| すでにパートナーシップは解除されているといえど、現代のフェラーリが持つ要素の多くはピニンファリーナが作り上げたものだった |
ときどき、フェラーリのデザインがピニンファリーナでなかったら、と考えることがある
さて、現在のフェラーリは車両のデザインを自社内製(インハウス)へと切り替えていますが、1951年から、2009年に発表された458イタリアまではずっとピニンファリーナが手掛けています。
ピニンファリーナはバッティスタ・”ピニン”・ファリーナによって1930年に設立されたデザインカンパニーですが、フェラーリとのパートナーシップは両社のトップ、エンツォ・フェラーリとバッティスタ・”ピニン”・ファリーナとの会合によって始まったとされ、この会合をセッティングしたのが当時25歳だったバッティスタ・”ピニン”・ファリーナの息子、セルジオ・ピニンファリーナ。
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参考までに、バッティスタ・ピニンファリーナは、ファリーナ家の11人兄弟のうちの10番目として生を受け、周囲から「ピニン(小さい子供)」ファリーナと呼ばれて育ったことから自身を「ピニンファリーナ」と名乗り、後に正式に「ファリーナ」から「ピニンファリーナ」へと改名しています。
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この会談が後の両社の運命を大きく変えた
この会合はフェラーリの本拠地であるモデナ、ピニンファリーナ本社所在地のトリノとの中間にあるトルタナという小さなレストランにて行われたそうですが(画像は1962年に撮影されたもの)、このロケーションは「お互いがホームアドバンテージを譲りたくなかったから」だったとされ、そのために中間の地にて設定されることとなり、さらにこの際にはお互いが譲ることはなく意見を真っ向からぶつけ合ったといい(上下関係が存在しなかった)、その結果として「その後のフェラーリについて、ピニンファリーナがデザイン全般を担当する」という合意がなされたとのこと。
なお、この会合を設定したのがセルジオだったからか、セルジオ・ピニンファリーナは、父であるバッティスタ・ピニンファリーナから「フェラーリとの仕事はデザイン、生産、コスト、企画などすべて自身で担当するように」と指示を受け、その後1962年にはピニンファリーナを受け継ぐことに。
ちなみにフェラーリは2013年に「ピニンファリーナとの協業60周年」を記念してスペシャルモデル「セルジオ」をリリースしており、もちろんこの「セルジオ」とはフェラーリとピニンファリーナとを結びつけたセルジオ・ピニンファリーナを指しています(厳密にはこれがピニンファリーナデザインによる最後のフェラーリとなるが、特殊なモデルでもあるため、世間一般的には458イタリアが最後だとされている)。
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最も特徴的な、ピニンファリーナによってデザインされたフェラーリたち
そしてフェラーリが「最も特徴的な(ピニンファリーナによってデザインされた)フェラーリ」として挙げるのは、まず1959年の250GT ベルリネッタ。
そのデザインもさることながら3リッターV12エンジンを搭載し、0−100キロまでを7秒で加速するという性能は他に類を見なかったと言われます。
さらにはそれまでのフェラーリの伝統でもあった楕円形グリルを廃止した365BTB/4デイトナ。
ヘッドライトが(エアロダイナミクス向上のため)格納されていることがデザイン的な特徴です。
そして現代のフェラーリにもアレンジされ使用され続ける「丸形4灯」をはじめてミドシップモデルで採用した1971年の365GTB4 BB、1976年の512BB(ディーノはここでは除外されているようだ)。
ブラックのボトムパネルとボディ上部とのコントラストが印象的な「ボクサーペイント」を持っています。
さらに1984年にはランボルギーニ・カウンタックと並ぶスーパーカーの代名詞、「テスタロッサ」。
ピニンファリーナがデザインしたフェラーリの中ではもっとも認知度が高く、そしてもっとも成功したフェラーリだとされています。
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1997年には「ピニンファリーナが手掛けたクルマの中では最も美しい」と言われる550マラネロ。
2004年にはエンツォ・フェラーリのデザインエレメント(とくにテールランプやエンジンカバー)や1960年代のF1マシンの要素を取り入れたF430が登場。
2012年にはフェラーリのチェントロ・スティーレ(デザインセンター)と共同にてデザインしたF12ベルリネッタ。
それまで生産されたフェラーリの中ではもっともエアロダイナミクスに優れるスタイリングを持っていたようですね。
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参照:Ferrari