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ポルシェは「世界初の電気自動車」だけではなく、「世界初のハイブリッド」「世界初のエレクトリック4WD」を作っていた。とくにハイブリッド車は300台が量産されタクシーにも

ポルシェは「世界初の電気自動車」だけではなく、「世界初のハイブリッド」「世界初のエレクトリック4WD」を作っていた。とくにハイブリッド車は300台が量産されタクシーにも

| こういった経歴を見るに、ポルシェ創業者は文字通り「時代を超えた発想」を持っていたようだ |

そしてその精神は今なお健在である

さて、ポルシェ創業者であるフェルディナント・ポルシェが「ガソリン車を作る前、今からおよそ125年前」に電気自動車を作っていたことはよく知られていますが、この(いわゆる)ローナー・ポルシェにはインホイールハブモーターが装着されています。

当時、この技術はポルシェを注目の的にし、自動車産業におけるいくつかの技術的な先駆的な存在へと変化させたものの、現在のポルシェ、例えば911やタイカン、マカンEVにはこの技術が採用されておらず、なぜこの技術が車両設計の礎にならなかったのかと疑問に思うかもしれません。

このポルシェのインホイールハブモーターに対する最初の挑戦は広く普及せず、しかしこの技術はその後、興味深い場所で使用されることになったことがポルシェが公開した公式コンテンツによって明らかになっています。

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インホイールハブモーターの可能性とは?

通常、クルマの車輪には、その車輪の外部に配置された一連の部品やシステムによって駆動されています(ガソリン車だとエンジン、トランスミッション、ドライブシャフトなど)。

これらのハードウェアは重く、複雑で、かなりのスペースを占め、現代のEV(電気自動車)では、この多くの部品が省かれていますが、ほとんどの車両では依然として、モーター、デファレンシャル、ドライブシャフトなど、外部に配置された駆動部品によって車輪が駆動されているわけですね。

そこで登場するのが「インホイールハブモーター」で、これはエレクトリックモーターとブレーキを一つのユニットに統合し、そのユニットが駆動する車輪(ホイール)の中に収められるもの。

これにより、車両はより効率的で軽量になり、ドライブトレインコンポーネントを収めるためのスペースを確保せねばならないという制約から解放され、車両設計とパッケージングの新しい可能性が広がることに。※インホイールハブモーターは新しい技術ではなく、現在ではeスクーターやeバイク、農業機械や鉱業機械、さらには多くの家庭用コードレス掃除機のブラシロールなど、さまざまな場所で見ることができる

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ポルシェにおける「インホイールハブモーター」とは?

そこでポルシェにおける「インホイールハブモーター」を見てみると、その実験は1900年に始まり、24歳のフェルディナント・ポルシェが「ヤコブ・ローナー社」のために開発した電気自動車がその最初の事例です。

この車は前輪にハブモーターを搭載し、時速32㎞、1回の充電で50㎞走行でき、4つのブレーキを同時に作動させることができたとされ、この「ローナー・ポルシェシステム」は、異なるパフォーマンスレベルのモーターを3つ備えたスケーラブルなアーキテクチャを特徴としており、パリ万博にて展示され、若き日のフェルディナント・ポルシェをスターダムへと押し上げています。

さらにフェルディナント・ポルシェは各車輪に14馬力のハブモーターを搭載したレーシングカーを製作し、このクルマは「ラ・トゥジュール・コンタント(いつも幸せな者)」と名付けられ、世界初の四輪駆動車としてもその名を残しています。

1901年には、このシステムにガソリンエンジンを追加して移動用の電源とし、これにより世界初のハイブリッドカーが誕生することになるのですが、このクルマは「ローナー・ポルシェ・センパー・ヴィヴス(ラテン語で「常に生きている」)」と呼ばれ、300台のみが製造され、そのいくつかは個人向けとして販売されることとなり、ウィーンの消防署には数十台が納入されたほか、タクシーとしても使用されたという記録が残ります。

この後いったんポルシェにとってのインホイールハブモーターは消滅するものの、1970年代の「宇宙開発時代」に再登場し、アポロ15、16、17号へと搭載された月面車がポルシェのものと基本的に同じ設計のエレクトリックハブモーターを搭載することに。

今日、ポルシェは、インホイールハブモーターが自動車用として普及しなかった理由として、他のレイアウトの方が量産に適していたためだと述べていますが、エレクトリックモーター事態も進化を続けており、今後「インホイールハブモーターのほうが量産に向いている」時代がやってくるのかもしれませんね。

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参照:Christophorus

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