフにとどまる予定であったものの、そのデザインの素晴らしさからピニンファリーナ、フェラーリとの間で「これはぜひ市販されるべきである」という協議が持たれ、結果的に合計6台のみが生産された、という経緯についても紹介されていますね。

そしてもう一台のバッティスタについては、創業者の夢であった「自身の名を冠したブランドから、自社のクルマを発売する」という夢を叶えた画期的な電動ハイパーカー。

企画や製造、発売を担当するのは「アウトモビリ・ピニンファリーナ」というピニンファリーナグループの子会社ですが、これは（現在のピニンファリーナグループの親会社である）インドのマヒンドラの援助のもとパオロ・ピニンファリーナ氏が設立した部門であり、ここでようやく祖父の夢を実現した、ということに。

今回同氏は65歳という若さでこの世を去ってしまったものの、ピニンファリーナは（これまでの例を見るに）コンセプトカー等に自身の一族の中でもとくに影響力が強かった人物の名を与えることが多く、よって今後発表されるクルマのいずれかで「パオロ」の名を見ることができるものと思われます。

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参照：Pinifarina