
| 一般的に諸外国では「青信号」はグリーン色である |
日本が「青信号」を採用した意外な理由とは
日本は伝統と最先端技術が融合するユニークな国ではありますが、近年はインバウンドによって多くの外国人が日本を訪れており、そこで様々な「時刻との文化の違い」がSNS等によってクローズアップされるようになっています。
さらには多くの外国人が日本の路上を(自分の運転なり他の人の運転なりで)クルマで走ることになるかと思われ、そんな日本の道路で海外の人々がしばしば驚くのが「青信号」。
多くの国では「進め=緑信号」が常識ではあるものの、日本では「青信号」と呼ばれるケースが一般的です。※よく映画などで「安全」をシグナル・グリーンと表現するように、「安全に進むことができる」のもまたグリーンライトである
国際条約と日本の言語的背景
ではなぜ、日本だけが「青」を採用したのか?
歴史的背景から見てみると、1968年に35か国が署名した「道路標識および信号に関する条約」では、「緑=進め」「赤=止まれ」 が国際的な基準とされていて、現在では75か国以上が取り入れていますが、日本とアメリカは未署名です。
そして日本の文化的な背景を考慮すると、日本語では古くから「青(あお)」という言葉が「緑」を含んでいて、それは「緑色の生い茂った植物」と「青々とした」と表現することからもわかるかもしれません。
現在では「緑=みどり」という言葉が一般的ではあるものの、信号機が導入された当時、人々は緑色の光を「青」と呼んでいたそうで、そのため、1970年代に政府は苦肉の策として、緑寄りの青(ブルーグリーン) を採用したのだとされ、これは国際基準を大きく外さず、日本人の感覚にも合致する色合いであったと言われています(そこでまでして緑ではなく青を取り入れたことには驚かされる)。
「青」が緑を意味する文化的背景
さらに歴史的な考察を含めると、日本語にはもともと「青・赤・黒・白」の4色しかなく、「緑」という概念が後から追加されましたらしく、その名残によって、今でも緑色のものを「青」と表現する文化が残っているもよう。※自然を愛する日本人が、空の「青」と植物の「緑」を区別していなかったところはちょっと不思議
例えば:
- 青りんご(実際は緑色)
- 青菜(緑の葉野菜)
- 青信号(緑のライト)
といった具合ですが、交通信号が日本に初めて導入された1930年代には「緑」と呼ばれたこともあったそうですが、戦後の道路交通法では公式に「青信号」と表記され、それが定着した、という流れを持っているようですね。
独自の交通安全文化
なお、日本の交通ルールには、信号の「青」だけでなく、ユニークな工夫が数多くあるといい、例えば手描きの交通標識が事故を減らしたという事例もあり(いまでも公的なものではないが、通学路などには子供の絵を描いた看板が見られる)、こうした独自の取り組みが日本の交通事情を形作ってきたという事例も存在していて、ぼくら日本人だと「何も気にしていなかったこと」が、外国人にとって新鮮に、そして不思議に思えるという事実もまた面白いと思います。
まとめ
日本の「青信号」は、単なる色の違いではなく、言語・文化・国際基準との折衷から生まれた象徴的な存在です。
緑色なのに「青」と呼ぶのは外国人にとって不思議に思えるかもしれませんが、そこには長い歴史と言葉の文化が反映されていいて、ある意味での「日本の伝統と、新しい外来文化との融合」を象徴する存在であるとも考えられます。
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参照:Jalopnik