| ロータス・エリートは、ロータスが高級路線を目指して開発した4人乗りのスポーツカー |
ロータスではじめてエアコン、パワステがオプション設定されたモデルでもある
さて、非常に珍しいロータス・エリート(二代目)がオークションへと登場予定。
さらにこのエリートの価値を高めているのは、元F1ドライバー、マリオ・アンドレッティが所有していた個体だということで、その所有を示す証明書も付属するのだそう。
しかしながら、そういった金看板があるにも関わらず、ロータス・エリートそのものの人気が今ひとつのため、予想落札価格は最高で(わずか)12,000ポンド(邦貨換算で約202万円)にとどまると報じられています。
ロータス・エリートはこんなクルマ
この2代目ロータス・エリートは、初代エリートが販売終了となった11年後の1974年に登場しており、ロータスおなじみの「スチール製バックボーンフレームにグラスファイバー製ボディを組み合わせる」という基本コンセプトを採用しています。
エンジンは、後にエスプリにも搭載されるアルミ製のタイプ907 DOHC2.0リッターを搭載し、出力は158馬力、新車時では0−100km/h加速7.8秒、最高速度203km/hという性能を誇りますが、注目すべきは「フル4シーター」ということ、そしてロータス初のパワステとエアコンをオプションにて選択できたこと。
なお、1976年にはATも追加されており、ロータス伝統の構造を持ちつつも、そのパッケージングがロータスらしくない、という一風変わったモデルでもありますね。
そして一風変わったといえばそのスタイリングで、社内デザイナー、オリバー・ウィンターボトムによってデザインがなされ、そのイメージはある意味でワゴンというかシューティングブレーク風。
ただ、この奇っ怪なデザインがロータス・エリートの後部座席における居住性を向上させているのは間違いなく、一応は評価すべき部分なのかもしれません。
なお、ロータスがこういった「4シーター」を作った理由としては「ポルシェ911への対抗」が挙げられ、当時はほかにアルピーヌ、フェラーリ、ランボルギーニまでもが2+2に手を出しています。
ロータス・エリートのインテリアはこうなっている
そしてこちらはロータス・エリートのインテリア(ルームミラーの位置が独特)。
明るいカラーのレザーを持っており、たしかにロータスが高級さを目指したということもわかります。
ただ、ロータスのそういった思惑とは裏腹に、製造品質が著しく低かったという報告もあり、内装パネルが走行中に脱落するといった例もあったようですね。
リアシートは「フル4シーター」だけあってけっこう広々。
マリオ・アンドレッティは1976年にチーム・ロータスの正式メンバーとなり、1978年にはロータス78とその後継モデルであるロータス79のグランドエフェクトテクノロジーを生かして6勝を挙げ、ドライバーズチャンピオンとコンストラクターズチャンピオンの両方を獲得したという輝かしい経歴を持っています。
そこで当時のロータスのボス、コーリン・チャップマンは、話題のドライバーに自社のロードカーを使ってもらいたいと考え、1976年にこの左ハンドル、イギリス登録のエリートをマリオ・アンドレッティに提供したもよう。
なお、コーリン・チャップマンは、1973年にセブンの権利をケータハムに売却していますが、それと同時にキットカーを販売するという自身のルーツから脱却してロータスブランドを高級化する計画を持っており、その意味でも1974年に登場したフロントエンジン、4シーターというエリートはロータスにとって大きな意味を持っていたと言われます。
なお、いつマリオ・アンドレッティがこのクルマをロータスに返却したのかはわかっておらず、しかしこのクルマの最後の登録保持者が購入したのは1984年で、現オーナーによれば、このエリートは最近、マイナーサービスを受けて新しいバッテリーへと交換されているものの、新しいクラッチとブレーキに注意する必要があるというコメントを残しています。
いずれにせよ、マリオ・アンドレッティが所有していたという正式な証明書がつき、そしてこの希少なエリートというクルマが200万円くらいで購入できるのであれば、それは「奇跡」と呼んでいいのかもしれません。
マリオ・アンドレッティ所有のロータス・エリートを紹介する動画はこちら
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